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【23.楽典のこと✏️】臨時記号・調号・短音階

今回の記事では臨時記号・調号・短音階についてお話しします。長音階同様に様々な仕組みがありますので短音階についても理解を深めて頂けるように解説します。
       前回記事【22.楽典のこと✏️】臨時記号・調号・長音階はこちら


ダブルシャープ・ダブルフラット

短音階を学ぶ前に前回記事で扱わなかった臨時記号について少し解説します。
ダブルシャープとダブルフラットです。名前から想像がつくかと思われますが、
どちらも「半音の半音」変化します。ダブルシャープの方であれば元の音を半音の半音上げますし、ダブルフラットの方であれば元の音を半音の半音下げます。
解説図の方に記載しましたが、例1「え」にダブルシャープがつきますと、半音1個分あげて「つ」、そこよりまた半音1個分あげて「お」となり、「え」のダブルシャープは「お」を弾くことになります。黒鍵がある部分の音では簡単に半音の半音を考えられると思いますが、黒鍵がない部分の音(「う」のダブルシャープの場合)などはちょっと注意が必要ですね。「う」の半音1個分上がった音は「え」、そこからまた半音上がった音は「つ」となり、「う」のダブルシャープは「つ」を弾くことになります。ダブルフラットの場合も同様に考えていけば良いでしょう。
これらのダブルシャープ・ダブルフラットの臨時記号としての効果はシャープ・フラット・ナチュラルと同様ですが、ダブルシャープ・ダブルフラットともにナチュラル一つをつければ全ての臨時記号としての効果をなくすことができます。
ナチュラルを一つをつけて効果を一つ分なくすという解釈ではありませんので注意しましょう。



ハ長調とイ短調

では短音階の解説に入ります。長音階は楽しい感じ・明るい感じなどと言われることが多いのですが、曲は楽しい感じ・明るい感じだけではありませんね。楽しい感じ・明るい感じに対して寂しい感じ・暗い感じの曲も当然存在します。そのような音階を短音階と言います。長音階=長調、短音階=短調とも言います。長調と短調には深い関係があり、今より少し楽典を学習しなければならないようなこともありますが、ここでは取り扱いません。ある一つの調号があった時、その調号が表すのは長調一つと短調一つです。例えばある調号をシャープ一つ(ファ♯がついている調)の調としたら、その調号が表しているのはト長調とホ短調ということです。上記の図ではハ長調とイ短調の例を示していますが、ハ長調とイ短調は調号が何もつかない調ですので、わかりにくくなっていますが、何もつかない調ということで理解してください。(ハ長調に対してイ短調、ハに対してイということも決まりがありますのでそのように理解していただければ良いと思います。)

イ短調の種類と全音・半音の関係

上の音階は全てイ短調の音階です。例えばハ長調には音階のパターンは一つしかなく、前回解説した通りの全音・半音の関係しかありませんでした。が短調は短調の中で3種類の音階が存在します。①自然的短音階、②和声的短音階、③旋律的短音階(上行形・下行形)それぞれ全音・半音の関係が少しずつ違っています。
①自然的短音階・・・長音階(ここではハ長調を指す)と同じ音で構成されている
②和声的短音階・・・7番目の音と8番目の音は半音にしなければなりませんので、ここでは7番目の音にシャープをつけて半音上げます。すると6番目の音と7番目の音は全音+半音の関係になり少しエキゾチックな感じがします。
③旋律的短音階・・・音階が上がって行く時(上行形)と下がって行く時(下行形)の音の関係が違っています。上行形の場合は5番目の音と6番目の音が全音、6番目の音と7番目の音が全音、7番目の音と8番目の音が半音の関係になるように6・7番目の音にシャープをつけます。下行形の場合はシャープで変化させた音を元の高さの音に戻し、自然的短音階の時と同じ構成とします。上行形で音を変化させる方法として今解説しましたのは、②和声的短音階で7番目の音を半音上げる時にシャープをつけて半音上げる方法です。他にはダブルシャープをつけて半音上げる方法とナチュラルをつけて半音上げる方法がありますので譜例をしてしておきます。

7番目の音をシャープをつけて半音上げる調の譜例


7番目の音をダブルシャープをつけて半音上げる調の譜例

上記鍵盤図では
ロ長調・・・「わ」「た」「ち」「う」「つ」「て」「と」「き」
嬰ト短調・・①「て」「と」「き」「な」「に」「こ」「ぬ」「ね」
      ②「て」「と」「き」「な」「に」「こ」「し」「ね」
      ③「て」「と」「き」「な」「に」「さ」「し」「ね」
      ④「ね」「ぬ」「こ」「に」「な」「き」「と」「て」
のようになります。

7番目の音をナチュラルで半音上げる調の譜例

上記鍵盤図では
変ホ長調・・・「ち」「え」「お」「て」「と」「く」「け」「に」
ハ短調・・・・①「あ」「い」「ち」「え」「お」「て」「と」「く」
       ②「あ」「い」「ち」「え」「お」「て」「き」「く」
       ③「あ」「い」「ち」「え」「お」「か」「き」「く」
       ④「く」「と」「て」「お」「え」「ち」「い」「あ」
となります。



長調と短調の仕組みがご理解頂けたでしょうか?調号と長調・短調の関係は切っても切れませんし、これから弾いてみたい曲の理解にも大変役立つものですから少々難しいですが、学習してほしいと思います。その上でもう少しだけ調号のお話を進めますね😅

調号のつき方と長調・短調

上の段はシャープを使用する調号の書き方、下の段はフラットを使用する調号の書き方です。このシャープやフラットの書き方にも決まりがありますが、ここでは扱いません。これからピアノをはじめられる方にとりましては、このように増えていくんだなあと覚えて頂ければ良いでしょう。段々と上達していったならば学習していくことになると思いますのでそれから頑張りましょう。

前回の記事で長調と短調を合わせて24個あります。と解説しましたが、解説図では28個が示されています。(これにハ長調とイ短調を加えて30個です)
この中の長調のうち、
ロ長調と変ハ長調
嬰ヘ長調と変ト長調
嬰ハ長調と変ニ長調
短調のうち
嬰ト短調と変イ短調
嬰二短調と変ホ短調
嬰イ短調と変ロ短調
はそれぞれ異名同音(同じ音で違う音名)の調なのでカウントされません。よって24の調ということになります。
※太字にした方の調はあまり現実的には使用されないように思います。

全訳ハノンピアノ教本をお持ちの方は39番が音階練習(スケール)になっていると思いますが、ここで解説しました調号・長調・短調のお話が凝縮されていると思われますので是非取り組んでみてください。


今回譜例で示した音階の音源を載せておきます。気になる方はお聞きください。

※音源説明
ハ長調  7:16
イ短調 自然的短音階 39:15
イ短調 和声的短音階 1:11:14
イ短調 旋律的短音階 1:43:14
ト長調  2:21:15
ホ短調 自然的短音階 2:53:15
ホ短調 和声的短音階 3:25:15
ホ短調 旋律的短音階 3:57:15
ロ長調  4:33:15
嬰ト短調 自然的短音階 5:05:16
嬰ト短調 和声的短音階 5:37:15
嬰ト短調 旋律的短音階 6:09:15
変ホ長調  6:41:15
ハ短調 自然的短音階 7:13:16
ハ短調 和声的短音階 7:45:15
ハ短調 旋律的短音階 8:17:17

各調は上行→下行→上行→下行と演奏しています。
旋律的短音階は上行形下行形を続けて一回とし、二回演奏しています。
ハ長調からハ短調旋律的短音階までノンストップで演奏していますので注意してください。



今回も何だか面倒そうなお話でしたが、最後までお付き合いくださいまして本当にありがとうございます😊スキをくださるだけでなく、ビューとしてご覧頂いている皆様にも感謝申し上げます🙇これからピアノをはじめられる方に向けてお話させて頂いておりますが、大人の方々だと思うとやはりこれは知っておいて頂きたいとの思いからやや難しげなお話になってしまい申し訳ございません。今後も硬軟織り交ぜながらお話していきますのでよろしくお願いします🙇‍♀️

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