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「衣、食、住、DJ」 vol.5 私的DJ論

皆様こんにちは。ホンダイズミです。
オタイレコードの<note>企画「衣、食、住、D J」第5弾。
今回はゲストを迎えてのインタビューではなく、担当の私自らが今思うことでありコレを外しては先に進めない話、つまり<DJ論>について語りたいと思います。

では、スタートです!

天邪鬼(あまのじゃく)という言葉はもちろんご存知でしょう。実は私、性質的にこのタイプである自覚があり、ちなみにNBTIは<討論者>。皆様に議論を投げかけます。

タバコをやめたのは29才の時。スタートは大きな声では言えませんが中学生時代であり、学校で吸っているのを集団で見つかってセンセーに怒られ罰として坊主頭にした経験もあります。
15年間に渡って吸い続けた中毒性のある嗜好品をやめた理由が分かりますか?
それは、周りの皆がほぼほぼ全員吸っていて目立たなくなったから。よーするに「ダサい」と感じたのです。
変人変態の私は他人と同じことが嫌。今とは違って映画でもTVでも俳優たちがカッコ良くタバコの煙を燻らせるのが当たり前の時代。仲間たちは当然皆吸っていたし、銘柄でオシャレ感を競うくらいが関の山でした。
一方で1980年代後半に米国で流行った<ヤッピー>(*都会で暮らす洗練された金持ちの若者達の総称)達はタバコを吸っていなかった。「デキるオトコ」の象徴として「健康を気遣う」ことはセットだったのです。
バブル崩壊前後、当時不動産業に従事していた私は彼らに憧れて仕事はヴェルサーチのスーツ、ゴルフウェアはカステルバジャックと派手な格好で毎日合コン三昧。
「タバコ吸わないの?」「うん。健康の為にやめたんだ。葉ならまだしも紙に火をつけて吸うなんてトンデモナイし服に匂いもつくしね」「ふ〜ん。そーなんだ♡」
そう。女のコにモテる為には(吸わない方がゼッタイに得!)と判断したワケです。笑

勘の良い皆様ならもうお気づきでしょう。
コレをDJに当て嵌めてみるとどーなるか。

タイから15年ぶりにナゴヤに帰って来た私が、まず地元の現状を知るべく様々なジャンルの店舗をひたすら訪ねて廻った末に、特に飲食店関連を散々訪れて感じた印象は「(イマドキの若い女子達は)可愛いコばっかりやん♪」という以上に「なんやコレ!DJだらけやん」というモノでした。街に溢れるサウンドバーやどこに行ってもあるDJブース、そしてそこでプレイする人達。「石を投げればDJに当たる」くらいのイメージですよね?正直に言えば、少しだけ苦い気持ちになってしまったのです。
実は私自身も恥ずかしながら趣味でDJをやっておりまして、キッカケは昔オーナーとしてやっていたカフェにブースがあったこと。自分の店でDJの面々がカッコいい選曲をしているのを目の当たりにして、どーしてもやらずにはいられなかったのです。
最初は<カンカン系>と呼ばれるボサノヴァやラテンなどのカフェミュージックでスタート。徐々にハウス・テクノ系へと移行してクラブでイヴェントも主宰していました。時代は2000年代初頭。今となっては懐かしい想い出です。

その後ニッポンを離れた私は、タイ王国にてまったく異なるクラブシーンを目の当たりにして愕然とします。盛り上がり方のレヴェルが天と地の差であり、皆で酒を浴びるほど呑み若い女子達がタンクトップショートパンツサンダル姿で体をクネらせ全身で楽しむスタイルは、まさにカルチャーショックでした。
ニッポンに帰国後、「竜宮城(*タイのパタヤのこと)」から戻ってすっかり冷静さを取り戻した私は、実家の倉庫から古いレコードを引っ張り出して来てDJ活動を再開。新譜も購入しつつ現在もサウンドバーを中心に月に二度程度のペースでプレイしています。
15年ぶりにいろんな場所でDJというかB.G.M選曲を担当してみて、今思うことは「どーいうカタチでやめるか(引退)」についてです。
これだけ当たり前になってしまった状況でDJをしている自分がどーにもしっくりと来ない。
そう。ある意味ではタバコと一緒ですね。

私の師匠M氏は「ギャラを貰わずに対外的にDJをやるな。プライドを持って常に本気でやれ」と口を酸っぱくして言っていました。技術的な部分よりも精神論の方を重視していて、「フロアを操れ」と。<ヘラルドローラーリンク>、<今池カラーズ>などナゴヤのDJのハシリで、もの凄いプレイをする人でした。
今でももちろん教えは守っていますし、依頼があれば(友達の店の周年パーティーのお祝い以外は)金額は低くとも出演料をいただきます。
コレはあくまでも私の個人的定義ですが、「オーディエンスの心地良さを最優先に考えてその場で出来うる限りのことを真剣にやる」ことがDJの使命だと思っています。ギャラを取らずにそこまでするのは難しいのではないかな?とも。それはやはり「意識」(本気度)の問題としてです。

音楽業界全体の発展や裾野を広げるという意味ではDJの絶対数が増えるのはおそらく良いことなのでしょう。私が知らないうちにジャンルも多種多様となり、アンダーグラウンド以外のシーンが当たり前となってオーディエンスの楽しみ方も随分変わって来ましたよね。
しかしやはり弊害もあって、昔のように「特別な存在」ではなくなってしまったのもそのひとつかもしれません。今後も増え続けていって、いずれは淘汰の時代がやって来るはずです。
私が今やめようと思っている理由は、「モテたい」ではなくそちらの方です。自分のファンを増やしていく自信がないのです。それよりも得意な分野に特化して、例えば「話すこと」「文章を書くこと」を中心に活動をしていこうと考えています。

自身の経験も踏まえて間違いなく言えることは、「DJってサイコーに楽しい♪」という事実。
(コレぞ!)と思う曲をかけてフロアが盛り上がる瞬間はアドレナリン出まくりだし、お客さんのダンスや笑顔や声掛けや、乾杯したりドリンクご馳走になったりグータッチしたり一緒に写真撮ったりヴィデオ撮ってくれたり、やりがいがあって自己肯定感満載の素敵な仕事であり、コアな趣味でもあると私は思います。だからアンチテーゼとしてではなく、むしろ今後の発展を願ってこの文章を書いてるのです。今やっている人もこれから目指す人も含め、皆で音楽業界を盛り上げていこうではありませんか!

そして、機材やグッズを購入の際はもちろんオタイレコードで。
通販はもちろん、名古屋市中区大須にオープンした実店舗
<LEBEN by OTAIRECORD>では、機材に実際に触れて音を出すこともできます。

今回は私の個人的DJ論でしたが、皆様それぞれご意見があることでしょう。
その辺りはこれからのゲストインタビューなども含めて、この場でもお伝えしていければ良いな、と思っています。

それではまた次回お会いしましょう。

TEXT : ホンダイズミ(PLUS+ Talent Agent 代表)

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