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大学内工房の安全管理と防災実践

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美術大学の工房で働いていた筆者が安全管理について学んだことを書き留めておく場所です。まだ完成していないので、ちょっとずつ更新します。 #大学内工房 #工房 #安全 #リスク #… もっと読む
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はじめに

※注意これは市民工房や大学内の工房の管理運営を7年ほどやっている筆者が、安全管理について学んだことをまとめたページです。個人の経験則程度のお話としてご覧いただき、実際の安全対策については各地の労働基準協会などの専門家にご相談ください。利用者の方は工房運営者の指示に従ってください。 なぜこれを書いているのか? 大学等に設置された工房は、学生に対して安全に学びの場を提供しなければならないが、リスクの見落としによる事故やケガの可能性が存在する。学生の制作は、工房技術職員の管理、立

工場と大学内工房の違い

一つ前のnoteで、工場と大学内工房とでは空間の使い方や作業者の経験に差があることに触れた。 ここでは工場と大学内工房とでどのような違いがあるか具体的に比較していく。 作業者の入れ替わり工場では同じ作業者による就労(休憩を挟みながら8時間の勤務を月に20日程度)であるのに対し、大学内工房では、講義の1コマ90分単位で数十名が入れ替わるようなケースが多い。 作業者の熟練度工場での作業は就労であり、作業者は技術を磨きそれに対して対価をもらいながら、ある程度の長期的な目標として

安全管理について学んだこと(基礎編)

①安全とリスクの関係工房を運営する上で「安全」「危険」「リスク」などの言葉を日常的に使っているが、自分はその言葉の意味を正しく捉えることができているか?と疑問に思ったので、安全とリスクの定義と関係について調べてみた。 安全とは? ISO/IEC規格によると、安全とは「許容不可能なリスクがない状態」のこと。つまり「許容できる程度にはリスクがある」と言い換えることもできる。急にリスクの話が出てきたが、リスクとは危険という意味でいいのか? リスクとは? リスクとは「危険度」

安全について学んだこと(災害発生のシナリオ編)

④災害発生のシナリオどのような要因でヒヤリハットや災害が起こってしまうのかを、災害発生のシナリオから考えてみる。 <災害発生のシナリオ図> 作業開始前 工房内のハザードとヒトとが離れていて、危険状態ではない。 危険状態 工房へ入り作業を開始した時点で既に、いつでも危険源と接触の可能性がある危険な状態にある。 モノの不安全状態、ヒトの不安全行動を防止する対策が必要。 危険事象発生 モノの不安全状態、ヒトの不安全行動により、ハザードとヒトとが接触することで危害が発生

安全について学んだこと(防災活動編)

⑤危険予知トレーニング危険予知トレーニングとは? 危険事象発生のポイントと行動目標を指差し呼称で顕在化する安全確認の手法のこと。労働基準局の実施する危険予知トレーニングの講習に参加したので、その内容をまとめる。 <座学> 安全衛生の歴史 1900年代初頭「生産第一、品質第二、安全第三」で生産を進め、多くの方が労働災害で亡くなっていた。特に戦後の労働災害が多発していた時期の企業の労務担当者の仕事は遺族への謝罪が主だった。1972年に労働安全衛生法が制定され、死亡災害は激

安全管理と防災実践

前回までのnoteで、安全管理について筆者が学んだことをテキストで記録していました。今回はそれをインフォグラフィックにして情報を整理し、まとめました。 ここに埋め込んだ画像ですと小さくてとても読めないので、リンクからデータをダウンロードしていただき、そちらを開いてご覧ください。 今回作成した<工房運営者のための安全管理インフォグラフィック>は、ただ情報をまとめただけのものではありません。見出しの①〜⑥まではどの工房でも共通する内容ですが、⑦作業着と保護具、⑨災害発生時の対応、

資料配布

原作:Shizuko TAKAHASHI 編集:みなさん 全て「原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であることを主な条件に、改変したり再配布したりすることができる」状態で配布します。 (5/1追記:はじめは、「表示-非営利-継承」のライセンスにしていましたが、継承の部分の「元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること」は不要だなと思ったので上記のライセンスに変更しました。) 非営利といっても、このインフォグラフィックそのものを商