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ミニカーおじさんが巡回する町

こんにちはと初めまして。おすぬです。

もうだいぶ前のことです。
2歳前後の息子を連れて歩いていたときのこと。
息子が言うこと聞かなくて、とにかく私はイライラしていました。
人も車もほとんど通らない住宅街の道。公共の場だけど誰も聞いてないだろうと思って少し声を落とし「ほんっとにあんたは○○で△△…!!」と尖った声でイライラをぶつけていました。(息子は大泣きしたんだかどうか覚えていない)

そのとき。
向こうから自転車に乗ったメガネのオジサン(定年退職後の年代の方)が通りかかりました。通りすぎるかと思いきや私たちの目の前に止まり、

「お母さん、怒らないであげてください」

(はっ!?)

「いい子じゃないですか」

と言って袋からミニカーを取り出し、かがんで息子に差し出す。

(え!?これって…ものすごく気まずい…)

息子はうれしそうにミニカーを受け取っている。

「お母さん、もっと楽でいいんですよ」

そう言うと自転車で去ってしまった。
私はゴニョゴニョいちおうお礼を言ったと思う。


・・・。
気まずかった。
善意なのはすごくわかる。
わかるんだけど。

そして半年後にまた同じオジサンに遭遇してしまう。
相変わらず私はイライラ、オジサンなだめる、ミニカー差し出す、ゴニョゴニョお礼、同じ流れ。

多分オジサンはいろいろ考えて「そうだミニカーだ!」ってなって(女の子向けのおもちゃも持ってたに違いない)、用事のついでに巡回していたのだろう。
まぎれもない親切だし、実際に子どもが虐待されていたら別の大人が入ってあげることは大事なことだと思う。

でも。これがもし女性(おばあちゃん世代)だったら。
「お母さん、もうじゅうぶんがんばってるわよー」とか「だいじょーぶだいじょーぶ。かわいい子ねー」とかになるんじゃないだろうか。
なんだろうこの違いは。


これ、ショートショートのアイデアになりそう!
監視カメラ付きの犬型ロボットが町をパトロールしてて、声を荒げてるお母さんを見つけたらロックオン。反則キップ切られて何枚かたまったら第一種母親免許停止。父親免許も同様。


・・・。
いや、ミニカー要素がない。
やっぱりあれはオジサンの「子育て世代」への愛情表現だったのだ、と思う。


(ライラン4日目)

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