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心育ての時代

この度、心育てに特化した定期購読マガジンを発行することにしました。
(月に2回、できれば4回!アップを目指します)

心育てと聞くと子どもの発達をイメージするかもしれませんが、メインに取り上げるのは大人です。

大人のための心育て

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これまで子育て相談等で、たくさんの方とお会いしてきました。
「食べてくれない」「寝てくれない」「言うことを聞いてくれない」など、お子さんの育ちの気がかりから始まり、夫婦のこと、実家の両親との関係など、次第にご自身のことに触れ、最後は自分自身のことに向き合うという展開がよくありました。

そして「自分の生き方の癖は何だろう」「いつから身につけたんだろう」と話すうちに、幼かった頃の傷ついた子どもが、今も心の中にいて、現実の生きづらさにつながっている、ということに気づくことがありました。

でも、そんな風に自分自身を客観的に眺め、自己内省を深められる人はそう多くはありません。自分の苦しみは、あくまでも、育てにくい子どもや、自分勝手な夫にあると訴え、なかなか目線を自分の内側に向け、ましてや、小さかった頃の自分を見つけることはないのです。

「自分の中に子どもがいる?」

そうなんです。
不安で怯えている子どもだったり、傷ついた心の痛みを抱えて、いつも周囲を警戒している子どもだったり。
ところが、当の本人はそんなことに全く気づかず、自分を大人だと思っている。

『自分が傷ついた子ども時代を引きずっている?
そんなはずはない。
子ども時代には反抗期もあったし、それなりに恋愛経験だってあった。
大の大人の自分が、子ども時代の自分を抱えているだなんてとんでもない。
自分はもういい大人だ』と思っているのです。

でも、確かにいるんです。

仕事で傷ついて、家庭生活に疲れ、うまくいかないことに悩んでいる背後に、これ以上傷つくまいと、必死に心を守ろうとしている子ども。

安心できる関係が欲しいのに、距離が近づくほど、失った時の恐怖と闘う戦闘態勢を作ってしまう子ども。

人とうまく関係が築けない、すれ違ってしまう理由に、子どもの頃の心の傷が邪魔していることがあるのです。

このカラクリを解き、心の中にいる幼い自分を育ててあげることで、現実に直面している、複雑にこんがらがってしまった人間関係や生きにくさを、少しずつ解いていくことができたらと思うのです。

誰もが心の中に子どもがいる

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例えば、仕事であれば、世の中には部下や社員を怒鳴り散らし、感情をコントロールできない上司がいたりしますよね。
彼らは、最もらしく自分の正当性ばかりを主張しますが、どう見ても人を育成する温かい眼差しは皆無で、むしろ何かに取り憑かれたように、まるで復讐でもしているかのような激しい怒りをぶつけてきたりします。
どう見ても、バランスを欠いた言動の背景に、生い立ちを含めた過去から引きずり続けている、激しい怒りがあるように思えるのです。

また、街中でたまに見かける、険しい顔をして怒り続けているお母さん。
そんなことぐらいで、そこまで叱らなくてもいいのに。
怒鳴って叩くほどのことじゃない、と思う場面に遭遇することもあります。
そんな時も、お母さんの中に、生い立ちを含めた過去から引きずっている、不安で怯えている子どもや、自己不全感を感じて悲しそうにしている子どもの面影が見えることがあります。

また、攻撃的な場面だけではありません。
仕事や相手に誠実に向き合っているのに、虐げられ続けている人。
そんなにひどいことをされて(言われて)、なぜ何も言い返さないの?
もっと糾弾したっていいのに…と思うことがあります。
その場合も同じ。
その人の過去に、高圧的な親から厳しく育てられた過去があり、ただじっと絶えて生き延びてきた過去を引きずっていることもあるのです。

このように、現実の生きづらさの背景には、過去の子ども時代の心の傷がそのまま残っていて、自分を守ろうと反射的な行動に出てしまうことが思いの外多いのです。
誰も責めているわけじゃないのに、過度に警戒したり、時には、理不尽な怒りや不安が襲いかかってきて、防衛的に攻撃したり、身をすくめてしまったり。
不意に襲ってくる感情に自分でもうんざりしながら、こういう性格だから仕方がないと、諦めている場合が多いのです。

悪い連鎖は断つ!

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そして、私が「大人の心育て」を発信していきたい一番の理由は、世代連鎖を止めたいからです。
時々、お子さんを育てているママから、自分の生きづらさが子どもに悪影響を与えないだろうかと心配する声が届きます。
そのたびに、胸が痛み、切なくて悲しくなります。
幼かった自分にはどうすることも出来なかったはずで、その手当てもままならないまま懸命に生きてきたのに、まるで、被害者がそのまま加害者になる不安に怯えているのです。
だから声を大にして言いたいのです。

大丈夫!
心育てはいつからでも補強ができるんです。
怖がらないで。
そして、諦めないで。
ただ知ればいいし、ただ気づけばいいのです。
カラクリに気づくことができた分、新しい行動が生まれて、いい循環が作られていきますからね。
あなた自身も、そして、お子さんも、安心の土台がしっかりと補強されますからね。
知識は身を守るし、実践力は応用力を育てる!
だから大丈夫なのです。

子どもの心育てには、安心に満ちた母親をそばに置くことなのです。
そんな思いから「大人のための心育て」を取り上げていきたいと思います。

そのためには、誰しもが、大人の心の中に子ども時代の心がそのまま眠っていて
「大人の自分」と「子どもの時の自分」が同居していると捉えることが普通なんだと思って欲しい。
人は「大人」だけど「子ども」でもある。
という、2つの視点を持つことが当たり前になる必要があります。

例え子どもを育てる親であっても、歳をとった老人であっても、どんな人の心の中にも「子ども」が生きているのです。
その子どもが、安心に包まれれば、大人として生きている現実でも、安心を引き出すことが上手になります。

定期購読マガジンでは、大人のための心ケアに必要な知識や、具体的な心ケアの方法を丁寧にお伝えしていければと思います。
興味のある方は、ぜひご購読いただけたら嬉しいです。
頑張って書き続けたいと思います。

鶯千恭子(おうち きょうこ)




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