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女子第34回全九州高等学校駅伝競走大会

昨日、令和4年11月19日(土曜日)に鹿児島県指宿市で『女子第34回全九州高等学校駅伝競走大会』が開催されました。

天候は雨に加え、時折突風が吹くという、生憎のコンディションでしたが、九州・沖縄各県の予選会で3位までに入ったチームが熱戦を繰り広げました。

県の予選会から期間が短いこともあるのでしょうが、全国代表の座を獲得したチームの多くはエース格の選手を短い区間に配置したり、補欠に回したりと温存することも多い大会でもあります。

オーダーが発表された段階で、福岡県代表の『筑紫女学園』はエースの松本明莉選手(3年生)を最も短い『3km』の『第3区』に、熊本県代表の『ルーテル学院』は、熊本県予選『第1区』で区間新記録をマークしたエースの溝上加菜選手(3年生)を温存と全国でもトップクラスの選手を主要区間に起用しませんでした。

そんな中で、全国でも優勝候補に名前が挙がっている鹿児島県代表の『神村学園』は、女子の主要区間といわれる『第1区』・『第2区』・『第5区』は県予選と同じオーダー、最も短い『第3区』・『第4区』を県予選では控えに回った選手に変更という本番を見据えた本気の布陣で臨んでいました。

第1区

『第1区』は最も距離が長い『6km』。
留学生選手を起用することがで気ない区間となっています。

『神村学園』は、県予選に引き続き田島愛梨選手(3年生)を起用。
県予選前に右足に不安があるとの情報があり、県予選は『第2区』を走った選手の起用を考えていたとのことでしたので、今大会は控えに回るかと思われましたが、ここ数年、全国大会の『第1区』の出遅れで優勝を逃しているだけに、ロードでの経験値を上げるために、あえての起用だったのかもしれません。

田島選手は県予選で手応えを感じたのか、『北九州市立』のエース野田真理耶選手(3年生)とともに積極的に先頭集団でレースを進めます。
『筑紫女学園』は、県予選『第5区』で優勝のゴールテープを切った福山光選手(2年生)が冷静に先頭集団の中でレースを進めていました。

最後は、昨年の全国高校駅伝『第1区』で区間4位の好走を見せている野田選手が一気に集団から抜け出し、『19分20秒』で区間賞を獲得。
区間2位には福山選手が『19分34秒』と好発進。
大会6連覇を狙う『神村学園』の田島選手は区間3位ながら、県予選のタイムを3秒上回る『19分38秒』で駆け抜けました。

風の影響もあったのでしょうが、区間8位までが『20分』を切るレベルの高い争いとなりましたね。

第2区

続く『第2区』は『4.0975km』という半端な距離で、ペース配分の難しい区間です。
今大会は、体が浮いてしまうような強い向かい風が吹き、華奢な女子選手にとってはとても走り辛かったのではないでしょうか。

この区間から、『神村学園』と『筑紫女学園』の激しい首位争いが繰り広げられます。

『第1区』で『神村学園』に先行した『筑紫女学園』は、県予選『第3区』区間賞の金森詩絵菜(1年生)が勢いそのままに『北九州市立』を目標に追いかけながら逃げます。
一方の『神村学園』は、県予選でもこの区間を任された上野優月選手(3年生)がこの区間で首位に立ちたいと必死に追いかける展開。

結局、金森選手と上野選手が『14分10秒』でともに区間賞を獲得し、総合順位を1つずつ上げる結果となりました。
2校に逆転されてしまった『北九州市立』の下森美咲選手(2年生)も、『800m』で『2分7秒36』、『1500m』で『4分21秒43』のタイムを持つ全国トップクラスの選手ですが、『14分44秒』の区間7位と、強い向かい風と追いかけてきたチームの勢いに負けてしまったのはショックだったかもしれません。

全国大会では『12分台』で区間賞争いが展開される区間で、区間賞でも『14分』以上かかったのは想像以上の向かい風が吹いていたことが容易に想像できますね。

第3区

『第3区』は『3km』と5区間で争われる女子の大会で最も短い区間。

前の区間で先頭に立った『筑紫女学園』は、エースの松本選手を投入しているだけに、どこまで2位以下のチームを引き離せるかが注目のポイントでした。
レース序盤は、追いかけてくる『神村学園』との差を順調に広げていきましたが、後半の追い風を味方につけることができず、区間賞を獲得したものの『9分30秒』かかり、『3000m』で『9分11秒96』、『5000m』で『15分47秒87』のベストを持つ選手としては物足りない結果だったかもしれません。

一方の、『神村学園』は、県予選では控えに回った西川歩夏選手(3年生)が、沖田萌々選手(3年生)に代わって起用されました。
夏場に思ったような結果が残せていませんでしたが、本格的な駅伝シーズン入り前の10月に『3000m』で『9分31秒00』の自己ベストをマークしており、本番での出走メンバー入りに向けて、良い走りでアピールしておきたい所でした。
序盤は流石に中学時代から世代のトップクラスの走りを見せてきた松本選手から引き離されてしまいますが、諦めずに粘り強く我慢の走りを見せ、後半は追い風を利用し差を詰めるはしりで『9分36秒』の区間2位の好走。
『筑紫女学園』との差を大きく広げられなかったことは自信につながったのではないでしょうか。

第4区

『第4区』は、『第3区』と同様に最も短い『3km』。

逃げる『筑紫女学園』は、県予選で控えに回った有川ひなの選手(2年生)。
兵庫県から越境入学して来た選手ですが、故障などでなかなか結果を残せずにいましたが、ようやく今シーズンの駅伝シーズンに入り、ようやく走れるようになってきました。
先頭でもらった襷を受け、『9分40秒』とトラック『3000m』のベストタイム『9分52秒19』を大きく上回る快走で区間2位で先頭を守り切りました。

その有川選手の区間賞獲得を阻んだのが、追いかける『神村学園』の黒神璃菜選手(1年生)。
県予選では、同級生の小倉陽菜が『9分37秒』で区間賞を獲得したこの区間で、『9分34秒』と3秒上回るタイムでの区間賞獲得でした。

『第4区』を終わって、先頭『筑紫女学園』と追いかける2位『神村学園』との差は、『第1区』終了時点と同じ『4秒』の差。

第5区

最終『第5区』は、『第1区』に次ぐ距離の『5km』。

『神村学園』は、県予選で『14分58秒』と驚異の区間新記録をマークしているカリバ・カロライン選手(2年生)。
逃げる『筑紫女学園』は、県予選で逆転優勝につながる『第2区』区間賞を獲得した北野寧々選手(3年生)。

北野選手は、先月『5000m』にチャレンジし、『16分23秒50』とまずまずのタイムをマークしていますが、追うカリバ・カロライン選手は、『3000m』で『8分42秒31』の国際日本高校最高記録保持者。
あっという間の逆転劇でした。

それでも、北野選手は粘り強く走り続け、『16分35秒』で区間3位ながら日本人最高順位を獲得。
この区間で『17分』を切ることができたのは上位3選手のみでしたから、悪条件下での今回の走りは、悔しさとともに自信にもつながったと思います。

区間賞は、カリバ選手が唯一『16分』を切る『15分28秒』で獲得しました。

総合

優勝 神村学園(鹿児島県第1代表) 1時間8分26秒
2位 筑紫女学園(福岡県第1代表) 1時間9分29秒
3位 北九州市立(福岡県第2代表) 1時間11分21秒
4位 千原台(熊本県第2代表) 1時間11分41秒
5位 諫早(長崎県第1代表) 1時間11分55秒
6位 鹿児島(鹿児島県第2代表) 1時間12分2秒
7位 鹿児島女子(鹿児島県第3代表) 1時間12分7秒
8位 大分東明(大分県第1代表) 1時間12分9秒

鹿児島県勢が地の利をいかして、8位以内に3校とも入っていますね。
9位の『白石』(佐賀県第1代表)が、『1時間12分11秒』と、3位~9位までが50秒差以内の大接戦でした。
ちなみに、12位の『ルーテル学院』(熊本県第1代表)でも、『1時間12分45秒』でした。
悪条件下でも『1時間10分』を切った『神村学園』と『筑紫女学園』は全国でも活躍する姿を見ることが出来そうです。

全国大会

『神村学園』は、3年生5名、2年生1人、1年生3人と僅か9名しか部員がおらず、登録メンバーに留学生は1人までなので、登録メンバーギリギリの8名しかいない状況。主軸の選手が故障した場合、全国大会では苦戦が予想されますが、県予選で控えに回った2選手が好走したことは、2度目の全国制覇に向けてプラス材料となったのではないでしょうか。
田島選手とカリバ選手の『2枠』は確定だと思いますが、競歩のインターハイ覇者の吉留美桜選手(3年生)も加え、残り『3枠』を6名の選手で争う形となりそうです。

『筑紫女学園』は松本選手に頼らないレースができたことが収穫ですが、全国で上位を狙うためには、やはり松本選手の調子が左右してきそうです。