今後の「とべばん」に期待するいくつかの些細なアップデート

11/25に配信された「とべばん」を観ました。

旧ジャニーズ事務所を辞め新組織「TOBE」でスタートを切ったタレント/アーティストたちが、これまでメインのフィールドとしていたテレビではなくYouTubeで初っ端から大きなスポンサーをつけての特番。
それらが意味するもの=芸能業界と放送業界の夜明け。
この配信番組の影響力や意義については、最近公開されたYahooエキスパート・徳力基彦さんの記事をお読みになるとわかりやすいと思います。


ここでは「とべばん」を観た一視聴者として、期待するからこそもっと良くできるのでは?と思うポイントを3つほど書きたいと思います。

その1
必然性のある「仲良し感」を
平野紫耀に憧れるIMP. 佐藤新 という座組みはもうお馴染みになってきました。これが「とべばん」では一層エスカレートしているように個人的には見えました。
所属タレント間の仲の良さ、一体感を見せることで早々にファンダムの成熟を目指したいのだろうと推察しますが、やや急なというか、過剰な「仲良さサービス」とそれを組織全体で合意形成してくるような「見せ方」にはそれぞれのファンから賛否もあるのでは?と感じます。一方で、前事務所や地上波では割愛されていたような伸び伸びとした表現も、今だから見られるという声もあるのかもしれませんが、良い意味でも悪い意味でも「素人感」の方に転ぶ恐れがあるのではないでしょうか。番組としての成功=ファンの拡大を目指すなら、プロの演出の目がしっかり入った方が良くなる部分だと感じます。

その2
バラエティ番組として高いクオリティを担保する
番組はスタジオからの生配信とロケVTRとを行ったり来たりするシンプルなものでしたが、どうにも、ロケ先で起きている内容をスタジオで受ける必然性が薄いなあという印象でした。(ただこれについては後述するスポンサー問題が関係してくるので、単純にこういう構成ありきだったのかもしれませんが。)
特に、元King & Princeの三人が出演していた「King & Princeる。」のクリエイティブは、アイドルバラエティのカテゴリでも抜きん出たクオリティで、タレントの良さを引き出すことに長けているほか、編集力には目を見張るものがありました。結果同番組はファンのみならず注目する人気番組だったと思います。
これについては日テレという放送局でなおかつ当時のジャニーズ事務所所属タレントでもトップ層であるキンプリがレギュラー出演する番組だったわけですから、注力番組であったことは言うまでもなく、制作が良いのは当たり前かもしれません。
仮に、今のTOBEにとってそういった番組の作り込みは優先度が高くないファクターだっとしても、視聴者の中にはちょっと前まで「King & Princeる。」を見ていた人が流れてきていることを留意して、ぜひ負けないくらいのクオリティ担保を目指してもらいたいなと、期待します。

その3
企業タイアップの「見せ方」はセンスの見せ所
今回の配信で最も注目を集めたのはスシローとKOSEといったナショナル企業とのタイアップかと思います。
この早急なタイアップ獲得については、TOBEの実力や期待値からくる、社会的信頼度の高さを簡単に推し量ることができます。協力者が非常に多い(大きい)ということも言えます。
ただ、タイアップというのは知っての通り見せ方次第で人を興醒めさせるリスクがあります。最近で目立つ事例といえば、NewJeansの一連の企業コラボですが、彼女らのように単純なタイアップの域を超えた作品の懐で握りあうようなコラボですら、”iPhone出しすぎ”などと批判の声を集めることもあります。
今回の「とべばん」ではどうだったかというと、タイアップのアウトプットは完全な「PRコーナー」の見せ方だったため、視聴者としては明らかにそれまでの視聴テンションを区切らざるを得ないところが、もったいなかったのではと思います。
ただ、「PRコーナー」というのは、条件のある枠組みの中で、商品の良さを伝えながらも演者の良さや個性のアピールを行う、ギリギリの鬩ぎ合いが見どころだとも思っているので、それ自体を批判する気は全くありません。

ただ、昨今はYouTuber、インフルエンサーという個人で企業からのタイアップオファーを受けて広告を展開する人も増えており、YouTubeの世界では日々多くのタイアップ動画が投稿されていて、飽和状態にうんざりしている反面、見せ方も日々進化しているカテゴリだと思います。
そういう意味で、新しいし期待値だらけのTOBEには、タイアップ映像の見せ方にもセンスであったり、工夫を見たかったなというのが正直な印象です。

具体的に、スシローのオリジナルメニュー考案については、ベタですがシンプル強い、と言えるものだと思うので文句の付けようがないですが、例えばスタジオにレーンを組んで途中で試食するとかしても面白かっただろうなあと。今後、IMP.MVの中でプレイスメントするとか、もっと深いコラボも期待したいですね。
KOSEについては、既存の商品を紹介したり企業コンセプトを何回も読んだり…というのはあまりにベッタリとしすぎなので、三宅健プロデュースのスキンケアアイテムを小ロットで限定発売とか、そんな時間をかけられないなら限定パッケージを製造する、みたいなプロダクト寄りのことをやって欲しかったなあと思います。商品が陳列している本店を訪問するよりも、工場に潜入する方が…とか、もしくはもっと体を張るのであれば、KOSEのメイクアップアイテムを使ってフルメイクをするとか…きっと番組を見た人はあれこれとイメージしたのではないかと思います。
企業タイアップは今後の「とべばん」にとってもキーになりそうですし、業界の行方(?)とも連動してくると思うので、今後も要注目ですね。


以上、実際の配信を見て感じた「とべばん」について思うことを書きましたが、
上記のポイントは全て、TOBEの資金力や信頼度、協力者の多さを鑑みれば改善は造作もないことだと思うので、ぜひ次のハワイ特番では大幅なリニューアルを期待したいです。
次回の「とべばん」はTOBEメンバーがハワイに行った内容ということで、今回の映像よりはバラエティとして作り込まれている可能性は高いですが…

12月24日クリスマスイブの配信ということで、世界中のYouTuberが裏被りを恐れてスケジュールをずらす状況が考えられます。

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