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【37.演奏してみよう🎶】ポリフォニーにつながる演奏の仕方

初心者の皆さんに向けてお話しておりますが、今回の記事はポリフォニーにつながる演奏の仕方、楽譜の見方について解説いたします。



バイエルに登場する伴奏のいろいろ

教則本としてバイエルを使用されている皆さんには、原書番号で78番・
88番・105番・97番のような書き方がされている楽譜に遭遇します。この他にも数曲このような伴奏の形を目にするでしょう。これらの伴奏の形は、それまでの伴奏の形と似ているようですが、明らかに違っている部分があります。今までの伴奏の形では、左手の音符につながっている棒は必ず下向きに伸びていたと思われます。が78番を例にとってみますと、最初の音符と4拍目の音符につながっている棒は下向きについていますが、2拍目・3拍目・5拍目・6拍目は音符につながっている棒が上向きについています。88番の譜例でも同じように下向きについている棒と上向きについている棒が混在しています。105番の譜例では全音符なので下向きに棒はついていませんが、意味合いは同じです。また下向きの棒がついている音符の上にはそれぞれの箇所に相応しい休符が書かれています。このような書き方に意味はあるのでしょうか?


この表記の仕方で2つの旋律が1つにまとまって表記することができます。

1つ目・・・ウン ♯ファ ラ  ウン ♯ファ ラ (ウンは休符です)
2つ目・・・レ  ー  ー    レ  ー  ー 

この2つの旋律を左手だけで演奏するというのがこの表記ということです。

88番 
1つ目・・・ウン レ シ レ  ウン レ シ レ
2つ目・・・ソ    ー    ソ    ー 

105番
1つ目・・・ウン ソ ソ ソ  (ソの箇所はミと合わせて和音です)  
2つ目・・・ド  ー ー ー

2つの旋律を1つにまとめて表記することがご理解頂けたところで、97番の譜例をご覧ください。97番では78番の表記と同じものが1小節目にありますが、2小節目のものはまた少し表記が異なります。この2小節目の表記を詳しくみていきますと
1つ目・・・ド ソ ソ (ソの箇所はミと合わせて和音です)
2つ目・・・ド ー ー
のようになります。1小節目との違いは1つ目の旋律のはじめがウン(休符)ではないことです。ドソソの旋律とドーーの旋律が一緒に表記されているということです。

楽譜上での表記の仕方が理解できましたら、演奏の仕方についてお話しします。
2つの旋律が同時に表記されていることからそれぞれの旋律がそれぞれに聞こえなくてはなりません。1つ目の旋律は簡単に演奏できそうですね。2つ目の旋律は2つ目だけを演奏するのは問題ありませんね。では同時に演奏する場合はどうでしょうか。図で示した通り、2つ目の旋律は1つ目の旋律の最後の音を弾いた後も少し伸びていることがわかると思います。これが初心者の方にとりまして非常に難しい所であると思います。2つ目の旋律が1つ目の旋律の最後の音を弾いたと同時に切れてしまう(鍵盤から指が離れる)ことが多いのです。正確に演奏できるようにゆっくりと行ってみましょう。その場合、必ず1つ目の旋律の最後の音を弾いた後、2つ目の旋律の音が響いていることを耳で確認してください。そうすることできちんと演奏できているかどうかの確認につながります。この演奏方法で練習ができましたら、少しずつテンポを速めていきましょう。97番の冒頭2小節を弾き分けることは事実上できないと思われますので、理論上「こういった違いがあるんだ」と理解して演奏できればよろしいかと思います。



2つの旋律のいろいろ


2つの旋律が同時に表記されているのは左手だけに限りません。右手にももちろん存在します。同じくバイエルの106番を例に挙げていますのでご覧ください。

1つ目の旋律・・・ド シ レ ド シ ウン
2つ目の旋律・・・ソ   ー   ー(ウン)

右手で2つの旋律を同時に弾く練習も左手同様ですが、2つ目の旋律が最後まで響いていることに注力しましょう。1つ目の旋律を3、4、5指で演奏しなければなりませんので初心者の方にとりましては2つ目の旋律を1指で弾きながら3、4、5指で演奏することに戸惑うかもしれませんが、少しずつ練習をしていきましょう。


メヌエットの譜例はアンナ・マグダレーナ・バッハのクラヴィーア小曲集に収められているメヌエットの左手の一部です。この曲は電話の保留音などでもお馴染みの曲でよく知られているものでもあり、初心者の方にも多くの方が弾きたい曲だと思いますので取り上げてみました。このメヌエットの中にも2つの旋律が同時に表記されている箇所があります。この箇所を綺麗に決めて演奏されると上達ポイントが上がりそうですね。

左手1小節目
1つ目・・・ レ ー (ウン) (レの箇所はシと合わせて和音です)
2つ目・・・ ソ ー  ラ  
※お使いの楽譜によっては左手1小節目はこのような表記になっていないものもあります。
※1つ目の旋律の(うん)休符は実際には表記されておりませんが理解を助けるためにカッコ付きで表記しております。

左手25、26小節目
1つ目・・・ウン レ ー  ウン ミ ー
2つ目・・・シ    ー シ  ド  ー ド

この部分は必ず2つの旋律が重なって響く箇所があります。単旋律のようにシレシ ドミドと聞こえないようにしなければなりません。ゆっくりで重なった響きを確認しながら練習してみましょう。

29小節目は譜例にしておりませんが、こちらも2つの旋律が一緒に表記されている箇所です。今までの解説をご理解いただいた皆様でしたらどのように演奏するのが正解かお分かりですね。ゆっくり練習して行ってください。



今回の記事では初心者の方にとりまして少々厄介な演奏の仕方についてお話ししました。「このような演奏ができなくてもいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、この演奏の仕方は以前お話ししたポリフォニーに繋がる重要な演奏の仕方です。曲の伴奏の一部分だけ、あるいはメロディーの一部分だけの狭い範囲でポリフォニーに似た部分を練習することで曲全体がポリフォニーであるものへの予習になります。ポリフォニーと題していない曲の中にもポリフォニックな部分が存在する曲は数多く、その部分が弾けない、理解できないことでそんな曲がレパートリーから除外されるのは勿体無いことこの上ないものです。ピアノ学習を始められてから間がない方、初心者の方からでも少しずつこのような演奏の仕方に順応して行って欲しいと思います。



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