ミニマリストを知ってるか?

「ミニマリストって知ってるか?」


久しぶりにあった古くからの友人は、変わり果てた姿で登場した。

自由奔放だった髪の毛先はどこへやら、坊さん顔負けの短髪姿。

黒いTシャツとジーンズにサンダルというラフな姿は、欧米のテクノロジー業界人のようなファッションなのだが、いざ顔へ目をやればのっぺりとした薄顔が待ち構えている。

低身長で華奢な体格でもあるTHE東洋人と言ったその風貌に、シンプルなファッションという奇跡の組み合わせには、財布がどうこうといったことではなく、なんというか、どことなくではあるのだが、貧困さがにじみ出ている。


「日本語でいうと最小限主義みたいな意味なんだけどさ。例えばこの服ね。おれ、この一種類の服を何着かしか持ってなくて、毎日ローテーションで着回してるのよ。」

「それの何がいいの?」

「まず服を選ぶ時間がなくなる。時短だよ時短。」

「なるほどね。そんなに忙しいんだ?」

「いや、むしろ暇だよね。モノが少なすぎて、時短過ぎて、ヒマ。」

「じゃあ、それって何がいいの?」

「モノにまつわるストレスから解放されるのさ。流行に振り回されずに済む。」

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