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【4.楽器のこと🎹】楽器を選ぶときのポイント(中古・譲渡他の場合)

前回の記事で新品の楽器を選ぶときのポイントをお話いたしましたが、今回は中古の楽器(主にアコースティックピアノ)を選ぶとき、またどなたかから譲渡を受ける時のお話をいたします。

楽器店やピアノ販売店などに行くと、中古の楽器も店頭に並んでいることがあります。また実際にお店の方と話しているときに、予算の関係から中古の楽器を勧められる場合もあります。中古の楽器と言いましても様々に状態が違っていますので、個体別にチェックすべきでしょう。その時に注意すべき点として、その楽器の

製造年月日
何年程度、どのような人が、どのように弾かれていたか
設置されていた場所
希少価値のある楽器かどうか
今後どれくらい内部の部品交換なく使用が可能か

をチェックされるとよいでしょう。すべてのことが完璧にチェックできない場合もあるかと思いますが、わかる範囲で把握しておきましょう。


製造されてから現在までにどのくらい経過しているかということですが、古い、新しいの感覚は人それぞれですから何年程度経過しているかが一つの目安になります。1~10年程度でしたら何の問題もないことが多いでしょう。10~30年程度ならグランドピアノで言えばいい音の状態と言えるかもしれません。40年以上経過の楽器ですと鍵盤や内部の部品の状態が今一つと感じられるものも出てくると思います。そこでその状態を確認するために前所有者の方がどのような方で、どのような弾かれ方をした楽器なのかを知る必要がでてきます。幼稚園に入園したお子様がピアノをはじめるために購入したが3年ほどで辞めてしまって使用していなかった5年程度経過の楽器もあれば、音大受験やコンクールのために毎日10時間ほど練習していた10年程度経過の楽器、あるいはピアノの先生が子供の頃から使用していて生徒さんのレッスンにも使用していた40年程度経過した楽器とでは全く内部の状態が違っています。ですから前所有者の使用状況を考慮して何年程度今後あまり手を施さず(内部の部品を交換せずに)に使用できるかで楽器を決めるとよいでしょう。
設置場所として考慮したいのは、あまり神経質にならなくてもよいのですが、極端に湿気の多いところに置かれていた楽器、反対に乾燥している場所に置かれていた楽器、直射日光にさらされていた楽器など人にとっても居心地の悪い場所に設置されていた楽器はやはり何かしらの不具合が起きやすくなっていることもあると思いますので、許容範囲内の楽器を選ぶようにしましょう。楽器店等に展示されていた楽器も中古の楽器ということが出来ると思いますが、新品の楽器を購入して自分で音を作っていくよりも、ある程度皆さんが弾いて既に出来上がった音を楽しみたい方にはこれも正解と言えます。
希少価値のある楽器とは、今現在は存在していないメーカーの楽器で、すでにその楽器が製造されなくなってから数十年以上経過しているといった楽器ですが、この場合、その楽器が特に好きでその音がたまらないといったいわゆるマニア向けのような存在だと思いますので、これからピアノをはじめる方に向けてはお勧めできません。また一般的な希少価値という意味ではなく、有名人(すでに故人となられている場合ならなおさら)が使用していた楽器なども希少価値があると言えますが、こちらの場合もよほどのことが無い限り、お勧めしません。
今後どれくらい内部の部品交換せずに使用可能かという点ですが、先にもお話しましたが、ピアノを構成する部品はグランドピアノで約10000個、アップライトピアノで約8000個です。内部で消耗する部品の数も相当なものです。その部品が使用年数や使用頻度によってかなり消耗具合も異なることはお分かりいただけると思いますが、弦に直接触れるハンマーの摩耗は30年程度経過している楽器ならかなり進んでいると思われますので、何かしらの手入れが必要です。手入れでどうにもならなければハンマーをそっくり交換ということも考えねばなりません。はじめからそんなリスクの大きい楽器を購入するのは躊躇してしまいますよね。

と長々とお話しましたが、楽器店、ピアノ販売店など正規のお店で取り扱っている楽器でしたらほぼ問題なく購入しても大丈夫だと思います。新品の楽器を購入するときと同様に必ず実際に現物を見て、弾いて、音を聴いてみてから判断しましょう。


では次にどなたかからの譲渡についてお話します。私は、中古の楽器を購入するよりもこちらの方がチェック事項が多いと感じています。譲って下さる方にとってその楽器は多かれ少なかれ思い入れのある楽器で、それをあなたに譲るとおっしゃってくださっているわけですから、そのお気持ちはありがたく受け取りたいものです。がしかし、そのピアノは本当にピアノでしょうか?前の記事でもお話した通り、白い鍵盤と黒い鍵盤がついていれば全部ピアノと思っている方もまだ少数ですが存在します。そのピアノは88鍵ですか?そのピアノはきちんと音は出せますか?そのピアノは鍵盤が2段に分かれていませんか?そのピアノは製造されてから何年経過していますか?これらすべてのことを善意で譲って下さる方に問い合わせて、どういった使用をされていたのか、どんな環境のもとに設置されていたのか確認しなければなりません。先ほどの中古の楽器を購入するときのチェックと同様に考えなければならないことです。ピアノと言っているものがもしかしたら32鍵しかないものだった、電子オルガンだった、スタンドなどの付属品がなかった、40年以上経過していて20年は調律もしていない、子供が小さいときに使っていてそのまま部屋に置きっぱなしになっている等譲り受ける方が想像している楽器とは程遠い状態の楽器のことかもしれません。もしもそのような楽器であっても何の確認も無しに一旦譲り受けてしまったら、そのピアノは本当にあなたが必要としている楽器、相棒となるべく楽器として心から喜べるで楽器しょうか?もしもそのピアノがアコースティックピアノだった場合、設置の環境が急激に変化することになりますが、ピアノが耐えられるものでしょうか?と色々ネガティブに書きましたが、そのような心配事が押し寄せてきますので、私としましてはそのピアノの状態を熟知しているのなら譲り受けても大丈夫と思いますが、そのピアノのことが何もわからないのであればお断りすることをお勧めします。


さて楽器の購入について多くをお話してきましたが、ここで視点を変えて楽器を購入しないということについて少しだけお話します。購入しないでどうやって練習するかという問題ですが、あまり知られていないかもしれませんがリースという方法があります。私は利用したことはありませんが、最初から購入するのではなく先ずはお試しからという方法もありだなと思います。そもそもピアノはなくてもレッスンできるとおっしゃられる先生もいらっしゃいます。先生のお宅で、あるいはレッスン時間内で出来ることをするという方法です。また公共施設や民間業者のレンタルルームを時間貸し出来るところもありますので、お近くの公民館や地域センター、民間業者のレンタルルームなど調べてみるのも一考です。ピアノのあるお部屋をレンタルできればその時間はお好きに練習できますね。


2記事にわたって楽器を準備するときのポイントをお話しました。この記事で少しでも楽器選びのお手伝いが出来ましたら嬉しく思います。最後までお読みくださりありがとうございます。では次の記事でもよろしくお願いします🙇‍♀️

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