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金沢のプライド

金沢は前田・加賀百万石の城下町だ。江戸時代、日本各地に城下町は数知れずあるが、三桁の石高を誇る藩は加賀藩(金沢)のみだ。
その後に島津・薩摩七十万石とと伊達・仙台六十万石が続く。

王将の阪田三吉ではないが、大阪は東京と張り合う。東京側は全くライバルとは意識していないが、大阪は意識過剰で東京に対抗する。
同じ関西でも京都は千年の都。東京はたかだか150年、比較のレベルではないと、その矜持は尋常ではない。

他方、金沢は北陸の一地方都市だ。人口は50万人に満たない。東京に対抗して突っ張ることなど恐れ多いことだ。
何せ、前田は江戸時代、徳川の軍門に下った一大名だ。外様大名の筆頭として、徳川に目をつけられないように、武器ではなく、文化に力を注いだ。お茶や能や謡等の芸事を奨励した。金沢は香り高い文化が花開く街だ。
身をわきまえ、突っ張ることをせず、争うことを嫌い、江戸時代の260年を淡々と生きてきた。しかし、決してプライドを捨て去ったわけではない。意味のないプライドは持たないという哲学と言おうか。私は、それはある意味"堂々たる人生"だと思う。

昨日聞いたのだが、金沢には全国チェーンの居酒屋はほとんどないそうな。車から見つけた全国チェーンはガストがあったが、言われてみれば、金沢で東京発の居酒屋に出会したことはない。
当然、私のような田舎っぺでも東京に住んで長い人間は、地方に出張した時は"全国チェーンの居酒屋で一杯"などと、そんな野暮なことはしない。
地元の人ならそんなことはないように思うのだが、金沢の人は金沢らしいプライドを持っているのだろう。全国チェーンに居座って酒を飲むことを潔しとしないのか。
全国チェーンの居酒屋は金沢に出店しても長続きしないらしい。"地場の名店で一杯"という飲みのスタイルが金沢のプライドなのか。さもありなん。

今まで石川県知事は多選が続いていた。私が物心ついた時の中西陽一知事は8選、続く谷本正憲知事は7選。全国でも珍しい。
日本は議院内閣制だ。そのトップは内閣総理大臣だが、首相と言っても大会社のサラリーマン社長のようなもの。
他方、知事や市町村長の地方自治体の首長はと言えば、選挙によって選ばれるから大統領のようなものだ。その権限たるや、首相の比ではない。オーナー会社のオーナー社長だ。

サラリーマン会社とオーナー会社、それぞれ一長一短ある。良いとこ取りというわけにはいかない。
やはり、いずれにしてもトップの人格だろう。その極め付けがオーナー社長だ。そして、オーナー社長には一際、素晴らしい人格が求められる。
謙虚と感謝の心があるかどうか。人の話を素直に聞く懐の深さと人間力があるかどうか。間違ったことをした場合、それを素直に認めて、修正する大器量があるかどうか。

"素直な心"と"やんちゃ"は、ニアリーイコールのところがあると思う。一般に言われる優等生では決して改革はできない。上の言うことを素直に聞くことは、素直は素直でも本当の素直ではない。
松下幸之助さんが仰る"素直"とは、自分で考え行動する、自分の心に素直になることだ。間違ったと思ったことを身の保身のために言われるままに行動に移すことを素直とは言わない。そんな時は自分の心に素直に従い、やんちゃをすることだ。

[OUEN Japan]はこれからの超過疎地のモデルをつくる。その応援をする。
素直な心でやんちゃをすることでなければ、それはできない。長いものに巻かれていては、世の中を変えることなどできはしない。

私は何のために生まれてきたのか。何をするために生まれてきたのか。それは出世するためではないだろう。お金を稼ぐことが目的だと思って生きることではないだろう。

皆んなが幸せになることが自分が幸せになることと信じて、その信じる道を真っ直ぐに生きることだ。そのために人は生きている。そのことを忘れてはいけない。本質を忘れてはいけない。小利口になって生きることをしてはいけない。堂々たる人生を生き抜くことだ。

不動院重陽博愛居士
(俗名  小林 博重)

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