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台湾 モバイル決済が普及、「デジタル募金」がトレンドに

行政院は2017年に「2025年までに国内のモバイル決済普及率を90%に」という目標を掲げたが、2020年時点の普及率は半分を超えていなかったため、台湾がキャッシュレス社会を実現するには10年以上かかると考える人も多い。
産業情報研究所(※政府系シンクタンク)の調査では、モバイル決済の普及が進まなかった主な要因の一つはクレジットカードの利便性が高かったことにある。しかし、コロナウイルスの流行によって、モバイル決済の利用意欲が高まり、2021年にはモバイル決済の利用率が初めて70%を超え、ここ3年間の成長率は高く、2025年には目標の90%に達することも期待されている。

LINE Payがコロナ禍の最大の勝者に

台湾人のモバイル決済の利用習慣の調査を見てみよう。《卡優ニュースネットワーク(卡優新聞網)》が実施した「コロナ禍の決済方法に関する調査」というオンラインアンケートによると、「コロナ禍で最も利用した支払い方法」に対する回答で、「モバイル決済」が42.4%で最も多く、次いで「クレジットカード」が25.0%、「現金」が20.3%と続く。
また、モバイル決済に切り替えた理由のトップ3 は、「利便性」、「接触の回避」、「お得なキャンペーン」であり、コロナ禍においてモバイル決済が多くの役割を果たしていることを示している。
また、オンラインレシート(雲端發票、※台湾ではレシートが宝くじになっており、2ヶ月に1度当選レシートの発表がある)と組み合わせることで、利便性に加えて、紙の消費量を減らし、環境にも良い影響がある。
台湾人が利用しているモバイル決済の中で「LINE Pay」が最も多い。連携サービスが多いだけでなく、シンプルで分かりやすいUI、LINEの友達との間での送金が簡単、ポイントをそのまま割引として利用できる、LINEギフトやオンラインショッピングなどの周辺サービスとの連動などがあることで、LINE Payの使用率が最大になっている。

また、モバイル決済の普及によって公益活動(募金)の形も変わってきており、「デジタル募金」がトレンドになっている。
2022年11月、台湾公益団体自主規律同盟(台灣公益團體自律聯盟)は「2022年デジタル時代における公益の現状」に関する調査報告書を発表した。報告書によると、85%以上の人々がオンラインで寄付を行ったことがあるとのことだ。
クレジットカードによる支払いが依然として全体の80%を占めているものの、モバイル決済は30%近くにまで成長している。(※文章中に明記はないものの、利用経験を問う複数回答の設問か)
非営利団体のウェブサイトで寄付を行うだけでなく、LINE Pay自体も多く利用されているプラットフォームとなっている。
一方で、デジタル募金を悪用した犯罪も生まれている。犯罪に巻き込まれないためにも、募金をする前に募金先の団体について調べる、クレジットカードの個人情報を提供しないなどの注意が必要である。








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