オグラーのロボット欲求5段階説

ロボットに興味がある人というのは非常に数が限られますが、その興味・欲求は人それぞれです。
私はロボットへの興味・欲求には段階があると思っています。

マズローの欲求5段階説

人間の欲求というのは5段階に分別されるとされます。

ロボットに興味がある人というのはそもそも貴重な存在なわけですが、その中でもどういった興味で行動しているか人によってそれぞれです。私はマズローの欲求5段解説になぞらえて「ロボット欲求5段階説」によってこれを分類しています。

ロボット要求5段階説


5段階仮説

(1)ロボットへの興味

まずはロボットに対して関心を持っているかどうかです。ロボットニュースに敏感な人たちです。他人事として「ロボット面白そうだなー」と思っている状態です。すべての人はこの段階を経てロボットの沼にハマっていきます。

(2)ロボット制作

次に自分でロボットを作ろうとします。ロボットキットを買って組み立てたり、3Dプリンタで部品作ったり、ROSを使ってプログラミングしてみたり、ロボットメーカーに就職したりなど、とにかく自分の手を動かしてロボット制作を始める段階です。ロボット専攻の大学生〜ロボット関連会社で働く人くらいの段階です。

(3)ロボット発明

自分でロボットを作れるようになると人のマネでは気がすまなくなり、自分で新しいロボットを発明したり、世界最高レベルのロボットを作りたくなります。趣味でロボットを作っている人や、大学や研究機関のリーダーなどがこのレベルにあると思います。

(4)ロボットビジネス

新しいロボットやスーパーロボットを作るのを一通りやると、それを世の中に広めたいと考えるようになります。性能を追い求めることをやめてコストパフォーマンスを考えてROIが見合うロボットを作りたいと考えるようになります。

(5)ロボット社会変革

ロボットでビジネスが成立すると次はそれを世界中に広めて、人々の生活を一変させようとしたくなります。多くのロボットスタートアップや大企業のR&Dはこれを狙っています。大学の研究も最終的にはこの段階を目指しているわけなので、すべてのロボット開発者はこの段階を目指しつつ日々それぞれの自分の好きなフィールドでがんばっていると言えると思います。

開発者集団ごとの話

(5)ロボット社会変革へどれくらいの時間をかけて到達したいか、どれくらい大きな変革をもたらしたいか、その過程で何をしたいかによってロボット開発者は自分の所属する集団を選ぶことになります。

ロボット研究者

大学を始めとする研究機関や学生がやっていることは短期的には(3)ロボット発明欲求を満たしつつ、最終的には大きな(5)ロボット社会変革を目指している集団といえると思います。必要に応じて企業と共同研究しつつ(4)ロボットビジネス化を狙うこともありますが、基本的には30年、50年後の超絶大きな社会変革を目指して(3)ロボット発明欲求を満たそうとする集団と言えると思います。
超巨大な社会変革を目指すには最適です。ただし基本的に30年研究者を続けたとしても実際に社会変革を起こすことは当人には出来ません。研究者自身には30年経ったら、その時点でのさらに30年後の社会変革を目指す必要があるのです。そのためいつまで経ってもゴールに至ることはありません。そのため(3)ロボット発明欲求そのものに満足感を感じられる人でなければ続けることは出来ません。ロボット研究者がスタートアップを創業するケースは自分で(5)社会変革を目指したケースと言えると思います。

まとめ

  • (3)ロボット発明重視

ロボットスタートアップ

ロボットスタートアップは5年から10年で社会変革を目指す集団です。ロボット研究者より短期間での社会変革を狙っています。そのためロボットビジネスとして早期に成立させ、それを爆発的に広めることを狙います。(3)発明欲求より、実際にロボットが価値を持って社会に受け入れられ、(5)社会が変革されることを狙います。そのため必ずしも発明や革新性は必要がありません。

まとめ

  • (4)早期のビジネス化

  • (5)早期の社会変革

大企業のロボットR&D

大企業もロボットスタートアップと基本的には同じことを狙っています。ただし大企業の余剰資金を利用して新規事業として取り組まれているわけですから、早急にビジネス化する必要性がないケースが多いです。ここは企業文化によって大きく異なると思います。Googleではあまり長期的な研究開発の文化はありませんし、トヨタやホンダは比較的長期的でも大きなビジョンの実現に向けた開発は許されがちな印象があります。乱暴に言えば10年から20年くらいのスパンでの社会変革を目指していることが多いのではないでしょうか。

まとめ

  • (3)発明が求められるケースがある

  • (4)ビジネス化は求められるが長期ビジョンが許容されるケースがある

私の個人的経験

私がロボットに興味を持ったのは中学生時代で、ロボットキットのようなものを親に買ってもらって始めたのが最初です((1)ロボット興味段階)。実際にロボットっぽい世界に入ったのはNHKロボコンへの参加((2)ロボット制作)で、そのまま大学の研究室で(3)ロボット発明に入り、そのまま大企業でも発明を続けました。大企業で(4)ロボットビジネス化が難しいことを悟ったため、ロボットスタートアップを起業して(5)社会変革を目指しています。

基本的にこれまでに挙げた、ロボット研究者、大企業の研究者・エンジニア、スタートアップのエンジニアは全く同じ(5)社会変革を目指している仲間だと思っています。

最後に

今日はざっくりとオグラーのロボット要求5段階説を紹介しました。これは違うとか、6段階じゃないか、とか色々言いたいことがありましたら気軽にコメント等いただけると幸いです。改訂版を出したいと思っています。
よろしくお願いします。

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