渡柏きなこ

塾講師と漫画原作の仕事をしながら、個人で小説を書いてます、渡柏きなこです。毎週水曜12…

渡柏きなこ

塾講師と漫画原作の仕事をしながら、個人で小説を書いてます、渡柏きなこです。毎週水曜12時に、創作のお役立ち情報を発信していきます。

マガジン

  • 渡柏きなこの映画会

    最近の映画や、Amazonプライムで見られる映画に関して、創作家として感じたこと・思ったことを書いていきます。アニメ、ホラー、アクション系統のオススメ映画情報なんかもあげていく予定です! 好きな映画は『ヱヴァンゲリヲン序』『Ghost in the Shell』『ファイトクラブ』『マトリックス』など。

最近の記事

吸血鬼はどんな絵画を描くか?

こんにちは、渡柏きなこです。 新作を書いています。ヴァンパイアやグールやサキュバスなどの西洋の妖怪が登場する話で、主人公が人外の文化を理解していく過程を描いた話になる予定です。 そこで、ヴァンパイアにはどんな歴史や文化や生活様式があって、彼らは何を絵に描こうとするのか? と自分の中に疑問がわきました。それについて考えたことを、特に結論もなくとりとめもなく、自分の思考を進めるためにつらつらと書いて行きたいと思います。 公開はしておきますが、どんどん追記する(かも知れないし

    • 【チャートで簡単創作】王道ラブコメの作り方【③︰自覚編】

       こんにちは、渡柏きなこです!  今回はラブコメ展開の作り方、いよいよ最終・第3回です。前回、前々回と、下のチャートに沿ってラブコメストーリーを作る実演と解説を行なって来ました。  さて、それぞれどんな内容だったかをざっと振り返ると……  こんな感じでしたね。前記事ではこれを『涼宮ハルヒの憂鬱』や『僕の心のヤバいやつ』などを大変な好例として取り上げつつ、作例としてオリジナルのお話も作りました。よかったらぜひそちらもご参考にどうぞ🙇‍♂️ 【簡単創作術】あなたの物語にラ

      • 創作初心者のためのラブコメ展開の作り方【②︰共同作業編】

         こんにちは、渡柏きなこです!  前回の記事では、ラブコメ物語の導入編、主人公とヒロインが出会って、お互いに興味を持つところまでを解説しました。  つまり、『強烈なファーストインプレッション』によりヒロインのことが気になるようになった主人公が、クラスメイトなどから『表面的な二次情報』を得るも知りたいことが知れず、今度は自分からヒロインに対しアクションを起こすことで『再会と確認』を果たし、ヒロインからも興味を持たれる、という流れがそれに当たります。  前回は実例として私自

        • 【簡単創作術】あなたの物語にラブコメ展開を!①【出会い編】

          どうもこんにちは、渡柏きなこです! 前回の記事では『キャラクターの成長のさせかた』について書きましたが、主人公の成長には、主人公に間違いを気づかせてくれる他者が必要です。 でもでも、キャラクター同士ってどうしたら仲良くなってくれるの? こんな関係性にしたいんだけど、どうしたら自然とそうなってくれるの? と、キャラクター同士の関係性構築に悩んでいるそこのアナタ! 本日の内容はそんなアナタに必見の内容となっております。実例を交えてなるべくわかりやすく解説するので、ぜひ最後ま

        吸血鬼はどんな絵画を描くか?

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        • 渡柏きなこの映画会
          8本

        記事

          「成長」を描く魔法の7ステップ/物語の中盤の進め方

          はーい、こんにちは。渡柏きなこです。 前回の記事で、物語とは主人公が持つ「不足」が「成長」によって「満たされる」ものだと書きましたが、その「成長」の部分ってどう描いたらいいの? 何が書けたらお話に厚みが出るの? という方向けに、誰でも「キャラの成長」が簡単に描けてしまう7つのステップをご紹介します。 最初に書いてしまうとその7つのステップとは、 ○固執:主人公が未熟な考えに固執する。 ○失敗:固執したが故の失敗。間違いだと突きつけられる。 ○指摘:失敗の理由は固執にあると

          「成長」を描く魔法の7ステップ/物語の中盤の進め方

          物語の基本骨子は、三分割で作れるという話。

          「お話を書きたいぜ!」「物語を考えたいぜ!」と思っているけれど何から考えたら良いかわからないそこのアナタ! 本日の記事はそんなアナタに必見の内容になっています✨  まず質問ですが、『物語』とはいったい何でしょう? 何を書けば『物語を書いた』ことになるのでしょう? それがわかりさえすれば『物語を書く』ことを、きちんと考えながら進められるようになるはずです。  塾講師をしながら二十万字近く物語を書いた中で思った、私なりの『何を書けば物語を書いたことになるのか?』というお話。本

          物語の基本骨子は、三分割で作れるという話。

          【創作解説】一番簡単なお話の作り方:アウフヘーベン型ストーリー

          はじめに 小説が書きたい! けど何から初めていいかわからない……そんな創作者の卵の皆様、こんにちは、渡柏きなこです🖋️ お話を書く時にはまず、全体のストーリーが必要。どんな主人公が、どんな問題を抱えていて、どんな人や出来事に出会い、どんな成長をして問題を乗り越え、その先にどんな変化があったのか……? それを描くことで、読者のみんなに主人公の成長を追体験してもらうのが、小説や映画や漫画やアニメ、全てに共通する『物語の王道な流れ』です。 さて、じゃあそれをどんな風に作ったら

          【創作解説】一番簡単なお話の作り方:アウフヘーベン型ストーリー

          デジャヴュは夢の続きか、あるいはただの懐古か?――マトリックス・レザレクションズ

          ※注意※  本記事にはマトリックスシリーズのネタバレが含まれます。  2021年12月17日に公開された、『マトリックス・レザレクションズ』。監督はラナ・ウォシャウスキー。主演はキアヌ。リーブスとキャリー・アン・モスがまさかの続投。数々のリブート作品がずっこけたり哀しい顛末を追う中、この作品はうまく行くのではないか……! そんな期待を胸に秘め、劇場へ足を運んだ方も多いはず。面白かったという方も期待を裏切られたという方もいるでしょうが、単刀直入に言えば私は後者でした。今回は

          デジャヴュは夢の続きか、あるいはただの懐古か?――マトリックス・レザレクションズ

          逃げなさい、その温かい庇護の下から。――異種格闘技型朗読劇「TAMERS」の感想と、モチーフになった「人形の家」との比較。

          序文 先日、よみうりホールにて公演された、異種格闘技型朗読劇「TAMERS」を拝見しました。『異種格闘技型』というのは『異業種のみなさんが集まって』という意味らしく、俳優さんの他に声優さんや芸人さんも一緒になって台本を読むことで劇にするといった試みです。芸人さんとしてはシソンヌさんらが参加していらして、特にじろうさんの演技はかなり役に入り込んでいらっしゃったように思います。  表題にも書いた通り、本作「TAMERS」はイプセンの「人形の家」という脚本を現代風にアレンジしたも

          逃げなさい、その温かい庇護の下から。――異種格闘技型朗読劇「TAMERS」の感想と、モチーフになった「人形の家」との比較。

          ギミックの不協和音――『竜とそばかすの姫』に感じた違和感を言語化

           こんにちは、渡柏きなこです。先日、細田守監督のアニメ映画作品『竜とそばかすの姫』を見てきました。世間的には賛否両論ある模様ですね。面白かった、感動した、という人と、違和感を覚えたという人。それぞれいると思います。そして私は違和感を覚えた側の人。では、何に違和感を覚えたのか? それを自分なりに分析していきたいと思います。感想も含めて。  先に結論だけ言ってしまうとこうなります。この映画は音楽も映像も素敵。キャラクターも面白い、雰囲気も良い。ネット上での誹謗中傷の描写も、現実

          ギミックの不協和音――『竜とそばかすの姫』に感じた違和感を言語化

          猟奇殺人の芸術性はヴィジュアルとは別のところにあるという話――イド:インヴェイデッド

           おはようございます、渡柏きなこです。  今回は『イド:インヴェイデッド』という作品を見て、考えたことを書きます。  といってもそれはタイトル通りで、『猟奇殺人の芸術性はヴィジュアルとは別のところにある』という話をします。  この記事ではたくさんの作品を関連づけて語ります。重大なネタバレはしないようにします。登場するのは『イド:インヴェイデッド』『ハウスジャックビルト』『ハンニバル(ドラマ版)』『クィーンズギャンビット』『ヒカルの碁』『ブルーピリオド』などです。全部

          猟奇殺人の芸術性はヴィジュアルとは別のところにあるという話――イド:インヴェイデッド

          【 ODDTAXI 】 : 信頼できない語り手と、ユーモアの罠。

           おはようございます、渡柏きなこです。今日は絶賛放送中のアニメ『ODDTAXI』について考察していきます。  まず諸注意を。現時点(2021年6月4日)で『ODDTAXI』は第九話:ヒーローの憂鬱までが放映されています。私はAmazonPrimeで視聴していますので、以下に出てくる時間はそちらに準拠しています。また、本記事は読者の皆さんが最新話までご覧になっていることを前提としていますので、ネタバレにはご注意ください。  さて、ではさっそく考察に入ります。結論からすると、

          【 ODDTAXI 】 : 信頼できない語り手と、ユーモアの罠。

          窓辺から飛び立った少年――『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』に見る、庵野秀明の社会観。

          ※警報:EMERGENCY※  本記事には公開中の映画等のネタバレが含まれます。  予めご了承ください。  お久しぶりです、渡柏きなこです。いやー『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』観ました。一度目は正直よくわからなくて……なんでこうなるんだろう、と思う箇所もいくつかあったのですが、二度目に観た時はスッとそれらが飲み込めて、こんなに面白いお話だったのかと思いました。心の底から見て良かった。  テレビシリーズ、旧劇場版、新劇場版――エヴァは難解な物語です。かっこいいロ

          窓辺から飛び立った少年――『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』に見る、庵野秀明の社会観。

          死を志す日本兵がいたのはなぜ?――映画『三島由紀夫vs東大全共闘』の感想。

           こんにちは、渡柏きなこです。  今回、ひさびさにいい映画を観まして、いつもならツイッターで書くのですが、長くなりそう、かつセンシティブな内容になりそうだったので、こうしてnoteに書いています。  先に言っておきますが、私は戦争に賛成の立場はとっておりません。アレは政治の失敗によって引き起こされる、理不尽な死の塊です。その前提で、というお話をさせて頂きます。どうぞご理解を。  さて、この記事を開いた方はタイトルの言葉が気になっていらっしゃると思います。もちろん早速お話

          死を志す日本兵がいたのはなぜ?――映画『三島由紀夫vs東大全共闘』の感想。

          交錯する“赤と黒”――『仮面ライダー龍騎』に見るバトルロワイヤル作品の形式。

          こんにちは、渡柏きなこです。 今回は創作用の覚え書きで、『仮面ライダー龍騎』の作品構造を解き明かし、自分なりに“近い【型】のお話”を再生産するためのパターンを抜き出していければと思います。 創作における【型】の重要性や「それはパクリになるのでは?」という問題に関しては『SAVE THE CAT の法則』でお馴染み、ブレイク・スナイダー氏の著作『10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術』をぜひお読みください! 多くの創作者様の手助けになると思います。 さて先日、ツイッターで

          交錯する“赤と黒”――『仮面ライダー龍騎』に見るバトルロワイヤル作品の形式。

          ババヤガ――映画『ジョン・ウィック』が持つホラーの構造。

          こんにちは、渡柏きなこです。本日はちょっと前の映画になりますが、キアヌ・リーブス主演の『ジョン・ウィック』という作品について、ちょっとお話させていただければと思います。 さて、この『ジョン・ウィック』という映画は、2014年に公開されたアクション映画です。2017年には『ジョン・ウィック チャプター2』が、そして2019年に『ジョン・ウィック3 パラベラム』が公開され、現在は三作品が世に出ています。 作品の筋書きはいたってシンプル。ババヤガの異名で恐れられた伝説の殺し屋・

          ババヤガ――映画『ジョン・ウィック』が持つホラーの構造。