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スレッタ・マーキュリーは救世主たり得るか:スレミオの立場を通じて【水星の魔女19話感想】

(サムネイル画像は公式Twitterより。ちょっと明度を上げています)
(記事中で使用しているのはアニメ本編のキャプチャーです)

こんばんわ、深夜区トウカと申します。
さて、やはりというかまたしても劇的な展開でしたね。水星の魔女は19話、「一番じゃないやり方」です。
今回は様々な勢力が動き、群像劇としての面白さが際立った回でしたが、それを全て解説することは私の能力では能いません。
なので今回は「スレッタとミオリネを取り巻く事象と立場の変化」にスポットを当て論じていこうと思います。

ミオリネの立場

まずはミオリネから。

代表として地球に訪れ、誠意ある交渉で反スペーシアン運動の一時停止を漕ぎ着ける事ができましたが…。

そこまで含めてプロスペラの策略ということだったのでしょう、エアリアルのパーメット操作能力を使った「自作自演の攻撃」に対しスペーシアン側が応戦したことで市街地でアーシアン対スペーシアンの戦争が始まってしまいます。

発端はプロスペラによる工作。
撃ってきたのはアーシアン。

それは事実かもしれませんが、それに応戦したのはミオリネの連れて来たMS軍団です。

総裁選出馬を表明しデリングの娘そしてベネリットグループ代表として地球訪問を行ったミオリネへの注目はひとしおでしょう。
アーシアンの集団が広場にあれだけ集まっていることからもその注目度が伺えます。
少なくともアーシアンからしたら一大イベントだったということは間違いありません。

それが結果として戦争を引き起こしてしまった。地球代表側の失望、ニュースでの戦争首謀者かのような報道も無理からぬことです。

繰り返しますが、ミオリネが良いか悪いかということではありません。
事実としてミオリネの連れて来た集団がアーシアンとの戦争を起こしてしまった、ということが問題なのです。

ミオリネは最後火の海と化した地球の都市を見て「私のせいだ…」という旨の言葉を呟いていました。やはり、責任を感じています。

(直接戦火が瞳に映るのが辛いですよね…)



それは「全貌は分からないけれど、自分の部下が暴走してしまったことを悔やんでいる」わけではないでしょう。
「自分という火種が地球へやって来たこと」、それそのものを悔やんでいるのだと私は解釈しています。

つまり、最初から地球に行かなければこんなことにならなかったという悔やみです。

ミオリネの信じる道は対話による可能性でしたから、それが目の前で絶たれたことによる絶望はとんでもなく大きいはずです。
まして、地球の惨状を知らない箱入り娘ですから…戦火は苛烈に映ったでしょう。

今のミオリネは希望を失い自身の行いそのものを悔いる、「挫折の立場」にいます。

(絶望ミオリネ)


スレッタの立場


ここからはスレッタです。

物語序盤、地球寮のメンバーから暗示されるのはスレッタが授業にも顔を出さず食事も取っていないということです。

17、18話で立て続けに大事な人から突き放され、自分を否定されてしまったという思いから「絶望の立場」にいるということが推察できます。

次の場面は物語中盤。
お腹を空かせたスレッタが冷蔵庫を漁っているところを目撃したチュチュが地球寮の朝ご飯会にスレッタを連れて行ったあたりからです。

(食糧難で人里に降りて来た熊を捉えたアングル)

最初は困惑気味のスレッタでしたが地球寮の変わらない明るさに触れ、自然と涙が溢れて笑顔が戻ります。
暗い気持ちを抱えていたので、地球寮メンバーの元気さが良い刺激になってポジティブな思考に転じたということでしょう。

(笑顔が見られてよかった…)

それでも、スレッタの抱える「拒絶された」という絶望まで希望に転じたとは思えません
気分が明るくなっていても、心に深く根ざした絶望までは払拭されていないのです。

しかし、スレッタはエリクトの真意に気が付きます。
その真意とは、「プロスペラの目的に気が付いていたからこそ突き放すような形でスレッタを引き離した」ということ。

スレッタの考えがどこまで巡ったかは分かりませんが、これはミオリネに対しても言えそうです。

これにより、スレッタは「自身が突き放されたのは愛故だった」という非常に重大な事実に気が付いたことになります。

この事実こそがスレッタを再起させ、絶望から抜け出すための光。

そして、絶望に落ち込んだミオリネを救う救世主たらしめる要素でしょう。
スレッタは今、挫折したミオリネを救うことができる「希望の立場」にいるのです。

どんな方法か。
それは皆目見当がつきません。なにせ毎週想定を超える展開が繰り広げられますから。

しかし、この「気付き」がスレッタを立て直し、ゆくゆくはミオリネへ救いの手を差し伸べることに繋がる事は間違いないと考えます。

そして、その時は12話とは違ってその手をとってもらえるでしょう。
いえ、スレッタはその手を握らなくてはいけないのです。

そうでなければ、絶望の底に沈む人物を救出する事は叶いませんから。

あとがき(アニメ感想)


それにしても、17話の時に執筆したnoteで「これからはスレッタの絶望パート」みたいなことを言ってましたが想定より全然早く復活しそうです。

その代わりにミオリネが随分深い絶望に落ち込んでいます。展開予想としては大外れですね…。
挫折も現実も知らない箱入り娘・ミオリネの持つ地球との交渉という理想が粉々に破壊されるというのは妥当といえば妥当ですがその徹底っぷりに驚きます。

この記事では本当にスレッタとミオリネの話しかしていませんが
「セセリアにネイルをさせられているマルタン」(これはベクトルが違うか…?)
「ニカのことに取り乱すチュチュ」
「死ぬことの恐ろしさとソフィに対する思いを吐露するノレア」
「ルブリス・ウル/ソーンを滅却するプロスペラ」
「ベルメリアを庇って死ぬ宇宙連合のあの人」
「輪にかけて気持ち悪いシャディク」
等々、パッと思い出しただけでも多数の印象的なシーンがあります。

やはりキャラクターの掘り下げを地道に続けて来て、それをアーシアン対スペーシアンという大きな出来事ですれ違わせるという構造が群像劇としての面白さを加速させていますね。あまりにも面白い。

ちなみに個人的にはルブリス・ウル/ソーンが滅却されてしまったのが大分ショックです。プロスペラママンからしたらテロ団体が勝手に作ってた暴力ガンダムを許せないのはわかるけど…。

それにしてもこの大風呂敷を畳めるのか!?
来週の展開が待たれますね。オリジナルアニメならではのスリルと興奮!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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