効率的なケーキの切り分け方

とてつもなく大きなケーキが1ホール、28種の動物たちに囲まれている。

28個に切り分けられたケーキは、大きさがバラバラだ。いちごが乗っているものもあればそうでないのもある。チョコレートの板に、細くて白い文字が書かれた飾りが乗っているものもある。一つだったケーキは切り分けられた途端、それぞれ異なるものになってしまった。


「さて、じゃあ誰がどれを食べる?」

「じゃんけんで勝った奴から取ってくってのはどうだ。」

ライオンが言う。

「手足の形が違いすぎる。」

キリンが言う。


「確かに。どれがどれに勝つのか、決めるところから始めなきゃいけない。」

「こりゃあ時間かかるぜ。別の方法はないのか?」

「みんなで一斉に選ぶってのはどうだ。」

「おおざっぱだなあ。そんな雑なやり方があるか。うまくいくとは思わない。」

「いや、あながち悪くないかもしれない。自分たちで考えて選ぶんだから、文句のつけようがない。」

キツネが一旦、その場を取り仕切る。


「じゃあ、せーの、で指差しだ。いいかい?」

「指ってのがないんだが、どうすればいい?」

ニワトリだ。

「蹄でいいよ、蹄で。指がないやつは方向がわかるように手足を差し出せ。いいな?…せーのっ!」


思い思いに差し出された手足は、大きくて、いちごが乗っていて、チョコレートの飾りが乗ったケーキにより多く集中した。

「なんだよ。やっぱりこうなるじゃねえか。」

「おい、キツネ。お前は何してんだ?空なんか指差して。」

タヌキが気付く。

「おいらは残りをいただく。誰にも選ばれなかったんだから、文句ないだろ?」

「てめえ!最初からそのつもりでいやがったな!化かされた!」


動物たちは数日の間、いざこざしていた。

そのうち1種の動物がケーキを食べ始めてしまった。

「おい、お前。まだどれが誰のものか決まってないぞ!」

しかし、トラが指差したケーキは28個のままだ。

「ん?そのケーキ、どうしたんだ?」


「作り方を教えてもらったんだよ。」

人間は言った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?