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「half」とつぜん考察

【7/12 追記】微修正・微追記しました

MILGRAM考察7曲目です。
ハルカと並んで最高難度、界隈でも最も悩まれていた…しかしその実ギャグ曲を、相互Aさんに頼りまくって剔抉します。
見栄と言い訳の曲。

※浮気、自殺、精神疾患についての話題を扱います。苦手な方やフラッシュバックの可能性がありそうな方はなるべくバックしてください
※徹頭徹尾個人の意見!!!!!
※誤字脱字はスパイス(そうか?)
※図解としてYoutube公式動画からスクリーンショットさせていただいていますが、問題があると判断した場合即削除いたします
※先人の方々の考察に影響を受けている箇所があります。自分で見つけた考察・根拠でないときは必ず言及します
※サムネイルは自作です

導入


実早登です…。

自信なさ過ぎてもうこのテンションです。

今回はhalf、ひいては椋原一威の考察をしていきます。
独自考察ルール等については「弱肉共食 とつぜん考察」をご確認ください。

早速始めていきます!

楽曲ステータス


〇推理難易度 ☆☆☆☆☆ 2/10人
〇殺人描写推理難易度 ☆☆☆★★ 死因は分かる。根本の原因は悩みどころ
〇心情描写推理難易度 ☆☆☆☆☆ 「嘘」がテーマのせいで最悪。しかしギミックに気づけば…
〇殺人対象推理難易度 ☆★★★★ ありがたいことに一択
〇時系列推理難易度 ☆☆☆★★ ラストサビに要検討箇所あり
〇反省度推理難易度 ☆☆☆☆☆ 嘘にかぶさったもう一枚の嘘がポイント
〇周囲環境推理難易度 ☆☆☆☆★ 強いて言えば服装か
〇必要リアル知識難易度 ☆☆★★★ 林檎と永訣の朝について
〇歌詞難易度 ☆☆☆☆★ 難関だが心理から逆算すれば割と単純
〇ホラー度 ☆★★★★ 雰囲気はひたすら穏やかで切ない てかもはやギャグ
〇胸糞度 ☆☆★★★ お前まだ続けるんか…

二審、始まったが

推しの片目なくなっちゃったゆ…

すみません、先に二審の話を軽くさせてください…。

紆余曲折ありましたが、始まっちゃいましたね…。とりあえずここをリアタイで見届けられたことは嬉しいです。
いや嬉しくないが。最推し二人(フータ・マヒル)がそろって外傷でめちゃめちゃになっちゃった。シドウが今のところ生きる意味を見出してくれてるっぽいのは嬉しいけど、どうせ過激化してんだろうな~…

囚人たちの心情の変化ですが、思想の強化や揺らぎなどがあっても基本的に急に新しい人格や考えが増えているわけではないですね。
既に考察記事を出したキャラについては、そこで見てきた心理構造から二審の台詞などが矛盾している箇所はなかったので。予想外な変化こそあれど(マヒル…外傷…コトコ…しっちゃかめっちゃか)、とりあえずこの方向で考察してよかったな~と思っています。
…酷だけど;;;;;

二審全体の考察についても追々やれればな~と思います。気長に。

はじめに


出たわね。

ハルカと並ぶアホンダラ難易度を誇るカズイです。
ずーーーっと(いつかhalfやるんだよな…)と不安に思っていました。でもまあ後の話だし…とか思ってました。
来ちゃった。

カズイのことを難しすぎると言っているのは私だけではありません。

投票現場に当時いませんでしたが、報告を見る限りでも投票結果・推移の安定した「赦す」度合い。そしてジャッカローブに「様子見か?」と言われる始末。すみません
それくらい難しい…あるいはコンテンツのターゲット層と相性が悪いんだと思います。

カズイが難しいと思われている理由は大まかに三つ。

①演技モチーフでテーマが「嘘」のため、全情報の信憑性を疑う
②本人の人当たりが良すぎる
③単純に年の離れた大人で、共感しにくそう

①はどれも嘘かもしれない…と疑りだしてしまうと埒があきません。②は表面がいい人すぎて危機感を持てないか、あるいは持ちすぎてしまい色眼鏡をつけて考察してしまいがちです。
そして③ですが、MILGRAMってけっこう若い層をターゲットにしている気がしています。中二心をくすぐるようなシステムやデザイン、あと感情を扇動してくる感じとかが。
で、カズイは39歳。年上の人ってそれだけで敬遠してしまうところがある気がします。絶対とは言いませんが。そして思想も自分には関係ないものだと思ってしまう気もします。

だいたいこんな感じで苦手としている人が多そうなカズイ。私もいつまで経っても大枠がつかめず苦労しました。
それでなんですけど、考察でお世話になりまくってる例の方、相互AさんにふらっとMILGRAMを宣伝したんです。こんなやべえコンテンツがあるんですよ~という感じで、そうしたらなんとありがたいことに、その場で全楽曲聞いていただけました。
どうなったと思います?

カズイの曲聞いて爆笑しだしたんですよ。

あ?????

なに?なにが?と思っていると
「そういうことかーーーーーッ!!」「カズイ、わかりやすすぎるよ~~~~!!w」「こいつ必死で大人ぶってるおこちゃまなんだってww」

え、ええ……

他にも当時私が大苦戦していたユノ・シドウ・アマネなどについてちょうど理解できる、分析しやすいと考察や意見を提示してくださって、ああこれはAさんの力をお借りしよう…と思い、以降記事を書くにあたって何度もお世話になりました。
本当に本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

ということで、今回はAさんの力を過去最高に借りまくった考察になっております。
それでも自分の中に落とし込めるまでは徹底的にやるつもりです。来いカズイ! オレは実は一回殴られただけで死ぬぞオオ!

殺人の経緯


カズイはめちゃめちゃ難しい楽曲の持ち主だが、それでも私は2位とハルカより下の順位をつけている。
理由は被害者の正体と死因が非常にわかりやすいから。ハルカはここすら曖昧だったが、ありがたいことにカズイはここの描写が明瞭。

ベランダの柵の向こうに立つ人間
カズイと相手のひと悶着?
女性がいなくなったベランダ

被害者の死因は飛び降り自殺

直後林檎らしきものが割れて壊れていることからも、この時死んだとみて間違いなさそう。いつもの「物が壊れたら人死に描写」理論。
場所はベランダと想像している。左側に暗くなっている部分があり境界線が斜めなのが屋上と仮定すると違和感があるので、前方にあるカーテンが透けたもの(少し風に揺れている)ではないかというのが根拠。

自室の窓から見えるベランダともデザインはほぼ一致する。色味の似たカーテンもある。

他にも根拠がある。

まず2周年記念アートワーク。
カズイの場合、背景の血痕はやや斜め下から吹き出すようになっていて、カズイもそこを見ている。まるで何かが落ちたかのよう。
またカズイの掌の血痕は、少しはあれど他の殺人を犯したキャラほど顕著でない。掌の血痕描写はこれまでの考察記事でも直接人を殺したかが関係していると考察してきた。カズイが他に直接人を殺してはいないキャラのように掌の血痕が大人しめなのは、カズイも直接手をかけていないからと考えたい。

次にアンダーカバーの殺人立ち絵。

ここのカズイは被害者(エス代理)を抱え起こすようにしながら慟哭しているようで、明らかに殺人に及んでいないポーズになっている。血痕はエスの背中側全体からカズイの体に触れた部分に垂れていて、飛び降り後の描写としても正しい。
またマヒル同様エスの靴が片方脱げているといった自殺らしい特別な描写もあり、やはり飛び降り説を補強して良いと思う。
そもそもアンダーカバー殺人立ち絵の直接間接の描写の違いについての法則ができたのは、カズイが原因だったのだが。

最後にアンダーカバーの場面描写。

これもほぼ同じ。倒れ込んだ人間に寄り添うように座り込んでいるのは、殺人立ち絵と同じシチュエーションではないだろうか。

ということで、この記事では被害者の死因は飛び降り自殺と推定する。
そもそもボイスドラマでも、カズイは自身の行為について「俺のこれをヒトゴロシとするならばあまりにも解釈が広すぎる」と説明。確かに被害者が自らの意思のみで自殺したとして、その原因となったカズイを人殺し判定するのはかなり広義な解釈ではある。

では被害者の正体と、大まかな事件の概要もここで判断する。

被害者はカズイの妻で、事件は大体浮気のようなもの。
そう判断するに至った根拠も出していく。

まずカズイの左手に指輪があることから既婚者であることは確定。

妻はこの女性。MV中でカズイと同居する描写がある人間は、この一つ結びで黒い服を着た女性以外いない。

左手薬指

また彼女自身も結婚指輪をしている。ほぼ妻で確定。

自殺したのもこの女性。黒い服のデザインが黒い服の女性と一致する。直前の立つシーンでも一つ結びの髪が見える。

しかし、このMVではもう一人カズイと親しげな女性が登場する。

この茶髪の女性。あからさまに色っぽいドレスが特徴で、妻とは言い難い。左手を見ても結婚指輪はしていない。カズイと茶髪の女性は、バーのみで交流をする。
自宅のカズイは青いシャツとネクタイ・スラックスで比較的真面目な格好をしているが、バーに行く時は捲っていた袖を伸ばしてここにベストと肩掛けを加え、ポケットチーフまで入れてやる気満々。何かっこいい面してんねん。

また、こんな歌詞もある。

「今までの時間が傷を付けて 気持ちの秤は揺れることを選んだ
今までの(それぞれの女性と築いた関係の)時間が自分の判断を渋らせ、本当はどちらか一人を選ばなければならないのに両方とばれずにうまくやっていくことを選んだ(=気持ちの秤)。まさに浮気
これならエスがボイスドラマで、カズイに対し「お前のが人を殺した」と言うのも分かる。浮気とは少なくともどちらかに嘘を通して行うものだからである。
またタイトルである「half」も、一人を選ぶのではなく二人を中途半端に選んでいるという意味が当てはまる。halfは使いようによっては中途半端という意味も持つ。

「もう半端ばっか 救えないな」

するとアンダーカバーのカズイパートの台詞もここに該当してくる。
以上をもって、この先は浮気説を支持して進行していく。

青林檎と演劇


もう少し情報が欲しいので、次に特定が容易な婉曲表現を精査する。

ジャケットやMVに登場する主な婉曲表現は舞台、観客席、仮面、青林檎、椅子

  • 舞台:現実、演じる自分

  • 観客席:本音

  • 仮面:体面、見栄

  • 青林檎:誘惑

  • 椅子:最も愛する人のポジション

まず林檎の実の花言葉は誘惑

ヘビがアダムとイヴに知恵の実(林檎)を食べるよう唆した逸話が元。MVでもジャケットでも実を強調していたので、実の花言葉重視で良いと思う。
また赤ではなく青林檎なのは、MVでのちのち熟すから。青い状態と赤い状態に差異があると予想。

曲がった欠片が多いのと、赤い面にざらざらしたテクスチャが目立つ。
林檎(レプリカ)と考えたい

1番Aメロの時点でのカズイは、まだ茶髪の女性と交流するには至っていない。

見ているだけ。交流はない

女性を見つめてはいるものの、女性側はカズイを一切見ておらず、またカズイからのアプローチもない。まだ茶髪の女性と関わりあっていないと思われる。

しかしカズイが青林檎を視認した後は、茶髪の女性と明確に交流を始める。

また、カズイの妻が自殺をしたのもカズイが青林檎を食べる表現の直後。

青林檎はそのまま解釈してしまうと脈絡が無さすぎるほか、パッケージデザインにも使われているため婉曲表現と捉えたい。
ということは、青林檎が示す何かにカズイが関わったことで妻の死を招いたと考えられる。そこで浮気というテーマと照らし合わせて検討したのが、林檎の実の花言葉「誘惑」となる。

次に演劇の舞台と観客席
カズイのテーマ「嘘」に従い、舞台が嘘・観客席が本音と捉えたい。

何かを考えるようにうずくまるカズイ
人当たりのいいカズイ

舞台では完全ではないといえ(背景が平面、天井に照明あり)、基本実在しうる出来事を表現している。一方観客席のカズイは大体座りっぱなしで、前半はほぼ出来事に巻き込まれない。
それだけでなく、舞台のカズイがほぼ笑顔を保ち人当たりもよく、観客席のカズイは逆に真顔や迷いなどのネガティブな表情を見せる。ボイスドラマや他台詞でも人あたりの良さが目立つ一方、ボイスドラマでそれが嘘だとエスに見抜かれたカズイを考えると、舞台が嘘で観客席が本当と考えるのが自然に感じる。

さらに次に、椅子。

スポットライトが当たったりカズイが跪いたりと意味深

この椅子は最後まで誰も座らないということが重要。
カズイはこの椅子に向かって跪き語りかけるような演技を行う。誰もいないのに。
浮気や誘惑といったここまでの流れを踏まえると、ここに本来座るべきは真に愛する一人ではないかと考えている。
カズイは最も愛する人のために跪き愛を謳う。しかしそこに誰もいないということは、カズイが真に愛する一人の相手がいないということになる。
これをさらに証明出来る根拠がカズイの誕生花。花言葉の信憑性は山中さんの発言やこれまでの考察で確たるものになっている。

カズイの誕生日:8月5日
誕生花:ムラサキツユクサ
ムラサキツユクサの花言葉:「尊敬しているが恋愛ではない

うっわ(素)
カズイはそもそも妻に真の恋愛感情など抱いてもいなかったと思われる。しかし茶髪の女性への愛情もガチではない。椅子に誰もいないから
バースデーケーキ、あるいはウエディングケーキが左右でデザインが分かれているのも、二人の女性の間で思いが揺れ動くカズイらしい。チョコレートケーキのほうが薔薇やパールで色っぽいデザインなので茶髪の女性イメージだろうか。

ここまで見れば「半端ばっか」の意味はだいたいわかるようになると思う。

最後に、カズイが演劇中身につけていた仮面

この仮面はサビの演劇パートの時カズイが装着する。一方観客席のカズイは身につけていない。
しかし、最後の最後で一時停止すると…

あと数フレーム遅いと完全につけてる

カズイが右手に持っているのはどう見ても仮面。今まで傍観していたカズイもついに仮面をつけて舞台に立つということだろう。
ここでMVが終わることから、このシーンは将来のカズイの生き方の目標を表していると考える。それはつまり、この尋問。

これからカズイはずっと嘘をついて生き続けるよ、という決意の表れ。
浮気という嘘で人を殺したのに。

これを見ていると、カズイは自分の過ちを本気で反省しているとは思えなくなる
その様子はボイスドラマからも伺える。ボイスドラマでカズイは自分の弱みや愚かさについて、少し喋りすぎではと言うくらい自己開示する。
しかしエスの解答は同調などではなく『「大人」をお前の弱さの理由にするなよ』。ここまでエスのボイスドラマでの他者評価はかなり冷静かつ的を射ているものが続いたため、私としては信用を置いている。つまりここがカズイの本質。
そして本質を言い当てられたカズイの返答は今までの自虐ではない。『俺の気持ちも知れずに知ったふうな口を聞くなよ、子供が』である。心から反省していたら決して出ることの無い言葉に、エスは「初めまして」と真のカズイに挨拶をする。

つまりカズイは思われているほど大人でもないし責任感もないし、反省もない
それを隠し嘘によって良識のある大人として生き延びているのがカズイ、と思われる。
「嘘」というのは大人の使うテクニックあるいは情報を錯綜させる技というより、弱く見苦しい自分を隠すための体裁である。

ここを踏まえてカズイを見返すと、一気に空気が変わる……
というか、ギャグになるだろう。
先に言っておきますがこいつ、そんな悲しい男じゃないです。

浮気の流れ


ここまで婉曲表現の正体から、カズイのいう大まかな「嘘」の正体について洗い出すことが出来た。さらにこの嘘について詰めるため、次は実際に起こった出来事についてMVから精査する。
ただしイントロ部分の映像についてはもう少し情報が欲しいのでいったん保留。

林檎に気づく

瓶の置かれた棚はよく見ると平面

1番Aメロ。場所はバー。茶髪の女性を横目で見ている。
カクテル言葉を推定出来たら面白かったが、ハルカのネックレスの石などのように色のみで描写されるタイプの小物は如何様にでもとれてしまうため、制作陣としても読み取りを意図していないと考える。
またバーのマスターもちょっとカズイっぽくないか?と思ったがカズイにはない口髭が見えるので別人。だいぶ似てるよなあ…

後ろの風景もパネル、上部は照明

次の場面は自宅。カズイはベストとスーツを脱ぐ以外はバーと同じ格好。このシーンで左手を拡大すると若干指輪らしき描き込みがあるため、この時点で結婚はしていると思われる。
妻が読んでいる雑誌は特定とまではいかないが、インテリア雑誌に見える。これからの暮らしをカズイとともに考えているようである。
他に目立つ情報はなし。

次に場面が観客席に移動。少し哀愁が見えるものの、舞台では見せていた笑顔がない。まるで日常生活を遠くから傍観しているような様子から、観客席シーンは本音や俯瞰するカズイと捉えているが、バーや家庭で見せていた微笑みも作り物と思うとがっかり感がある…。

林檎のさらに奥に人影

するとカズイが自分の席の横にある青林檎に気づいてはっとする(人影もあるが、カメラの焦点の当て方とこの後の展開から林檎を見ていると考える)。
青林檎を誘惑と捉えるなら、カズイは「そうだ、両方好きなら浮気すればいいのか」と手段に気付いてしまったという描写と考えられる。まさに知識を得てしまったアダムとイブっぽい。

演劇パート1

突然の演技パート。もちろんカズイが本当に役者だとは思っていない。婉曲表現は突然脈絡なくやってくるといういつものMILGRAMあるあると考える。
ここではカズイが仮面を着け、さらに服装をシームレスに変えながら演技を行う。見たところ演技の仕草ひとつひとつ自体にそこまで深い意味はないと思っているので、まず服装から見ていきたい。

①中世貴族?風

胸元のジャボ(フリフリしたやつ)と赤いマントが印象的な、いかにも演劇らしい最も目立つ服装。
具体的に何に似ているとは言い切れないが、ヨーロッパの中世貴族の服装とよく似ていた。
そのうえであくまで憶測になるが、中世貴族の夫婦関係とは政略的な意味が強く、さらに嫡子さえ生まれれば浮気もかなりなされていたらしい。全くないとは言えないが、恋愛的意味がだいぶ希薄だった模様

憶測成分が入るため断定はできないが、もしそうだったとしたら服装すらも半端なカズイを揶揄しているようで興味深い。
「三銃士」も裏に浮気の絡んだテーマなのでそのあたりかな?とも思ったが、やはり断定できないので没。

②ワイシャツ+ベスト+肩掛けスーツ

カズイがバーに行く際の服装。よく見ると左手に結婚指輪。
そういえば茶髪の女性、カズイが指輪嵌めてるのを割と堂々と見せられているということは妻帯者であることを分かっていて交流していたんだな…うーん。

③ワイシャツ

カズイの自宅での服装。ベストとスーツをつけると②になる。

④軍服?

私は当初警察か?と思っていたが、警察というにはちょっとゴツい。
ここで相互Aさんの知見を頂き、飾緒(胸にかかっている紐)、帯のようなもの(サッシュ)、肩に飾られたごつくてふさふさのアレ(エポレット)があるのでおそらく軍服とわかった。

日本で軍服と言えば自衛官。カズイは自衛官だったと考える。空自海自陸自どれだったかは分からないが、カズイが格闘技に精通しているというのを考えると陸自ではないかという安直な予想。

ボイスドラマでも出会い頭にエスを慣れた手つきで拘束し、二審開始時もコトコからフータを守るなど体を張った芸当を見せるため、これらの格闘技が単純な趣味だけとは言いにくい。
またボイスドラマで「取り調べされるのは初めてで新鮮だ」という台詞があった。そんなのは大抵どの囚人でも同じだが、個人的にまるで自分自身が取り調べをしたことがあるのか?というような響きが気になった。もしかしたら自衛隊のなかでも警務科かもしれない?

なんかこんな記事も見つけた。あくまでカズイの参考程度に、全ての自衛官の方々に適用するのは絶対にやめてください。

確かに自衛官は外出が多く連絡をそこそこ取りづらく、またそこそこ収入が安定しているなど、浮気をするチャンスは多めかもしれない。あのような性格のシドウの職業をあえて外科医にした山中さんのことだからそこも計算してキャラメイクしている気がしてきた。しかしチャンスがあるだけで必ずではない。改めて。自衛官の方々いつもありがとうございます。すみません

この尋問を見ると無職じゃね?と思うかもしれないが、それだと自宅で仕事服を着ているのが変。
それに「自由にさせてもらってるよ」はエスに対しての言葉。以前は仕事があったがミルグラムに収監されてからは仕事がなく、自由なスケジュールで暮らしているよという意味では?

服装については以上。明らかに普段来ている服と着ている描写がない服(特に貴族風衣装)が入り混じっているのが少し妙。
しかしこの演劇描写が青林檎を見つけた後であるのと、舞台上で常に仮面を着けていること、誇張するような演技が目立つことを考えると、カズイが四方八方で嘘という仮面を被って生きている様子を表現しているように思える。
カズイが浮気を思い立って実行に移したとする。すると自宅では当然妻に対して一途さを表現して嘘をつく。しかし妻に対しても愛情が半端に残っているせいで、茶髪の女性に対しても一途っぽい嘘をつく。さらに職場でも清廉潔白さを出すため嘘をつく。全方面で卑怯に嘘をつき続ける。まるで中世貴族という例え方をしているよう。演劇パートが表現したかったのはこれではないだろうか。

浮気エスカレート

演劇を見ているカズイは、大げさなふるまいやおおらかな表情を見せる舞台のカズイと違って俯き、あまり表情がない。考え込んでいるような迷っているような、舞台とは異なるネガティブな印象を感じた。
たとえば結婚指輪を見るシーン。このシーンは観客席と舞台両方で行われることから、感情・所作がそのまま現実の暮らしの中でも出ていたと考える。

妻が見ていないのでそういった所作をしてもまあバレない

自分が妻帯者であるという自覚はあるもようで、時折そんな自分を自虐するような思考には陥っていたようである。ボイスドラマでもカズイは相当自虐癖がある。全く何も思っていなかったわけではない。
1番と違いカズイと妻の距離が離れているようである。顔も合わせていない。不仲とまでは言わないが、カズイ自身が浮気にかまけて妻との距離を離しているようである。あるいは妻の気持ちへの疑心か?

それはそれとして浮気はエスカレートするんだが。
嘘をつかないと生きていけないんだよ(泣)じゃないんだよ

この浮気中、観客席のカズイは真顔。プロフィールにもあった、人当たりのよさそうな素の裏でちらつく相手を観察するような警戒するような眼、というものをここで感じる。ミステリアスと言ってしまえばかっこいいが、後でする考察も含めると単純に失態を恐れて・嫌われることを恐れてがんばっているという感じがしてしまう。

浮気、バレる

しかし今までうまくいっていた彼なりの演技もついに破綻する。
観客席のカズイにそれを気づかせたのは舞台のカズイ。一見意味不明。

首をクイと動かして察させる

服装からしてバーにいたときのものと一緒で、時系列も一緒と思われる。ということは浮気がバレた証拠を知った時間と、心理的に理解した時間に若干ズレがあるかもしれない。
カズイはまるで演劇を見るように状況を俯瞰する癖があるが、そうすると状況証拠自体に気付くのは比較的早いかもしれない。しかしそれでも「…やばいバレた!?」と、気づくまでにちょっとしたタイムラグがあるということは浮気に限らずある。難しいが、そういう状況を表していると考えてみた。少なくともこの場面にカズイしかいない以上、赤の他人に教えられたわけではない。

「…なんか妻がいるな」

「妻!?」

「えっやば」ガタン

ださwwwwwwwwww

というわけで妻とのご対面。めっちゃダサい。
カズイが青林檎を見つけた時さらに奥にあった人影は、他に該当者がいないことから妻だったのではないだろうか。とするとカズイの嘘にだいぶ前から気付いていた可能性もある。ますますダサい…。
青林檎を載せたテーブルが前にあり、その青林檎=誘惑=浮気を巡った問答に見える。しかしまだカズイは青林檎に直接手を付けてはいない。この時点ではまだ引き返せたのだ

妻の顔は当然だが厳しい。それでもカズイの頬に手を当てるなど、妻からの愛は本物で、まだ許すしまだ信じている模様。なんて寛大なんだ…カズイなんかよりずっと大人だろ。

カズイもその手を取って、穏やかな顔でそれに応える。これで一件落着…
ならよかったんですけどね。

自宅で過ごすカズイ(浮気問答中、手を取った直後と思われる)にスポットライトが当たる。これから演劇を始める、ということは、カズイは見栄を張りたい、弱い自分を守りたいという欲望から逃げられなかったということになる。ここからがカズイの罪。

演劇パート2

服装はほとんど1の時そのままに、再度情熱的な演劇パートが始まる。
しかし決定的違いがある。仮面がない。これが何を示すかというと、カズイの尋問にある「感情優先して失敗した」ではないだろうか?

登場する服装は貴族→軍服→ワイシャツ→スーツ。これを時系列と考えるなら(貴族は置いておいて)、仕事行ってちゃんと自宅に戻ったと思いきやまたバーに行ったということになる。これを裏付ける根拠は後程改めて出す。なんも反省してない。

最後まで椅子に座る人間はいない。カズイが一途に愛するたった一人の人間はいなかった。

終幕

背景のスクリーンで演劇の場面→婉曲表現入りの現実らしき場面、の順に繰り返し次々場面が移り変わる。逐一スクリーンショットを出す。

①テーブルに向き合う

青林檎に向き合うカズイ。直前に映る演劇シーンのカズイの格好はスーツ。

②林檎を取る

ついに青林檎を手に取ってしまう。直前の演劇衣装は貴族。

③林檎を食べる

青林檎を食べる。誘惑への敗北であり妻の死因。直前の演劇衣装はスーツ。

④ベランダの妻

自殺直前の妻。流れを見ても、やはりカズイが青林檎を食べたことこそが最大の罪にして妻の死因と考えられる。直前の演劇衣装はワイシャツ。

ここまで、①~③がスーツと貴族衣装のみ。そしてシーンが明確に自宅に移るとワイシャツになるというのは、関連があると考える。つまり直前に映った衣装と情景が連動している
流れを見ると、カズイは妻に愛を返したにもかかわらず、また懲りずにバーに出かけ、茶髪の女性と今まで以上に強く交流した(青林檎に向き合って食べる)。最悪肉体関係。
そして自宅に戻ってみると妻がベランダにいた、ということになりそう。死ぬわそんなん。

⑤ひと悶着

左にいるのがカズイ、右が妻。妻がカズイに何か強く言っているようである。
直前の演劇衣装は貴族。この期に及んですら虚構と言い訳で自分を守った。これが本当に最後の機会だったかもしれないが、ここでカズイが動かなかったことで妻は飛び降りる。

⑥無

前後を見るに妻の飛び降り。直前の演劇衣装は変わらずワイシャツ。

⑦誰もいないベランダ

妻の死。直前の演劇衣装は軍服。自分が自衛官であることもあり、その役目も利用して急いで救急車を呼んだ、ということかも。
直前の演劇衣装に偏りがあったことから分析してみるとうまくストーリーがまとまって面白かった。

カズイが食べた青林檎は割れ、さらに赤く熟す
妻と捉えることもできるが、今までの話の流れを見ると茶髪の女性を表しているように思えた。熟したのも、まだ憶測だが肉体関係と考えるとそれっぽくなってしまう。浮気どころか不倫だが…
割れているのはなぜかも推測が難しいが(今までだと物が壊れると人の死の可能性が高かった)、もしかすると茶髪の女性にも振られた…?(根拠はあまりなし)
ボイスドラマでカズイが認識した死は「あいつ」(=妻)一人だから、茶髪の女性までも死んだとは思っていない。なのでこの解釈。

ここまでの人の不幸を招いてしまったカズイだが、ここで観客席にいたはずのカズイが舞台に立つ。そして仮面を装着する。嘘をつき続ける。カズイ曰く「後悔はしているが反省のしようがない」。

感情を優先したとは


ここまで見て、カズイが尋問で言った「感情優先して失敗した」「嘘をつき続ければよかった」がどういうことなのか考えたい。
一番それっぽいと思う描写は、やはり仮面を外した演劇パート2。そしてカズイの感情とは観客席のもの。上辺を装った愛ではなく、本音をあらわにしたことで妻が死んだとカズイは思っている。
根拠はボイスドラマにもある。カズイが本音をむき出しにする直前に「深い傷をつけないように受身を取ることばかり上手くなっていく」「俺の嘘がアイツを殺した」「そして今も俺は何も変われていない」と発言をしている。自分の心を守るための嘘ばかり上手くなり、その結果嘘がバレた時人を傷つける。嘘をつかなければいいのに、心を守りたいがために妻が死んですらその癖を変えられない。実際ボイスドラマでも言い訳のオンパレードである。
そして「本音」とは。

「確かめて苦しむならば このままであなたの傍にいて」
→「If I were to make sure and suffer, I would rather be by your side」
訳「もし仮に私が確かめて苦しむならば、むしろあなたの傍にいたい」
確かめて苦しむとは、本音や真実を伝えた結果拒絶されるということかと考える。
その流れについても二審トレーラーで言ってくれてしまった(完全には聞き取れないが)。

あのさ…笑わないで聞いてほしい

これを皮切りに言うこととは、まさしく隠していた事実ではないだろうか。妻が自分を愛してくれていると分かったからこそ、もしかしたら受け入れてくれるのでは…と隠し事を打ち明けた、ということと考える。

では具体的に何を言ったか?というと、想像になるが

「実はもう一人好きな人がいるんだ」
「でもどちらのことも愛していて、傷つけたいとは思わないんだ」
「両方とずっと一緒にいたいって思うんだ」

うわ…

ここまで考察すると、あの質問に思うことが変わるのではないだろうか?

そういうことじゃねえ!!!!!!!!
ありえない話し!謝れ!!謝れ!!(朝〇龍)

カズイは浮気をしなければよかった、ちゃんと一人を選んで向き合えばよかったと言っているのではなく、最後までバレないようにやればよかったと言っているのだ。自分は元来嘘つきだから仕方ない、「どこで間違えたのか 初めからだろう」、と言い訳をして。普通に浮気した行為が罪なのに。

大人とかどうとか一切関係なくカズイ単体が普通に悪です。お疲れさまでした。

見栄っ張りおじさん大解剖


これからようやくカズイの心理を考察していく。ここからがAさんに最も助言をいただき、お世話になった部分。
と言っても今までの考察でもかなり分かったと思うが、カズイは大人のふりして受け身を取りたい見栄っ張りおじさんである。

自虐と言い訳で自分を守る

カズイには、他人にどうしても見せたくない本音や素の自分がある。
カズイの場合は「好きな人が二人いる」「本気で一人の人を愛せない」「すぐ自己防衛したくなるほど精神が弱い」。それをカズイは自覚こそしている。しかし向き合いたくないし、人にはもちろん見せたくない。それをカズイは最も恐れている。
カズイは大人ぶっておいてかなり精神攻撃に弱い。だからいつも受け身に走ってしまい、それに慣れてしまっている。
まず防衛的自己呈示

相手から否定的印象を持たれそうなとき、自分を守るために行う自己呈示(自己開示)。言い換えると言い訳
防衛的自己呈示にもいくつか種類があるが、カズイが主に用いるのは弁解と考える。

カズイは「自分の嘘が人を殺した」と自分のしてしまった行為については大筋認めるものの、「嘘は大人の責任だから」と自分個人への責任は「大人」のせいにしてのらりくらりと回避する。行為を認めて責任を認めないのが弁解。
ボイスドラマでヒトゴロシの自覚について問われた際、「まあ否定はしないよ」と一応行為を肯定。後悔も認めるが、「反省のしようはないけどね」と弁解。そしてこれ以上踏み込まれたくないのか急に話を切り替える。

さらには自分がヒトゴロシと呼ばれたことについても「俺以外に俺をヒトゴロシと捉える人間は数少ないはず」(自殺なので)と細かく否定を始め、挙句は広義のヒトゴロシを集めて裁こうとしている頭のおかしい連中がいるのかも…とミルグラムが責任の話にすり替えようとする始末。エスの「今はお前が質問する時間ではない」がグサッと刺さる。

自分が嘘つきであることも、自分ではなく「自分が大人だから」と大人全体に責任転嫁。
プロフィールの「大人は常に本音を隠してでも、笑顔でいる必要があんのよ。きみたち若者に失望されないようにね」はカズイを代表する責任転嫁である。

たまたま最年長でよかったな… 他の大人がいたら「あ??」って言われてたかもしれん。
カズイがやたら自分が大人であることを主張してきたりおじさんであることを強調してきたりする理由の根源は、この言い訳にある。見かけたらあわれなギャグだと思ってよろしい(たぶん)。

相互Aさん曰く、MVが大人っぽくて嘘っぽくて難解なのはひねっているからではなく、上塗りしているから。このギミックに気付くのは確かに難しいかもしれない…。分かったら単純なのだが。
相互Aさんがヒントをくれなかったらここに到達できなかった…。Thank you…

もう一つの自己防衛手法が自虐

自虐はボイスドラマでよく聞ける。「長話する癖がある」「嘘をつかずにはいられない」「もうこんな歳だから」など。ボイスドラマは本当にカズイからぺらぺらと自虐話を長く聞かされることになる。

歳の話はええって…

自虐って自分を傷つけてない?と思われるかもしれないが、そうとは限らない。
カズイは自己肯定感がやや低めだが、それを面と向かって否定されるのは大の苦手。となると、相手に否定される前に先手を打って自己否定をすることで、一番いやな他人からの批判を回避できて安心するのだ。
フータは相手に否定される前に先制攻撃をする癖があったが、カズイは相手に否定される前に自分に先制攻撃をする。似ているようでちょっと違う。
もうすこし分かりやすい例を相互Cさん(初出。最近よくミルグラム談義させていただいております、ありがとうございます)が言ってくださった。

絵を投稿しました!あんまり上手くないけど…💦

絵描きオタクに刺さる痛恨の一句。

ちなみにこの場合、本人が自己否定しているからって「本当に下手だね」と言うと投稿者は普通に嫌がるし傷付く。なんなら自信作だったりする。逆切れもありうる。
ではなぜ自己否定するのかというと、もっとひどいことを言われないようにするためである。あるいは自分で理解してるなら言わなくていいや…と思わせるため。そういう経験はないだろうか?

ボイスドラマのカズイがいつまで経っても自分の内情ばかり話し続けているのも、話が途切れたらこちらが否定されるのでは、という不安が後押しするためではないだろうか。
カズイがこれをやっていると思うと、なんかちょっとかわいそうになってくる。そろそろおもしろおじさんになってきたのでは。

そう考えると、腹の内のわからない人間からどうにも共感できてしまう人間にサイズダウンできてくるのではないだろうか。自分のイメージを崩したくなくて、あるいは傷つきたくなくて言い訳、というのは大人…でなくても子供でも誰でもしがち。
担当声優である竹内さんも共感しているとのこと。これは社会のどこでも見受けられる事象だと思う。

確かめて苦しみたくない

でも見栄っ張りと浮気ってなんの関係が? と次の疑問が浮かぶかもしれない。
率直に言うとカズイは臆病。フータとなかなか似ている。
臆病だと、愛する人(妻)に本当の自分を認めてもらえているか逐一不安になってしまう。その穴を埋めようとする、あるいは振られた際のクッションが欲しくて行うのがカズイの浮気であると考える。

それしなければ愛してもらえるのに本末転倒。
「確かめて苦しむならばこのままであなたの傍にいて」もだいたいこういう意味。真意を聞いてガッカリされるのが怖いから、嘘で自分を隠してこのままの関係を保ち続ける、ということ。

「笑い合い肩を並べてこの距離が幸せのミスリード」も割とそう。
→「Laughing together, side by side, this distance in our relationship is misleading me, is this what happiness is?」
訳「共に笑いあい、並ぶ、私たちの関係のこの距離が私を誤解させる。これが幸せなのだろうか?と」
親しい距離感を保ってはいて、幸せだと感じて「しまいそうに」なる。しかしカズイにとってそれは求めるものでは無い。正直な自分を受け入れてくれる場所が欲しいのだから

「『またね』が『終わり』って聞こえた気がしたんだ」にも、いつ嫌われるかと怯えるカズイが伺える。
別れたら最後、もう自分にがっかりしていて別れられるかもしれないという恐怖。それが妻に限らず浮気相手にまで向かう。カズイは親しくした人を一人も裏切れない。たとえ両方を傷つけることになっても保身優先。

会える呪い」も一緒。会えるということはまだ自分を見捨てていなかった、本当の気持ちに気づかれていなかった、と分かるということ。だがその安心感は枷でもあり、より両方の関係を捨てられなくなる。
halfはおそらく相手に拒否られることを恐れる歌である。ミステリアスで切ない歌からビビりの歌に聴こえてくるだろうか。

相手を探る

最後に、カズイがミステリアスに見えてしまう「探り癖」について。
といってもメカニズムはだいたい一緒。カズイは弱さを暴かれるのが大の苦手なので、先に優位に立とうとしている。相手の強さを図る癖もここから。相手に自分を警戒させることもできるし、自分を安心させることもできる。職業柄かもしれない。
さらに、カズイは自己への否定を回避するために強そう、あるいはいい人そうと思ってもらいたいのだ。だから飄々とした態度を崩さないし、大人ぶるし、善行をたまにしたがる。
しかもその行動意図を堂々と言う。めっちゃ言う。エスに「普通目の前で言うか?」と指摘されている。いい人アピールすな!
カズイは二審開始時、コトコの襲撃から他囚人を守る行動に出たらしい。カズイ曰くフータは守れたがマヒルは守れなかった。ほかの囚人がカズイに言及していないため、カズイが具体的に何をしたかは不明。

「だから赦せって意味じゃないぜ?」(チラッチラッ)
気を付けろ、カズイは内心めっちゃ赦してほしいぞ。
許されると価値観がエスカレートするんですが、ちょっとは心からの自虐もあったところからめっちゃ赦してほしい気満々になってる。あかん。
医療班と救護班どっちも根本の行動原理は自分のためっていうのがおもろいですよね

自衛官になったのも格闘技に傾倒したのも、もしかしたら自分を強く見せたいという潜在意識が表出した結果かもしれない。実際肉体的に強いうえに何考えてるかわからないキャラの強者っぽさったらない。

最後に、状況を判断したうえで静観を好む
ミルグラムも警戒しつつ様子見、タイムラインでアマネの様子がおかしいことについてシドウと談義したときも、シドウは積極的に助けたいと思っているのに対し静観を強く勧める。アマネどうでもいいの…?と少し思ってしまうくらいに。この会話は見事に話がかみ合っていないおかげで、二人の違いが感じられてよい。
いつでも行動できるとアピールすることでやはり優位性を見せたいとも考えられるし、根っこが弱気なせいで事なかれを好むとも考えられた。

思えばhalfが切なめのバラードなのも、カズイがこちらに見せたい大人っぽくて切なそうな自分の印象の表れかもしれない。
落ち着いたメロディーに言い訳おこさまリリックとはおったまげた…。
なお、カズイは真のミステリアス(理由こそあるが)ともいえるシドウのことは「大人」「本当に冷静で余裕なんじゃないの?」と評価。シドウの方が確かに大人。もしかしたらカズイはこっそり尊敬してるかも…

変わりたいという気持ちと尻込み


カズイがおもったよりズルい、なんなら大人ぶったおこちゃまであることはここまでで大体伝えられたと思う。

しかし、カズイは全く変わりたくない、現状維持のみに落ち着きたいというわけでもない。変わりたくないし言い訳も止まらないし自己保身も止まらないが、しかしそんな自分を一応嫌がってはいる
それがボイスドラマ終盤の「俺は隠してきた俺自身の罪を、弱さを、誰かに無理やり暴かれることを、心のどこかで期待していたのかもしれない」という台詞。

カズイは自分の弱さ、ズルさは一応気づいている。気づいているからこそ上辺とはいえ言い訳ができている。悪くないと主張し続け目を背けるムウとの決定的な違いがここ。
しかしあまりにも自分が傷つくのが怖すぎて、自虐をするにとどまって直そうとはしない。だから結局成長はしないし、嘘つきなのを「元来」と言い訳してやまない。カズイは誰の介入もなければ今後もずっと仮面を被って言い訳まみれで生き続けるし最悪第二の犠牲者も生みかねない。
が、他者に無理矢理変えてほしいという気持ちもあるのだ。嫌でもあるが(重要)

実際カズイ程言い訳が凝り固まってしまった人間はそうそう本人に自己を変えることはできない。周囲の社会もその嘘を見抜くことは非常に難しく、批判することも難しい。あるいは気づいても回避するのみ。
それを無理やり事実レベルで暴いて裁くことのできるエスという存在は、カズイにとって二度と会えないかもしれないレベルの貴重な相手になると思う。裁定次第だが。一審は様子見の赦すになっちゃったし。
正直二審開始の演出を見てしまってミルグラムに人が救えるかというのは懐疑的になってしまったが、せめてその気持ちを我々が忘れないことには一つの意味があるかもしれない。あるといいなー。

…えっもう心情考察終わっちゃう?
まだ16,000字なんだけど(感覚麻痺)

halfはベールがしこたま分厚いかわりに情報量自体はかなり大人しめにしてバランスをとっているのかもしれない…。

歌詞を振り返る


恒例の歌詞分析ターン。halfは歌詞が短めなためやることはやや少ないかも。

「あなたの心が変わってくれたら なんてありえない 正しさを教えてよ」
自己保身のためにも好きな人を同時に複数人愛していたい、一度作ってしまった関係を捨てたくない、という思いはおそらく妻には認めてもらえない。
それを「いいよ」と言ってくれるようになったら…と考えるも、もちろんありえない。
「正しさを教えてよ」の英訳は「Please tell me what I should do」(私が何をすべきか教えてください)。こんな気持ちを持ってしまった自分はどうしたらいいのか教えてほしい。

カズイはあまり自分で考えようとしない。責任、責任と言いながら実質責任転嫁が多い。

「嘘に染まった想いは浮かんで消える」
カズイが女性らに伝える想いもどうしても全て嘘で覆われてしまう。ただしく相手に伝わるのではなく、所詮嘘が混じっているからまともに届かないということを言いたいのだろうか。

「試したり触れてみたりも あなたには伝わらないだろうな」
同じく、自分の本当のどうしようもない本音について。それとなく嘘に紛らせて伝えようとしても嘘がうますぎて伝わらないし、そもそも突拍子ないからやはり伝わらない。正直に伝えるべきなんだけど。

「はみ出した恋と言うでしょう 分かるからいつも通りでいいよ」
→「I understand that this love is out of bounds, so nothing has to change」
訳「この恋が境界を超えたものであるとは分かっている。だから何も変える必要はない」
浮気であるということは自覚。それはカズイも分かっている。後悔はしてるんだから反省までしなくていいだろう?
たわけ
カズイの本質。口で自虐すれば反省したようなものだと思い込み実行には移さないズルさが垣間見える。

「あれこれ思い出すことを消せたらな」
→「All these memories and you Only if I could erase them」
訳「これらの記憶やあなたをもし消すことができたならな」
それぞれの女性と過ごした記憶が自分の判断を狂わせてしまう。それがなければ、あるいはそもそも出会っていなければいいのに。
やっぱり責任転嫁。

「今までの時間が傷を付けて」
同じく、一度付き合ってしまった女性との関係を切ることができない、なくしたくない。だから浮気し続けるという考え方。

「隠し続けることを不幸と呼ぶなら 言葉ひとつもあなたには届かない」
自分のしょうがない本音を隠すな晒せ、そのまま伝えろと言われたら、そのまま伝えてしまったら絶対嫌がられる絶縁されるやだ。
綺麗な言葉で言いかえるんじゃない。

「きっとずっと変わらないまま 『お前バカだな』って笑いあって」
嘘をつき続けることで互いに傷付かない関係の希求。

「知らないほうがいいことだらけ 臆病なだけ」
相手の本音を知るということは汚いものを見せて傷つけてしまう、自分も傷ついてしまうということ。
ボイスドラマでカズイが言った「こういう関係は痛みを伴うぞ」という言葉はここと似ている。カズイにとって本音とはよろしくないもので痛み合うしかないもの。まあそういう考え自体は誰しもあるだろうけども…
最後の「臆病なだけ」が心理。分かっていても変わらないのだが。

「ずっと前に諦めたこと 今になってなんで声を上げるの」
カズイは妻からの愛について半ばあきらめていた、というか信用できていなかった。しかし妻はカズイの浮気について叱責してきた。カズイを愛していたからこそショックだった。嬉しいことだろうが、それを「なんで」と逆に責任転嫁するとは…。

その他考察

「half」とは

既に説明はしたが、「二人」「半端」。

「夢ばかり見てるんだ」「もう半端ばっか 救えないな」も今なら大体意味が分かる。本当の醜い自分が受け入れられたら、正直になれたらという夢ばかり見ている。
しかし自分を変えることができない、浮気も止められない、上っ面だけ大人になっていく。こんな半端な自分はだめだよな(自虐+ちらっちらっ)。

「剔抉の夜」とは

カズイのボイスドラマのタイトル。
元ネタは先行研究を見て把握しました。宮沢賢治さんの詩「永訣の朝」がモデルだと思います。すごいな…。

「永訣の朝」は、死にゆく妹との永遠の別れを前にした宮沢賢治による詩。死に瀕する妹の願いは「来世では自分のことだけで苦しまないように生まれてきたい」というもの。
それをもじって「夜」ということは、この詩と何かしらの対比がありそう。

剔抉という単語は実在する。

カズイの隠していた本心を無理やり抉り出そうとする、ボイスドラマ中でのエスの行動がそのまま表れた面白いフレーズだと思う。
また「来世では自分のことだけで苦しまないように」というのは、いつだって自分の保身のことしか考えていないカズイの自虐的本音ともいえる。「夜」を利用したことで本家の詩と意味合いを対比させてきたと考えているが、非常に完成度も芸術点も高いタイトルだと思った。

苗字・名前

すみません…全く分かりません…(絶望)

トローリングについて

どうやらカズイの趣味らしい。要するに釣り。

自衛官といいトローリングといい、カズイのやっていることはどれも遠出してしばらく帰ってこないタイプのものが多い。こういった環境がカズイの人間不信を招いているのか、浮気がバレそうになった時の言い訳に使えているのか…。
妻としっかり話し合う時間や愛を深め合うという時間もそもそもあまりなかったのかもしれない。自分で選んだことなので言い訳だけにはならないが。

疑問点

・演劇の服装
やはり中世貴族の服装について。この記事では浮気に走る愚かな自己というイメージで解釈を進めたが、断定には至っていない。要検討。

・イントロのMV
MV序盤は、林檎が飾られた舞台を見つめたカズイが観客席に座る様子を描く。

これといった確定的な考察はできなかった。
しかし、「これから始まるのは自分を取り巻く誘惑の物語だ」と観客席側のカズイが語りだす(自虐する)ようなイメージを感じなくもなかった。
そもそも自分の行いを観客席側から眺めるという構図自体が自虐的。自分の行いを見ているよ分かっているよというアピールも含まれている気がしてならない。

・浮気終盤の時系列
特にカズイが本音を露わにしてからの時系列について。
今の考察だと浮気がバレて妻に本音を打ち明けた→再びバーに行った→妻が自殺した、となってしまう。そもそも本音を打ち明けた時点で妻はショックで死ぬか、そもそも行かせないのでは…?と思ってしまい、出来事については間違っているとあまり思わないが時系列が迷いどころ。
演劇パート2を時系列ままに解釈せず切り離し、バーに行った→飛び降りる間際の妻に本音を打ち明けた→妻自殺 と考えるのが良い気がしている。

まとめ


ちょっとだけ、最初に述べたカズイの考察が難しい理由を振り返ってみます。

①演技モチーフでテーマが「嘘」のため、全情報の信憑性を疑う
②本人の人当たりが良すぎる
③単純に年の離れた大人で、共感しにくそう

①について。
halfは嘘によって情報が隠蔽されている楽曲というわけではなく、嘘という罪を公開している楽曲だということに気付けると楽になりました。
嘘つきなキャラというだけで尻込みしてしまうというのも初動を送らせていると思います。どうしても嘘という部分が気になって仕方ないなら、「ボイスドラマでやたらめったら自虐する」「自分が大人だという主張が激しい」などの嘘があんまり関係なさそうなポイントを見つけてそこから攻めていくのが正攻法っぽかったです。
②について。
MILGRAMに聖人はいません。この気持ちで轢き倒していきましょう。
一見警戒心がなくなりそうですが、カズイは罪状については分かりやすい部類です。心情が読めなくてもとりあえず浮気したということが分かった人は多いと思います。私も最初はかろうじてそこだけ分かりました。
③について。
大人とか子供とか関係なかった。ボイスドラマでエスが「大人を言い訳にするな」と言ってくれたおかげで、いったんそこを切り離すことができたと思います。ボイスドラマって偉大ですね…。

そんな感じです。
山中さんはMILGRAMのキャラをかなりロジカルに作っているなという感触があります。出ている情報で心理面に関係のないものがほぼない。だから出ているすべての情報がヒントと考えて組んでいくのがMILGRAM的にはいいのかな~という、圧倒的個人の意見です。
偉そうに言って全部外れるかもしれないです。よろしくお願いいたします。

では改めてまとめます。
相互Aさん、誠にありがとうございました。

相互Aさんは一人でうんうん考察していた私に初めて意見をくださった方ですし、カズイを見て大爆笑したことでヒントをくださった方でもあります。突然の爆笑にポカーンとしたあの時を忘れられません。ほんとずーっとヒーヒー笑ってらっしゃいました。今では私も一緒に笑っています。

Aさん曰くhalfは「違うよ本当はそんなつもりじゃなかったんだよ!こうなりたかったんだよ!(は?なにも違わんが?)」の歌とのこと。なんでそんなおもろいワードが出ちゃうんですか?
それくらいカズイは、ぶっ刺さる一部の人にとっては一瞬で看破でき、逆に少しでもためらうとまるで浸透してこないという、ハルカとは異なる難易度を持った楽曲の持ち主だなあと思いました。
それにカズイの所業の言語化も結構難しいと思います。見栄っ張りという言葉に出会えなかったらもうちょっと困ってました…。

俺は悪くねぇ!(ガチ)がムウ、俺は悪くねぇ(動揺)(どうせ気づいてんだろどうすんだ)になるとフータ、いや~俺悪いんだけどさ~仕方ないんだよ(自虐)になるとカズイ。ポケモン三段階進化か?

改めてMILGRAMにはガチ善人もガチ悪人もいません。少しキャラクターを聖人視しすぎてるなor悪党視しすぎてるな…と思ったときは大抵考察が足りない、というのが私の感覚です。もしよろしければ参考にどうぞ(個人の意見です)。
だからカズイだって「ミステリアスなキャラ」で終わるわけがないとは思ってました。だって「ミステリアスなキャラ」って要するに「よくわかんない」って言ってる、つまりなんもわからんってことじゃないですか。
私はずっとその状態だったのでハア…ハア…(この…カズガキ…)になってドン詰まりして苦しんでました。そこにAさんの救いの手。圧倒的感謝。

カズイのことを笑うような記事になってしまいましたが、もちろん完全否定などはできません。
たとえば変わりたいとは必死に思ってもどうしても変われない気持ち。そう簡単に人間変われたら苦労しませんし。

それに本音を露わにしたくないというのもおかしい考えではありません。
誰しもほの暗い本音や欠点などは持っています。とても親しい人や周囲に明かせないような、あるいは明かしたら愕然とされるような考えを抱いていて、それをしたいと思っていてもいなくても打ち明けられずに悶々とする気持ちは共感しやすいのではないでしょうか。ユノはそれに気づいて達観していくわけですが。それをいちいちあけすけにしろなんて言われたら、弱く醜い自分を何とか押し殺して正しく生きている人間が報われません
迷いや醜さを抱えることは悪ではありません。やましいことを思っていたって行動に移さなければ、それは全くの無害です
すごく過激な言い方をしてしまうと、カズイが「好かれてなかったらいやだなあ」「クッションが欲しいな」と思っていたとします。行動に移さなかったとします。何も起こりません。何も起こらないので誰も何も傷付きません。
人を殺すことは有罪だがこいつムカつく殺したい!と思うことに罪はかからないという話をどこかで聞いたことがありますが、思考は制限しようがないし、行動に踏み切ったり露出したりしない限りそれは害にはなりません。

とはいえ苦しいのも仕方ない気がします。こんな弱さを持つ自分が嫌だ…という自己嫌悪をたった一人で抱え続ける苦しみはなかなかのものな気がしています。もし同じ経験があるならば尚更。
そういう人々は…まあ言ってしまえばカウンセリングを受けろ(全囚人共通)になってしまうのですが、たとえば弱いこと自体は罪ではないなどと伝えるとか、傷つけない範囲で本音を専門的に吐露させてもらう場所を見つけるとか(やっぱカウンセリング…?)、なにかいい方法はあればと考えてしまいます…。
だから私は一概にカズイを否定することはできないなと思います。肯定もできませんが。

二審の話にも関わりますが、MILGRAMの投票システムは囚人に「赦す」「赦さない」のメッセージしか与えることができません。
どうしてその判決を下したのか、囚人にどう変わってほしいのか、どう助けたいのか、その本心まで伝えられないなら投票する意味も分からないし私は誰も救えない…と、これは相互Cさんと話していて思いました。
しばらく棄権するか、開き直って投票するか、もうちょっと検討して見ます。

ただカズイのような人間が本音をむき出しにしたとき、叱責しつつもそれでも生きていていいと赦してくれる世界があったらいいなと思います。
それでもカズイには生きづらいんでしょうが、正しくない人間は生きるな、とカズイ予備軍を追放していては報われない人間がいる、というのが今回の記事で伝わっていれば幸いです…。

浮気はダメです。妻の方安らかに…

と思ったら二審立ち絵で指輪消えてるんですね。おろろっろろろろろっろろろろろろろろろ最悪
マジで自分をよく見せることばかり考えて指輪という罪の象徴が邪魔になったか、別に一途に好きじゃないんだったと気づいて捨てたか、どっちにしてもヤバイオブヤバイですね…。どんな胸糞がやってくるか楽しみ(嘔吐)で仕方ありません(嘔吐)。

文字数22,500字…あれ、こんなもんか(麻痺)
やっぱり情報量自体が少ないのかな…でもそこまで重大な部分の考え漏らしもないとは思っています。今のところは。外してたら声高らかに笑いましょう。

最後はボイスドラマのエスの、個人的に私が好きな台詞で〆たいと思います。

うるさい、お前が不器用なだけだ(ドン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)


ここまでお付き合い誠にありがとうございました!
次はアマネの楽曲・おまじないです。胸糞のターン!!

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【MILGRAMとつぜん考察】



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