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ぶつかり男が奪ったものは

しょうもないのは分かっている、何かされたわけじゃない。
なのにずっと忘れられない出来事って、何なんだろうな。

早くどうにか昇華させたいのに、定期的に思い出して、何故かいつまでもまとわりついてくるので、書いてみようと思う。

出来事自体はたいしたことじゃないけど、胸糞悪い話なので先にお断りしておきますね。(にもかかわらず、とても綺麗な画像をお借りしてしまいました。少しその場所に雰囲気が似ていたので…)



3年前の7月、
平日の昼間、某ターミナル駅のガラガラの広場をひとりで歩いていた。
自分の目の前には20代くらいの女の子と、もっと先にも人が歩いていたけれど、それ以外ほとんど人の姿はなかった。

そこへ、右斜め前から歩いてくる一人の男。
かなり間隔があって、まっすぐいけば絶対にぶつからない。

それなのに、前にいた女の子と私の間を割るように、わざわざ思いきり方向転換してきて、奴は私達にぶつかっていった。ドンッ!じゃなくて、強めになぞるような感じ。

え?何今の。
・・・なんで?

あまりの不自然さにぼーっとしつつ、「今のわざとですよね…?」って、前の女の子に聞きたいくらいだった。
そいつに怒鳴りつけたい気持ちだったけど、できない。代わりに涙が出てきて、端に移動して、5分くらい動けなかった。悔しかった。

ぶつかった腕とカバンを、ゴシゴシ拭いた。

なんでこんなことされるの?

それ以来、私はその駅に行くことはなくなった。


その日の午後、私は精神科の診察で、でもなぜか先生には何も言えずぼーっとしていた。病院を出たら、また涙があふれてきた。

まあ、今よりずっといろんなことに過敏で、不安定な時期だった。
薬局の受付の方は何も言わずに処方箋を受け取ってくれて、いつも優しい薬剤師さんがすぐそばにきてくれた。

悪意の塊を感じて、こんな世界なら、もう自分がいなくなりたい。
当時の私の思考のクセだった。

『シキちゃんだけじゃない。みんなそういうの見たら、あの人あんなことしてって思ってるよ。そんな自分がいなくなればいいなんて、思わなくていい。』

やさしいお母さんみたいな雰囲気の先生で、とても気が楽になった。

わかってる、別にこの駅じゃなくたって同じことは起こりうるし、そんな一回のことでって。
それまでも人とぶつかったことなんて何度もあるけど、狭くて人が多い場所ばかりだった。新宿のぶつかり男の動画を見るまで、それがわざとかなんて考えたこともなかったし、こっちも避けてんだからちょっとはお前も避けろよと思うくらいで、呆然とするほどのことはない。
ただあんなに人が少ない場所で、あからさまなのは初めてで、自分でも理解できないくらいにショックをうけた。

絶対にもうここを一人で歩きたくないと思った、ほとんどのものをここで調達するほど生活の一部だったのに。
それ以来、私の買い物は、夫が休みの日に車でイオンモールになった。


その男にとってはただの一瞬の嫌がらせで、もう記憶にもないだろう。
でも私は一週間引きずり、3年経ってもあの時の気持ちを鮮明に覚えていて、あの駅に行けないという不便な生活をいまでも続けている。


時々ぶつかり男の話がネットにあがると、産後金髪にしたらぶつかられなくなったとか色々体験談が寄せられて、イライラとモヤモヤでおかしくなりそうになる(のでもう見たくない)。産後ってめっちゃ髪抜けるんでしょ。美容院行くのも自分で染めるのも大変だし。そんな時期にそんなことしなきゃいけないなんて、どんだけぶつかられるんですか。
背が低いのもナメられるらしく、155センチの私だけどそれは知らなかった。ずっとヒールで超早歩きだったから感じたことはない、もしくは麻痺してるのかも。


男が女にだけじゃなく、関係のない他人にストレスをぶつけることって、いくらでもあるんだろう。
でも考えてほしい。自分が一瞬スカッとしても、相手はその後ずっと引きずるかもしれない。ほかの人にもやられているかもしれなくて、積もり積もって生きづらくなってるかもしれない。ていうか、それ最低な行為だから。

まあ、そんなこと考えられるような人なら最初からやらないのだけど。

こんなしょーもないことで落ち込んだりイライラするのって、ほんとどうにかならんのかって思うけど、それがこの世界で生きることの一部なんだろうな。
ああ、さらっと受け流せるようになりたい。

まとまりがなくてすみません。おわり。


#もやもや #ストレス #ぶつかり男