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都会でいい感じで暮らす本をだれか書いてくれ→ありました

ありました。

タイトル通りなんですが、以前こんなnoteを書きました。

東京でマネーゲームに踊らされることなく逆張りで資本主義を否定するわけでもなくいい感じで暮らす思想の実践を描いた本が読みたい。

こんな本ねーだろと。あったとしても、どうせミニマリズムに生きようとか、あるいは薄っぺらい自己啓発の類でしかないんだろうと。

そんなぼくに届いたツイートがこちらです。

ハンチョウ。

「ハンチョウ???」という疑問符と同時に「それだ!!!」と叫んでいる自分がいました。

ここで『1日外出録ハンチョウ』について説明しておくと、『カイジ』で出てきた地下チンチロ編の班長・大槻が主役のスピンオフ作品です。タイトル通り、「ふだんは地下で労働している大槻が、たまに息抜きで1日だけ外出する」、たったこれだけの作品です。
そもそも「カイジってなに?」って人には説明がめんどくさいので、以下を読んでおいてください。というか本編を読んでください。ちょっと前に藤原竜也主演で映画化もされたので、そっちを知ってる人も多いかもしれません。

一応書いておくと『1日外出録ハンチョウ』は、べつにカイジ本編を読んでいなくても楽しめます。完全に独立した別作品と思っても問題ないです。なんならぼくにハンチョウを貸してくれた人はカイジを読んでいませんでした。それはそれとして、カイジ自体も面白いので、興味のある人はぜひ。

で、悩みに悩みました。
一回、人に借りて少しだけ読んだことはありますが、はたしてこの作品を買うべきなのか。
なんならその人からもう一回借りて全部読めばいいのではと。既刊分で10冊、合計6000円ちょっと、少し悩みます。

ここで唐突にフラッシュバックする大槻の名言

『欲望の解放のさせ方がへた・・・いわんこくんが本当に欲しいのは・・・』

気が付けば、kindleでハンチョウを全巻ポチってました。

で、全巻一気に読んでみた感想ですが、マジで死ぬほど面白い。B級グルメ漫画としての完成度も異常なんですけど、「大槻っていうキャラクターをよくもここまで再解釈してこんなに面白いギャグ漫画を描けたな」という驚きがありました。

しかも冒頭の『東京でマネーゲームに踊らされることなく逆張りで資本主義を否定するわけでもなくいい感じで暮らす思想の実践を描いた本が読みたい。』という問いに、120点満点で回答しています。

どのエピソードも満点としかいいようがない出来なのですが、いくつかハンチョウ大槻の名シーンを引用していこうと思います。

たとえばある日、ハンチョウ大槻が街をブラついていたときのこと。我々がよく目にする、というか我々自身が以下となります。

食べログに右往左往する若者に『駄目駄目・・!』とハンチョウ大槻。

『ネットは便利だが・・・その便利さ故に・・・にぶくする・・・!判断力を・・・!!』

『大事なのは他人のつけた評価よりも・・・自分・・・!!!』、ハンチョウ大槻の目には、スマホに飼いならされた我々とはまるで違う世界が見えています。

また別のある日のハンチョウ大槻。

仲間たちと海に向かった大槻は、なんとあろうことか服のまま海にダイブします。

慌てる仲間たち。しかしハンチョウ大槻は『欲望の解放のさせ方が下手・・!』と語りかけます。

『大人になるべき社会では子供じみたわがままを言い、遊ぶべきところで変に大人ぶる。入れんでどうする…………?少年スイッチ…………!!』、みなさん心当たりはありませんか??

ほかにも名シーンはいくつもありますが、それこそ全話紹介することになってしまうので、最後に名シーンをもう一つだけ。

仲間たちと街に飲みに出かけたハンチョウ大槻。しかし飲みの終わり、ある仲間が泣き出してしまいます。

『帰りたくありません・・!地下になんて・・!!』

そう、ハンチョウ大槻たちは地下労働者。明日からはまた強制労働に従事するつらい日々が待っています。みなさん、胸に手を当ててください。心当たりはありませんか?

しかし大槻は語りかけます。

『そのパサパサの飯があるからこそ・・・今日の感動があったんじゃないか・・・!!!』、労働の意味がここにあります。

もうほかにも名シーンは山ほどありますが、あとはみなさん自分で読んでみてください。

他人の評判に踊らされない自分自身を持ち、少年のように欲望を解放させ、つらい労働にも意味を見出すハンチョウ大槻。

『1日外出録ハンチョウ』は『東京でマネーゲームに踊らされることなく逆張りで資本主義を否定するわけでもなくいい感じで暮らす思想の実践を描いた本』として満点と言えるでしょう。

最後にもう一度リンクを貼っておきます。悩み苦しむ皆さん、ハンチョウに答えがあるぞ・・・!!!

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