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本多静六「私の財産告白」を読んで

伝説の投資家、本多静六氏の本を読みました。殊の外面白かったので本書のポイントをまとめました。

著書:私の財産告白
著者:本多静六

本の内容

財産の増やし方、その実現方法を本多先生のご経験から記載されています。
特に実現方法の仕組化は見ごたえがあります!

特に、財産の構築方法だけでなく資産の処分方法(使い方)まで解説している点が本書の特徴です。本多先生の投資を行ううえでの必要な知識や心構えは既に完成されたものになっています。
(さすがに投資対象とする分野は時代背景を感じました。鉄道がしかれる前に山林を購入した、、など)

FINTECHをはじめとするテクノロジー流行などには本多先生の理論をうまく適用させていけば良さそうです。

こんな方にオススメ

 1. 具体的な財産貯蓄法を学べる(流行り廃りのない原理原則)
 2. 明治期に活躍した富豪の稼ぎ方に興味がある
 3.資産家としての心構えを学びたい

よく働き、節約する

※※以下は引用が多くネタバレ含みます。ご注意ください※※

本多先生は東京大学教授で教鞭をとりながら、巨万の富を築き上げました。本業の大学の講義だけでなく、アルバイトと称して論文の執筆も継続的に行っていました。(いまでいう副業ですね。)
本多先生の思想は至ってシンプルです。よく働き、よく節約。
勤倹貯蓄という言葉で表しています。

財産を作ることの根幹はやはり勤倹貯蓄だ。これなしにはどんなに小さくとも、財産と名のつくほどのものはこしらえられない。

不必要なものは買わない。我々も、高い対価のサービスを選択しないなど対策をとることの大切さが教訓に出来ます。

給与の1/4を貯金に回す

本多先生は単に倹約に徹するだけでなく貯金法まで以下のように述べています。

「本多式四分の一貯金法」は決して本多の発明ではない。すでに二千五百年も昔にお釈迦様がお経の中でもといておいでだ。江戸時代でも松平楽翁や二宮尊徳翁、そのた幾多の先輩が推奨してきた貯金法(分度法)と一致している。(中略)貯金の問題は、要するに、方法の如何でなく、実行の如何である。

給与の1/4を天引きで貯蓄に回していることを告白しています。
「天引き」がミソです。初めから給与の3/4で節約して生活せよということです。まさかあのお釈迦様がお経で説いていたとは驚きましたね、、

たまった資金で投資をする

財産を殖やすには貯蓄を経て一定の額まで達したら投資をすることが必要です。種銭を元に投資に回してより高いリターンを得る、種銭よりも大きな利益を得る、という考え方ですね。
銀行の普通預金に預金してもジュースも買えない利息のため、種銭で投資を検討する方がこれからの時代には良さそうです。

その貯金がある程度の額に達したら、他の有利な事業に投資するのがよい。貯金を貯金のままにしておいては知れたものである。

ネットが普及した社会は、投資をするにも簡単になりました。
証券会社の口座開設はインターネット経由で可能です。
証券の営業マンとの面談も不要です。
保有資産が10万円だってOKです。投資に参加できます。
誰でも簡単に投資信託やETF(Exchange Traded Fund)と呼ばれる上場投資信託、さらに個別銘柄投資への株式投資への参加が可能になりました。
一定の金額まで貯蓄が出来たら、投資の世界に身を投じて資産を殖やすことを始めてもよいかも知れません。

この辺の解説はまたどこかでしたいな、、と思いつつ、、

最も難しい財産の処分法

築いた財産をどう使っていくかが我々の最大の関心ことです。
車を買って、家を買って、海外旅行にも行きたいし、、、なんて考えてしまいますよね。

しかし本多先生によると、財産そのものに価値を見出してはいないようです。
庶民の感覚では理解しかねますね(笑)

幸福は各自、自分自身の努力と修養によってかち得られ、感じられる物で、ただ教育とか財産さえ分けてやればそれで達成できる物ではない。健康も大切、教育も大切、しかし、世間でその中でも最も大切だと早合点している財産だけは全く不要で、蘇れよりももっともっと大切なのは、一生絶えざる、精神向上の気魄、努力奮闘の精神であって、これをその生活習慣の中に十分染み込ませること

現に著者自身は財産を家族に対してほとんど残さずに、事業へ寄付してしまったそうです。私が家族ならたまった物ではありませんが、財産さえ掴むことができれば幸せとさえ感じる我々に対して著者は幸せについて以下に述べています。

幸せとは、現在ある地位の高下によるのでなく、動きつつある方向の如何にあるのである。

物質量の多い少ないでなく、気持ちが上向いていることこそが幸せだと本多先生は説いているように感じました。現に先生は70歳を過ぎてから悠々自適な日々を送る人生計画を立てていたようですが、仕事そのものが「道楽」となってしまったようです。そうしないと気持ちが向上しなかったのでしょう。

資産を築くことに一生懸命になる私たちも、なんのために、どうやって、お金を稼いてそれをどのように社会に還元していきたいかを考える必要があるかも知れません。

渋沢栄一も同様に、何か人生にミッションがある人たちってお金は稼いでいても執着しているイメージがありませんよね。

お金に興味のある人にはオススメの本です。


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