いまさら、新年のご挨拶と抱負を言いたい。
あけましておめでとうございます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
僕は五体満足です。
年が明けて、もうすぐ一ヶ月が経とうとしていた。
この一月は本当にいろいろなことがあった。
本を図書館に寄贈したり、愛用のL字デスクをバラバラに分解したり。
サブスクが解禁された関ジャニ∞を聴きまくったり。
焼き小籠包で口の中を火傷したり。
彼女を台車に載せて、街を駆け抜けたこともあった。
しかしなんといっても、一番印象に残っているのはあの地震だった。
地震は、僕の祖父母の家のあまりにも近いところで起きていた。
たくさんのスマホが緊急地震速報を鳴らしたあの日、僕は埼玉のマクドナルドでひとり、村上春樹の『ノルウェイの森』を読んでいた。
家族連れで賑わうお正月の店内で、一斉に鳴り始める甲高いあの音。
それは映画のワンシーンのように異様な場面だった。
すぐさま弟に連絡をした。
僕の祖父母は弟と一緒に過ごすため、金沢まで出てきていた。
両親も事情があって、母方の実家である沖縄にいた。
なので幸い僕の家族はみんな無事だった。
速報サイトには、震度7という見慣れない数値が記載されていた。
そしてページを更新するたびに、新しい揺れの情報が増え続けていった。
『弟がついてるから、じいちゃんばあちゃんは大丈夫や』
そう自分に言い聞かせても、不安定な精神状態が一週間ほど続いた。
離れた場所にいる僕にできることといえば、募金をすることくらいだった。
そして引っ越し作業を進め、予定していた通り二月に実家にもどり、めちゃくちゃになっているであろう祖父母の家の片付けを手伝うことくらいだった。
だから僕はPS5と4Kモニタを彼女の家に送り届けたり、使っていた電子レンジをバイト先に設置したり、彼女を載せた台車を転がしたりすることにも全力で取り組んだ。
なるべく彼女に振動が伝わらないよう、細心の注意をはらった。
凹凸の少ないルートを構築し、坂では速度が一定になるように心がけ、やってくる乗用車を威嚇した。
『パラサイト』という韓国映画で、ソン・ガンホ演じる父親が雇い主のコーヒーをこぼさないように車を運転するシーンを思い出した。
そのワーキングホリデーの準備で忙しいはずの彼女は、泊まりこみで引っ越し作業を手伝ってくれた。
そのおかげもあって、僕はなんとか8年間住みついたアパートを引き払うことができた。
すごく嬉しかった。
すごくありがたかった。
その感謝を忘れず、会えなくても彼女のことを想い続ける。
2024年は、そんな年にしたいと思った。
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