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2型糖尿病におけるDPP-4阻害薬と胆嚢・胆道疾患の関連

はじめに

今回の論文

2型糖尿病におけるDPP-4阻害薬と胆嚢・胆道疾患の関連性を検討した以下の論文です!本文へ行く前に簡単な知識のまとめを以下に記載します。

関連論文

GLP-1受容体作動薬の使用と胆嚢および胆道疾患のリスクとの関連についての無作為化臨床試験の系統的レビューとメタ分析もありましたので、ぜひ参考に!


この論文に関連するDPP-4阻害薬の基礎知識まとめ

消化管ホルモン(インクレチン)は今日までにGLP-1とGIPが確認されている。この2つはそれぞれの受容体に結合、細胞内cAMP濃度を上昇させ、インスリン分泌の増幅経路を活性化する。
GLP-1は分泌後、DPP-4によって急速に分解を受け、生理活性を失う。
DPP-4阻害薬はDPP-4活性を阻害し、GLP-1、GIPの不活化を抑制することで血糖降下作用を発揮する。

上記の通り、グルコース依存性で低血糖リスクが低いことから、DPP-4阻害薬は2型糖尿病に広く使用されている。

イントロダクション

GLP-1はコレシストキニンの分泌を抑制し(GIPでは胆嚢弛緩の報告がされている)、胆嚢の運動性や収縮性の低下に関与することから、DPP-4阻害薬による胆嚢・胆道疾患のリスクに関する懸念が生じる。DPP-4阻害薬と胆嚢・胆道疾患との関連について調べたreportはこれまでになく、この研究では2型糖尿病患者を対象に、DPP-4阻害薬と胆嚢・胆道疾患の関連を無作為化対照試験の系統的レビューとメタアナリシスにより検討することを目的とした。

目的

DPP-4阻害薬と胆嚢・胆道疾患との関連を検討

デザイン

システマティックレビュー、ペアワイズメタ解析、ネットワークメタ解析

対象基準

DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT-2阻害剤の投与を受けた成人の2型糖尿病患者が対象のプラセボまたは他の抗糖尿病薬と比較した無作為化対照試験

結果

試験82件(参加者計10万4833例)を対象としたペアワイズメタ解析の結果、プラセボまたはインクレチン関連薬以外の薬剤と比較すると、DPP-4阻害薬で胆嚢・胆管疾患(オッズ比1.22、95%CI 1.04-1.43)、胆嚢炎(同1.43、1.14-1.79)のリスクが有意に高かった。この相関は、投与期間が長いほど観察される傾向にあった。試験184件を対象としたネットワークメタ解析では、DPP-4阻害薬SGLT-2阻害薬より胆嚢・胆管疾患および胆嚢炎のリスクが高かったが、GLP-1受容体作動薬の間には、いずれのアウトカムにおいても有意な差は認められなかった。

研究の限界

①対象とした研究は、DPP-4阻害剤の胆嚢・胆道疾患への影響を評価するために特別にデザインされたものではない。
②胆嚢・胆道疾患は、安全性に関して事前に定義されていないため、過少報告となっている可能性がある。
③メタ解析のために患者レベルのデータを入手できなかった。

結論

DPP-4阻害薬は、無作為化比較試験において、特に治療期間が長いほど胆嚢炎のリスクを増加させる可能性があり、臨床現場においてより注意を払う必要がある。

感想

DPP-4阻害薬は私も日常的によく使用する薬で、それこそ膵炎だったり水疱性類天疱瘡などがなければ基本的に長期間投与を前提の上で使用することが多く、長期使用経過中に胆嚢炎を発症した場合は検討しなければならないと思いました。DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬では胆嚢・胆道疾患いずれのアウトカムについても有意差を認めなかったようです。リラグルチドの添付文書では確かに副作用の項目で胆嚢炎・胆石症が頻度不明ではありますが、記載されていました。

今回初めての論文まとめでした。基本的には自分の勉強した記録として残していこうと思っていますので、文章の拙さはご容赦ください。


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