ハートランドの遙かなる日々 第30章 ただいまウーリ
国境の牛小屋はまだ健在だったが、見ないうちにすっかり荒れたようだ。木の葉で葺いた屋根は風で枝が引っ繰り返っている上、地面はぬかるんで泥に浸かったようになって、小屋も少し傾いている。
「ボロボロみたい……」
アフラがそう言うと、アルノルトが泥の中を小屋の中まで歩いて行った。
「泥が溜まって小屋の中もドロドロだ。水捌けが悪いんだ」
マリウスも小屋を一周駆け回って言った。
「ホントにドロドロー。やっぱり屋根はダメダメだね。穴だらけだ。でもぼくらがやったんだった!」
「僕もだ。