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 昼が夜に変わる間際、とばりの陰に物の気配を感じたことはないだろうか。悠久の昔から最先端の数式に至るまで、接点はどこまでいっても概念でしかなく、物理の視点からすれば計りしれない溝を秘めている。わずかなつなぎ目のくせに無限で、だからそこには魔が潜む。

 概念の境界線から這い出して来る者は、鬼でもあり蛇でもあり、たまに具体的なアリも現れれば、アレのことだって。

 境目は、神出鬼没の通り道。

 ほら、冷蔵庫が壁と交わるその境界線から現れる身の毛がよだつアイツ、借りられるものならぜひ借りてみたい猫の手は、救いの主になれるだろうか。昼は寝子、ネズミを獲る子=ネコとも言われる頼りになりそうな相棒は、夜と闇の間に目を光らせに、今夜もまたその身を狭い隙間に潜り込ませに行っている。どうして大事な場面にずでんと居座っていてくれないんだ?

 ガサガサ。その都度、ギクギク。
 ……。
 しかたがない。自分でやるか。やれるのか?

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