自民の規正法「改正」案パー券購入従来のまま 企業・団体献金手つけず〜すべてがNになる〜

2024年5月21日【2面】


 自民党は17日の総務会で、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法「改正」案を了承しました。政治資金パーティー券購入者の公開基準を現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げることなどが柱。一方で、企業・団体による政治資金パーティー券の購入を含む、企業・団体献金の禁止にまったく触れていません。4月の「朝日」の世論調査では企業・団体献金について「認めない方がよい」が79%に上りました。事件の真相解明にも背を向ける自民党にはまったく反省はありません。

 裏金事件で焦点となったのは、派閥の政治資金パーティー収入でした。1990年代、リクルート事件など相次ぐ金権腐敗事件のなか、「政治改革」が唱えられました。企業・団体献金は「廃止の方向に踏み切る」(細川護熙首相、93年8月)とされましたが、自民党は二つの大穴をつくりました。その一つが「政治資金パーティー券の購入」を認めたことでした。パーティー券購入は、1購入者当たり20万円超でなければ報告義務がないなど「透明性」が低く、裏金づくりに利用されてきました。

政治買収する賄賂性を持つ

 今回の自民党案は、パーティー券の購入を禁止するのではなく、企業等の購入者の公開基準額を引き下げるものです。企業側にはパーティー券購入の報告義務がなく、公開基準の引き下げで「透明性」が増すかのようにいうのは大きなごまかしです。抜け穴はあいたままです。

 企業の政治献金は本質的に政治を買収する賄賂性を持ちます。企業が利益のために金を出して政治をゆがめるのが企業献金であり、国民の参政権を侵害するものです。

 国民が自ら支持する政党への寄付は、主権者として政治に参加する権利です。選挙権も政治的自由も持たない企業が献金することは国民主権と相いれません。政治のゆがみをただし、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金を全面禁止するべきです。

全面禁止法案 共産党は提出

 日本共産党はパーティー券購入も含め企業・団体による寄付を全面禁止することを柱とする「企業・団体献金全面禁止法案」を国会に提出しています。

 日本共産党は約30年前の「政治改革」の時代から一貫して企業・団体献金の禁止を主張してきました。裏金事件への国民の批判が広がる中で、立民、維新、国民などの各党も企業・団体献金の禁止を口にしています。金権腐敗政治を根絶するために全面禁止に踏み出すべきです。

 (若林明)

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