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【41.演奏してみよう🎶】様々な演奏の仕方①腕の交差

ピアノを学習されていない方であっても、簡単に弾くことができる曲があります。「猫ふんじゃった」という曲ですが、小学生の頃みんなが遊び半分でどれだけ早く弾けるかなどと言いながら弾いていました。この曲の途中では腕の交差があります。「猫ふんじゃった」の楽譜など見たことがない方も多いと思いますが、みんなが簡単に弾いていたこの曲の腕の交差の部分はどのような記譜がされているのでしょうか?


バイエル原書番号80番の一部

私が譜例としてよく取り上げるバイエルの中に上記のような部分があります。赤枠で囲んだ部分に注目してください。この部分はまず右手で弾く上段がヘ音記号になっています。しかも左手で弾く下段の音符よりも低い位置の音符です。これは一体どのように弾けば良いのかと悩まれる方もいらっしゃるかもしれませんね。楽譜の中にはこのように悩ましい箇所もありますが、素直に考えていきましょう。右手で弾くべき上段の音なのですから、右手で弾くことは確定です。次に左手で弾く伴奏の音符の位置よりも低い位置の音符が書かれていますので、左手はそのままの位置で左手の上から左手を乗り越えて書かれてある音符を右手で弾くということになります。これが腕の交差です。譜例の場合ですと、はじめの小節を弾いた後、ヘ音記号で書かれた音符の位置まで右手が移動します。その時に左手の腕を乗り越えていきます。そしてまた譜例の3小節目の位置まで右手を移動して弾きます。このような演奏に慣れていらっしゃらない方ですと、かなり忙しいイメージになるかもしれません。はじめのうちは、音を気にせず腕の移動だけを練習してみましょう。腕の動きに慣れてきたら、実際に弾く音で練習します。

バイエル原書番号80番の曲では腕の移動だけでなく、上記の譜例の箇所には、調号の変化、装飾音符、スタッカティッシモが出ていますので、この曲の場合のみお話ししておきます。

  1. 調号の変化・・・80番は元々ニ長調の曲ですから曲の初めに書かれているのはシャープが2つ(ファ、ド)です。が譜例の箇所にきたときにニ長調からト長調へ転調しています。転調する際に調号も変わりますので、ドのシャープが変化しないドになることを示すためにドのシャープがナチュラルに変更されています。転調のために調号が変化することはよくあることですが、このようにわざわざナチュラルを書く時とナチュラルを書かずに転調した後の調号だけを書く時とがあります。80番の場合は転調したことがよくわかるようにナチュラルを書いてあります。

  2. 装飾音符・・・本来の四分音符に小さな八分音符に射線がついた音符が書かれていますが、この小さな音符が装飾音符と言われるものです。はじめの小節ですと♯ドレ、♯ファソですが、♯ドと♯ファが装飾音符になりますので、レとソを装飾するように素早く弾きます。トゥルン、トゥルンといったイメージです。これがはっきり2つの音を弾いているように聞こえなければなりません。素早くなのだからと2つの音が同時に鳴っているように聞こえたのでは和音を弾いているのと同じことになりますので、注意しましょう。またあまり素早くできないからといって♯ドーレー、♯ファーソーのように間延びしてしまうような弾き方もここでは注意が必要です。※装飾音符には他にも種類がありますので、改めて次回記事にてお話しいたします。

  3. スタッカティッシモ・・・バイエルを順に進められている方はご存知かもしれませんが、お話しします。フォルテが強く弾くのに対して、スフォルツァンドはその音だけごく強く弾くという感じでしたが、スタッカートに対してスタッカートよりもごく短く切って弾くのがスタッカティッシモです。ではどのくらい短く?と思われますが、簡単に言いますと四分音符にスタッカートがついた場合は四分音符の1/2くらいの八分音符のように、スタッカティッシモの場合は同じく四分音符についた時、四分音符の1/4くらいの十六分音符のように弾くイメージです。実際に弾く場合はあまり厳格に考えすぎないように致しましょう。


少し話がずれてしまいましたが、腕の交差に戻ります。その他にはどんな腕の交差の記号の場合があるのかをお話しします。


腕の交差の譜例

80番の場合には腕の交差がある場合、ト音記号の箇所にヘ音記号をつけて腕の交差があることを示していました。他の場合ですと腕の交差の譜例のように記号を用いて示します。上の譜例につけられているのは l.h.です。これはleft handの略で左手で弾くことを示していますので、ヘ音記号のドソを左手で弾いた後、右手のドソを弾き、右手の上を左手が乗り越えて全音符のドを左手で弾きます。この譜例の場合は左手で全音符のドを弾くときには右手の音はありませんので、他の音が響いていないように致しましょう。この譜例の中には出てきませんが、l.h.の
対になるのが r.h.(right hand)です。
ツェルニー30番練習曲の27番の譜例ですが、こちらは薄い赤の帯が右手で弾く音達です。m.d.と書かれてあります。青の音符は全て左手で弾きます。m.g.と書かれていますね。イタリア語なのかフランス語なのかで左手で弾く時の書き方が違ってきますのでよく覚えておきましょう。m.g.はフランス語、 m.s.はイタリア語で左手です。


腕が交差する場合の演奏の仕方としましては、交差させて弾く音がかなり遠い位置にある音符の時、しっかりと体の重心を保って弾くことを心がけてください。その場合、足を広げて体がぐらぐらしないように保つ必要があります。椅子から落ちてしまうようなことにもなりかねませんので😅


腕が交差する場合の譜例を見てきました。いかがだったでしょうか?幼い頃に「猫ふんじゃった」を高速で弾く遊びをされたことがある方も「この曲の場合、どんなふうに交差の部分が書かれていたのかな」と思われたかもしれません☺️
実際の楽譜を探されるのも楽しいかもしれませんね。

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