オトゥン

外資系/ドメスティック系/プロダクション系のレコード会社で仕事をした目線から音楽につい…

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外資系/ドメスティック系/プロダクション系のレコード会社で仕事をした目線から音楽について気ままに思ったことを書きます。ジャンルはクラシックから最新ポップスまで。ピアノなどの音楽教育についても持論を展開します。現在はフリーでA&Rとライティングをぼちぼちと。

最近の記事

日本でも注目集まる「Tiny Desk Concerts」の楽しみ方

 10日ほど前、「Tiny Desk Concerts」の日本版に藤井風が出演したというニュースを目にした。 実際にNHKで放送がなされたのはその数日前ということだったが、3月20日にYouTube公開された【tiny desk concerts JAPAN】藤井 風「満ちてゆく」〜は、すぐさま急上昇動画トップ10前後にランクイン。これをきっかけに「Tiny Desk Concerts」そのものを知ったという人も多いのではないかと推察する。 ただし日本版のYouTubeで

    • 早いければ早いほどいい、とは限らない、ピアノなど音楽の習い事

      子供にピアノを教えています。 最初にピアノの前に座らせたのは確か2歳頃。その後飛んで3歳。さらに飛んで4歳頃。 都度都度、教えようと試みた跡が分かりますが、結論から言うとその間は端にも棒にも引っかからず、現在の6歳を目前にした段階に来て、ようやくピアノの前に一定時間座り、指示を受け入れ五指をバラバラに動かし、リズムを気にし、右手と左手を合わせ(ようとす)ることができてきました。 (※筆者はあくまで個人でピアノを教えている立場の者なので、その点をご了承いただける方のみ以下をお

      • 『理想の中年』という雑誌の編集スタッフが、全員20代だったら?

        • 『さよならマエストロ』が面白い!”のだめ超え”を予感させる、特大クラシックエンタメ作品に期待

          先週末、日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』第二話目が放送されました。 前評判も上々で、一話目放送後から反響が大きかった本ドラマ。 キャストが豪華であったり、東京音大監修で本格的であったり、とにかくキャストが豪華であったり…と、予告の時点ですでに注目作。ホームドラマとしてのテクスチャも良好で、なんとなくヒットしそうな雰囲気に包まれていました。 第二話まで見進めたところで、このドラマに注目する理由は、まず三つ。 ・主演の西島秀俊×芦田愛菜のキャスティング

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          巷に溢れる美容情報から「自分だけの基準」を導くには

          今や、一億総美容インフルエンサーの時代。 お悩み解消テクニック、使用感レビュー、成分分析…と、日々SNSまわりでは美容情報が溢れている。筆者を含め、従来そこまで美容全般に興味がなかった生活者も大いに巻き込まれてるのではないでしょうか。 大昔…2000年代くらいまでは、美容情報って普通の記事もタイアップ広告もほぼほぼ雑誌に詰まっていたと記憶しています。特に女性誌の巻末には本誌と同じ厚みで広告が掲載されてるなんて割と普通でした。 今は出版社もハイブリッドになり、雑誌名を冠したY

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          『ナイゼリヤ』を求めて〜Familyで行く ナイスなサイゼリヤ探報〜

          世の中に美味しいお店は数あれど、ファミリーの求める要素を、異常にバランスよく満たしてくれるレストランがサイゼリヤの他にあるだろうか? 本稿は、そんな「サイゼリヤー」(サイゼリヤを偏愛するユーザー)が訪れた「ナイゼリヤ」(ナイスなサイゼリヤ)を不定期に紹介していく徒然なる手記である。 ・サイゼリヤ 日暮里東口店は絶景の◯◯ビューだった 12月某日。土曜の午前に 千駄木にて子供の習い事を終えて、母1名子供2名のパーティで臨む。 西日暮里の駅ほぼ真隣という好立地ではあるが、一

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          令和のポップシーンにもっと変態性ある音楽を!SSWアツキタケトモの魅力に迫っていたら「Habit」を思い出した件

          以下は、シンガーソングライター・アツキタケトモはもっと売れていいんじゃないか?という個人的な思いから書いた単純なガチレビューです。 アツキタケトモの初めて聴いた時の印象は、詩の世界観に昭和歌謡の影響を濃く受けつつ、打ち出しつつ、令和アーティストならではのライブラリーを生かしたサウンド、を両輪稼働させている佇まいだった。 こう手法だけ書くと、令和ポップスを一望する限りそこまで珍しいタイプではないと思われそうだが、肝心なのはその両輪稼働のハイクオリティさにあり、かなり変態的な仕

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          ピアニスト近代史(1)ピアノは俗世のものにあらず 意識高い習い事の時代 (~1990年代)

          イントロはこちら→https://note.com/otoon1142/n/n28730c720239 言うまでもなく、現在もピアノはもっともポピュラーな習い事の一つです。最近はリトミック人気もあり、「音楽教室」の方が主語になることも多いですが、子供に習わせたい楽器の第一選択肢としてなかなかその座を降りることのないピアノ。 90年代であっても2020年代であっても、「ピアノという習い事の需要」はあまり変化していないと思います。 ただ、ピアノの習い方や姿勢は確実に変化をしてい

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          今後の「とべばん」に期待するいくつかの些細なアップデート

          11/25に配信された「とべばん」を観ました。 旧ジャニーズ事務所を辞め新組織「TOBE」でスタートを切ったタレント/アーティストたちが、これまでメインのフィールドとしていたテレビではなくYouTubeで初っ端から大きなスポンサーをつけての特番。 それらが意味するもの=芸能業界と放送業界の夜明け。 この配信番組の影響力や意義については、最近公開されたYahooエキスパート・徳力基彦さんの記事をお読みになるとわかりやすいと思います。 ここでは「とべばん」を観た一視聴者として

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          AdoのFNS歌謡祭シルエット歌唱を観て思い馳せる、期待以上の期待への期待

          先ほどオンエアされた「2023 FNS歌謡祭」でAdoのシルエット歌唱をリアタイしました。 ちなみにこれについては先日配信されていたYahooでの徳力さんの記事(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/1cacfc581ef5f379676001f2541355d154c4f798) に影響を受けたから、というのが理由として大きく。 記事内で言及されていた”「口パク」と「顔出しなし」はどちらがリアルか"というテーマがこれまでの自分の価

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          藤井風「花」MVを観て思う、曲に第二の命を与えるアーティストと監督のリレーション

          藤井風「花」については、コメントすることはないだろうと思っていました。 初めて聴いたのは確かドラマの放送開始タイミングでの、YouTubeトラック公開だったと思います。なんとなく、ドラマ合わせでざっくり作ったような、フワッとした楽曲だなあという印象でした。単純に自分の理解度が足りないせいかもしれませんが、「ファン以外にはスルーされそうな楽曲」という風に感じたのが、正直なところです。 そんな諸印象が180度書き換えられたのは、数日前、YouTubeでミュージックビデオを観た瞬間

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          落ちこぼれ音大卒が書く、独断と偏見のピアニスト近代史〜エピローグ〜

          『ピアニスト』についてのシリーズ記事をスタートします。 ここ数年、ピアニスト人気は毎年上昇傾向。角野隼斗さんのような新たなスターが現れ、YouTubeからは個性的なラインナップが続々と…… かつてのようにクラシック/ピアノジャンル、と分類して語るのでは物足りない、一つの注目エンターテインメントとして受け入れられていると感じています。 このムーブメントの原動力はどこにあるのだろうか? そこで、 エンターテインメントシーンにおけるピアニスト近代史 を紐解いていきたいと思います。

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          AIはaikoを超えられるのか?

          先日、NHK-FMでaikoの歌手活動25周年を記念して「今日は一日“aiko”三昧」という特番を放送していた。 その番組でOAされた数々のヒット曲を振り返りながら、aikoにずっと感じていた一つの印象が明確になった。 番組によると、aikoの歌唱には、aikoリズム、 aikoブレスと称されるほど独自性があるということで、非常に同感だなと思うと同時に、個人的には「aikoピッチ」が一番気になっていたことを思い出した。aikoの楽曲はサビで「行き切らない」印象があるのは何故

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          Vaundy「トドメの一撃 feat. Cory Wong」は、今まで以上の「格・上・感」

          個人的にVaundyの楽曲について書くことは初めてなのですが、今回の新曲「トドメの一撃 feat. Cory Wong」は、今まで以上に「格上感」を感じる作品でした。 まず音の感想としては、山下達郎さんオマージュかと。 これは世代による理解の仕方かもしれませんが、曲も歌も、達郎さんをリファレンスにしてます、と清々しいまでに主張しているのかなと。 トラックだけでなく歌い方まで達郎さんにガッツリ寄せているところは、それができちゃう歌唱力に賞賛を送りたい。 達郎さんのシティポップ

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          BTS ジョングクが予感させる「グループ発ソロアーティスト」の更新

          今回は恐る恐るJUNG KOOKについて思うことを書きます。 最初にお伝えしたいのが、自分はBTSのファンだったこともなければ、ここ最近のK-pop全体像に詳しい人間でもありませんが、あるタイミングから、音楽の仕事をする以上JUNG KOOK、そしてNewJeansの2組はマストでウォッチしなければいけないという義務感に勝手に駆られ、以降は聴き始めたらウッカリ夢中になっていた…といういわゆる、よくいるタイプの音楽リスナーです。 JUNG KOOKにいく前に少しNewJean

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          「TATTOO」「日常」を聴いて思う、アップデートされ続けるヒゲダンの音楽

          Official髭男dismは、もう大きくなるところまで成りきってて、J-POPの世界で上り詰めあげている。 そう言われ始めて数年が経つが、そのベストスコアをちょくちょく更新してくるのが信じられない… と思っている5000人くらいの中の一人です。 最近のヒゲダン曲で特によく聴いているのが、「TATTOO」と「日常」。 「TATTOO」は、AORやR&Bに振ったサウンドが印象的で、トラック重視派としては非常に耳が嬉しかったし、藤原さんのヴォーカルワークにも、楽器の一部に寄せた

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