見出し画像

音の失敗例(2)似て非なる建材

先日、新しい器を購入したのですが、よく見ると何かに似ているなと・・・

購入した器

そう、「ロックウール化粧吸音板(通称 岩綿吸音板)」です。「ロックウール化粧吸音板」は安価で施工しやすく、吸音性能も高いため、多く流通している吸音材です。天井に使用されることが多く、特にオフィスのシステム天井(グリッド天井)材としては定番の建材です。また、壁仕上げとして利用するケースも見かけることがあります。

似ている建材が実はもう1つ。「化粧石こうボード」です。安価で施工しやすい点は同じなのですが、実はこちらは吸音性能が低く、吸音材ではありません

両材料の見た目を比較してみると・・・

材料の見た目の比較

このように、非常によく似た見た目なので、ロックウール化粧吸音板と勘違いして、吸音性能が必要な空間で化粧せっこうボードを採用してしまう失敗例が後を絶ちません。名称も似ているので、さらに間違いやすいようです。

実は、両者の吸音率を比較するとこんな感じ。化粧せっこうボードは普通のせっこうボードとほとんど同じです。

吸音率の比較

設計段階の見分け方

どちらも非常によく用いられる仕上げ材なので、ついつい設計図に間違えて記載してしまうことがあるようです。設計時に吸音材を用いたい場合は、仕上表に「吸音」と明記し、「JIS A 6301 吸音材料」と必ず指定しましょう。また、どちらも上記写真以外の模様の製品が販売されていますので、カタログや製品サイトから選ぶ際に、吸音性能の記載があるかどうか、JISに指定された吸音材料であるか、などを改めて確認するようにしましょう。

施工段階・施工後の見分け方

施工段階や施工後には、視覚的には次のように見分けることができます。
・化粧せっこうボードの方が目地が目立つ
・化粧せっこうボードは異なるパネルでも同じ模様となっている
もちろん、空間の響き方で聞き分けられる方もいらっしゃるでしょう。

どちらの材料もどんな建物にもよく用いられていますので、建物利用・見学などの折に、どちらの製品か、見分け・聞き分けをしてみてください。

施工状態の見た目の比較



設計者たるもの、見た目に騙されず、適材適所で建材を選びたいですね。

関連記事

ロックウール化粧吸音板も、塗装すると吸音性能が低下してしまうので注意が必要です。
(記事はこちら → https://note.com/oto_arc/n/n7fa11ee243a4




#吸音 #建築 #設計 #音環境 #吸音材  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?