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正採用教員を退職すると決めてから退職日までの流れ

決めるのは秋。人事調書の季節。


10年ほど前に正採用教員を退職しました。理由は後述。なかなかない体験だと思うので、「退職を自分の中で決めてから実際に職場を離れる日までの流れ」を書いておきます。誰かの参考になれば。

子ども達に迷惑がかからないよう、年度末まで勤めての退職にしました。担任している子ども達や保護者の方々との関係は良好だったので、そこに損害は与えたくなかったので。


9月 退職の意思決定

9月。人事調書の季節。妻から「もう田舎には住みたくない、都会に行きたい。自分と子ども(1歳)だけでも行く」と言われ、悩みに悩んだ末に自分も退職して東京移住することを決めました。判断の決定打となった事柄は2つ。子どもには親が必要だと思ったこと、管理職との関係性が最悪だったことです。

決断までにはそりゃ悩みました。何度も何度も採用試験を受けて、30歳の大台手前でやっと掴んだ正採用でしたから。それを初任校数年で捨てるのは簡単にできる決断ではありません。そんな意思決定でした。

10月 退職願の提出

人事調書の締切が近づいた10月半ば、退職願を書いて校長に提出しました。

「人事に関する相談があります」と校長に持ちかけ、校長室へ通されて一対一の状況で退職願を渡しました。

一身上の都合により退職します。

詳しい文面は忘れてしまいましたが、おそらくこんな内容でした。書き方をネットで検索してサッと書いた簡単な内容だったのは覚えています。

校長は「すぐには受け取れない。一旦預からせてください」と言いました。そこまでで自分は退室。退職願は校長の机にしまわれました。

10月 教頭慰留と三者での慰留

退職願を出した翌日、教頭に呼ばれて会議室で面談。退職を決めた理由を聞かれました。妻の件を最初に伝え、次に職場が嫌だとも伝えました。生徒指導部長やりながら高学年担任やりながら特別支援コーディネーターをやってその一つ一つに管理職から文句と横槍が入り、更にはその指導に従って修正をしていたら今度は全く逆のことを指導される。AをBに直したらそのBをAに直せと言われる。わけがわからない。この生活が続くことに絶望しか見えない。そんな感じで伝えました。

教頭からは、「失礼な話だけど、そんなに考えているとは思わなかった。あなたは何も考えていない人なのかと思ってた。」と。本当に失礼極まりなくて、自分の決断は正しいと改めて実感しました。

職場が嫌なのなら、年度末で無理やり他の学校に異動して教員を続けることができるよと教頭が提案してきましたが、それでは妻の件は解決しません。

心は変わりませんと伝え、面談は終わりました。

そのまた翌日、校長と教頭と三者で面談がありました。そこでも改めて心は変わらないと伝えました。

校長から、「わかりました。退職願を受理します」という言葉がありました。

続けて校長からは、「もし初任者として他の学校に赴任していたら教員を続けられたと思いますか?」と聞かれました。「続けられたと思います。臨時教員として大小様々な学校で問題なく任期を全うしてきました。」と答えました。

残りの期間を学校のために最後まで働いてくださいと言われ、子どものために働きますと返答。ここまでで面談は終わりました。全てが終わった瞬間ともいえます。

どっと疲れて、人通りの少ない階段へ行って座り込み、しばらく立てなくなったことを覚えています。

11月 教育長面談

退職願が受理され、人事調書の締切も過ぎた11月。調書の内容に従って、異動希望者に対する教育長面談が始まりました。自分も該当者でした。

教育長からは、「非常に痛手だ。まだ結論を変えられるが、ここに残るわけにはいきませんか?」と言われました。心は変わりませんと答えました。

その後、理由を聞かれて答えたりしましたが、あまり覚えていません。この頃には気持ちが慢性的に疲れていたので、早く終わってほしいとだけ考えていたと思います。

2月 退職関係の書類を書く

確か2月だったと思います。退職に関わる書類を書きました。主に退職金関係です。臨時採用をやる時は毎年書いていたものですが、正採用では書かないものです。定年退職する先生が「こんなものがあるのか〜」と書くものです。思っていたよりもずっと早く、これを書く日が来ました。

3月 退職辞令交付式

卒業式が終わり、修了式も終わり、子ども達とお別れをし、PTA送別会で何度も退職理由を聞かれ、職場送別会を無気力に終えて、友人教員たちが開いてくれた私的な送別会で泣くだけ泣いて、3月の最終出勤日に退職辞令交付式がありました。

式の会場は役場の一室。町内の数名の退職者とその学校の校長が出席しました。定年退職者と、自分ともう一人の若年退職者が辞令を受け取りました。その若年退職者は時々一緒に飲んでいた教員仲間で、お互いどうにか生きていこうねと話しました。

自分の教員人生はここで一度終わりました。

雑感

年度末の退職を考えるのであれば、9月〜10月の人事調書の時期に動くのがスマートかと思います。色々と慰留はありますが、そこはあまり気にしなくて良いと思います。

退職について、流れをさらっと書くつもりが、心情がだいぶ混ざってしまいました。自分の中で、今でも消化しきれていない部分が多いのだと思います。

果たしてこの文章に価値があるのかどうか何とも言えませんが、とりあえず自分の心の供養か何かだと思ってWebの海に放り込んでおこうと思います。

では。

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