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【21.楽典のこと✏️】速く弾く・遅く弾く

楽器を演奏するときに考慮すべきことの一つに速さの問題があります。その曲は速く弾くのが良いのか、遅く弾くのが良いのか、そもそも速い・遅いの基準は?と悩みは尽きませんね。今回の記事では速さの問題について考えていきます。


古のメトロノーム

速さの問題と言えば、思い起こされるのはメトロノームですね。こちらの写真のメトロノームを現在お使いの方はどれくらいおられるでしょうか?というくらい最近では使用されていないのではないかと思われる代物ですが、このメトロノームただ一点にのみにおいて私は重宝しております。といいますのも、表示部分の言葉がすなわちどれくらいの速さ(数字で表される時の速さ)なのかが瞬時にわかるという点です。♩=120と書かれていれば大体の速さが想像できるのですが、言葉で書かれていた場合曖昧な感覚に頼らざるを得ないためなかなかピンとくる感覚にならない為です。


速度記号の例


メトロノームの表示部分と言葉によって表される速度記号

言葉によって表示される記号(とでもいいましょうか)は図の上から下にいくに従って段々と速くなっていきます。逆に下から上の方にいくに従って段々と遅くなっていきます。ここではLargo〜Prestoまでを説明していますが、Largoは数字の表示では♩=40〜48の間を示しています。古のメトロノームではおもりの部分の上の端を数字の40〜48にセットすることで大体のLargoの速度がカチカチとなってくれます。同様にModeratoでしたら96にセットすれば良いということになります。

これらの言葉によって表された記号はほとんどの場合、曲のはじまりの部分に書かれています。そしてその曲の終わりまでの全体を通して演奏されるべき速度を表しています。

少々余談になりますが、この言葉による速度記号の中にAndante 歩くくらいの速さでというのがありますね。この歩くくらいの速さとはどのくらいなのでしょうか。数字の表示によればアンダンテは72の速度ということになっていますが、現代の日本人で72の速さで歩く人はどれくらい居られるでしょうか。私としましては興味のあるところです。その曲が作曲された時代のその国の方がどれくらいの速さで歩いていたのかを考えると現在の速さとは少々速度が違っているかもしれませんね。

その曲の速度は最初に決められたら最後までその速度で演奏されるのでしょうか?曲を演奏していると途中で様々な記号が現れますが、その中には当然速度に関する記号もたくさんあります。その部分のみ速く弾く、その部分からゆっくり弾くなど部分的に速度が変化する場合がかなり頻繁に現れます。

色々な速さを表す記号や言葉

リタルダンドやラレンタンドは曲の途中や曲の終わりに書かれていることが多いですが、その部分から段々とゆっくり弾くということです。曲の途中でこの記号がついていた場合、段々ゆっくり弾いていけばどんどんゆっくりになり最後には止まってしまいますね。実際にはそんなことは起こり得ませんが、それはア・テンポという記号が絶妙なポイントに書かれて、ゆっくり弾くことをやめて、もとのテンポで弾くように指示してくれるからです。そういった意味でリタルダンドやラレンタンドとア・テンポはセットにして覚えておくと良いでしょう。

変化した速度を変化する直前の速度に戻すのがア・テンポであるのに対して、そもそもの最初の設定速度に戻すのがテンポプリモということができると思います。

テンポ ディ 〜 は〜の部分に例えば Valse(バルス)と入れてみますと、
Tempo di Valse   ワルツの速さで
という意味になります。

イン テンポは演奏している時に誰もが正確さを欠いてしまうような箇所に書かれていることが多いと感じます。ノリノリで弾いてしまわないように「正確な速さを保って」と改めて釘を刺すような感覚でしょうか😅

ピウ モッソ、メノ モッソですが、モッソは動きの意味で、
ピウ モッソは動きをより多く→今までより速く
メノ モッソは動きをより少なく→今までより遅く
を表します。


曲を演奏するときの速さの記号についてお話ししました。速さの指示が書いていることからその曲はその指示通りに演奏しなければならないのかという問題につきましては、また別の機会にお話ししたいと思います。今回の記事で速さの記号についてお分かりいただけましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございます😊また次回もよろしくお願いします🙇‍♀️

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