効率的なミカンの分け方
給食の時間。配膳台の前で二人の生徒がもめている。
「どうしたの?」
彼らの後ろに隠れて、銀色の配膳容器の中に一つだけ、ミカンが取り残されていた。
「こいつの言うミカンの分け方が気に食わねえんだよ。俺はじゃんけんがいいって言ってるのに。」
「じゃんけんだと食べられない人が出るじゃん。みんな、食べられないのは嫌だろ?だから一粒ずつ分けようって言ってるんだけど、こいつが聞かないんだよ。」
「なんだ、そんなことか。」
「そんなことじゃない。このミカンをいかに無駄なく効率的に分けられるか、考えてるんだ。それなのにこいつはさ、」
「なんだ、この野郎。ミカンは一つでミカンなんだよ。一粒食べて満足しまあした、なんて聞いたことねえ。一つのミカンを無駄にするようなもんだ。」
後からきた一人が、銀箱の中にもう一つミカンを置いた。
「おれ、ミカン好きじゃないから。一つはじゃんけんで決めて、一つは分けてよ。」
「分かってねえな。そういうことじゃねーんだよ。一つだろうと二つだろうと、どっちのやり方に無駄がないのかを決めなきゃいけねえの。」
「時間の無駄だよ。」
参考文献:
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