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私の初めての音ゲー自我 ~キミはぷよぷよの音ゲーを知っているか~ /矢澤 豆太郎

2024年最初の更新になりました。
月刊オトモ編集長、矢澤です。本年も何卒よろしくお願い致します。

さて、早速ですが…皆さまは「自分が人生で初めてプレーした音ゲー」を覚えているでしょうか?
アーケード音ゲーのパイオニアであるビートマニアやポップンミュージックなどのBEMANIシリーズがそうという方もいらっしゃれば、家庭用ゲーム機のシーンで親しまれたパラッパラッパー、キッズ向けトイとして展開されたポピラ、今やカジュアル層からマニア層まで広く浸透した太鼓の達人シリーズ、もう少し最近だとチュウニズムやmaimaiなどのセガ発アーケード音ゲーや、Deemo、プロセカなどスマホ向けアプリが入口だった方もいるかもしれません。
或いはRPGやADVなど「音ゲーじゃないゲームに突然ミニゲームとして挟まれる謎の音ゲー」がそうだったかも…という方も実は少なくなかったり。

年齢や環境によって様々だとは思いますが、今回は私が(記憶の限りでは)人生で初めてプレーした音ゲー「ぷよぷよDA! -featuring ELLENA System-」について調べてみたらちょっと変なゲームだった…というお話です。

・ぷよぷよの音ゲーって知ってる?

ぷよぷよDA! -featuring ELLENA System-』(ぷよぷよだ! フィーチャリング・エレナ・システム)は、1999年12月にドリームキャストアーケードで発売された対戦型音楽ゲーム。開発元はコンパイル、発売元はセガ

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

そもそもこの「ぷよぷよDA! -featuring ELLENA System-」を知っている方が果たしてオトモ読者の中にどれだけいるでしょうか。
以前オトモライターのぬのじさんに「ぷよぷよの音ゲーって知ってる?」と聞いたときは知らないと答えていた気がします。世代的な要因もあるかもしれませんが…。

2000年前後はまだまだ家庭用ゲーム機の黎明期で、「ぷよぷよDA!」が発売されたドリームキャストは同時期に肩を並べていたNINTENDO64やプレイステーション、プレイステーション2に比べると普及率が低く、ややマニアックな機種だった印象があります。
そんなドリームキャストと、これまた現代と比べるとまだまだ発展途上のアーケードでのみ発売され、更に「ぷよぷよ」自体の知名度はともかくコンテンツの外伝的ポジションでリリースされた「ぷよぷよDA!」…正直広く知られていなくても全くおかしくないと思います。

この決してメジャータイトルとは言えない「ぷよぷよDA!」が何故私の人生初めての音ゲーなのかというと、話はシンプルで「いとこの家にあったから」です。
今でこそいわゆる「オタク文化」は一般的に知られるようになり、様々なコンテンツがカジュアルに楽しまれている時代になりましたが、2000年前後まで遡ると現代とは状況は全く異なり、ごく一部のマニアック層がひっそり楽しんでいる、ややアングラで大人向けの趣味である印象です。

いとこの家は4人兄妹、一番上の兄は私より年上で、いち早く「オタク文化」や「萌え文化」をキャッチしている人物でした。
そんないとこの家には当時ややマニアック機種だったドリームキャストやセガサターンなどが当然のように存在していて、更にいとこは外伝作品も揃える程度にぷよぷよのファンでした。
いとこの家はずいぶんな田舎にあったので、遊びに行ってもやることといえばその豊富に取り揃えられたゲームくらい…。
その中で遊ばせてもらったゲームの中にあった「ぷよぷよDA!」。奇しくもこのタイトルが、私が人生で初めてプレーした音ゲーになったというわけです。

・ぷよぷよの曲…?

プレイしていた当時は私もまだ自我が芽生えているんだかいないんだか怪しいくらいの子供だったので特に疑問には思っていなかったのですが、この「ぷよぷよDA!」の存在を思い出した時ふと考えました。「ぷよぷよDA!」に収録されていたあの謎の楽曲たちは一体なんだったんだ…?
そう、記憶の中の「ぷよぷよDA!」の楽曲はなんか謎というか、変な…クセが強い曲が多いのです。
キャラソンという雰囲気でもない、おじさんが歌っている曲ばっかりだった気がしていました。

もしかしたら私が知らないだけで女性ボーカルのキャラソンや歴代シリーズのBGMアレンジもあったのかもしれない…と考えたのですが、wikipediaにて収録楽曲を確認したところ、ボーカル楽曲は概ね田中勝己氏(元コンパイル所属コンポーザー)と仁井谷正充氏(コンパイル創業者、社長)(!?)の二名が歌っており、結果的に全ておじさんが歌っている曲で、しかもほとんどが社長の曲でした。

一応魔導物語などのBGMアレンジ、インストなども収録されていますが割合としてはほとんどが社長のボーカル楽曲でした。
更に驚くべきことに、コンティニュー画面やネームエントリー画面で流れていた一番謎の楽曲(ままごと手伝い、缶蹴り鬼ごっこ~♪というマジで謎の単語から始まる非常に印象的な曲)は、仁井谷正充氏のデビューシングルが出典でした。

コンパイル創業者、CDデビューしていたのか……。

「ぷよぷよDA!」はぷよぷよシリーズの外伝的立ち位置の音ゲーであり、コンパイル創業者であり社長の仁井谷正充氏の楽曲で遊べる音ゲーでした。
もしかしてこのゲーム、変なゲームだったのかな…?

今考えてみれば、私の初めての音ゲー自我がこの「ぷよぷよDA!」だったお陰で、音ゲー入門期にありがちな「知らない曲とかオリジナル曲ばかり収録されていて敷居が高く感じる」という感覚が払拭されていたのかもしれないし、関係ないかもしれません。どうだろう。

余談ですが仁井谷正充氏のデビューシングル「傷心~きずごころ」はコンパイルの一度目の倒産を題材にした楽曲だそうです。倒産してからCDデビューしたんだ…。

・ゲームに歴史あり

この「ぷよぷよDA!」についての記事、ふとこの謎の音ゲーのことを思い出して調べてみたら思いのほか変なゲームだった…ということで書いてみたのですが、もしかしたら皆さんの頭の片すみに残っている変なゲーム、謎のゲーム、正体不明のゲームも調べてみると予想外に面白い歴史が見つかるかもしれません。
(「ぷよぷよ」や「コンパイル」は特に波乱万丈な道筋を辿ったことで有名なので、特例の可能性もありますが…)
音ゲーに限らず、たまには「ゲーム史」のようなものを辿ってみるのもまた一興かもしれません。

今回はこんな感じです。では。


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書いた人:矢澤豆太郎
月刊オトモの編集長かもしれません。各ライター陣を脅して原稿を書かせている人とも言います。普段は札幌でアマチュア作家活動などもやってます。好きな音ゲーはポップンミュージックとギターフリークスですが、割とBEMANI全般を満遍なくやってるかも。

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次回2月は更新をお休みさせていただきます。3月をお楽しみに!