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S字フックの到達点

こんにちは。
oun Lab. シミズタカユキです。

家を見渡せば必ず一つはあるであろうS字フック。
サッと引っ掛けるだけの便利な収納用品ですが、モノを取る時にフックごと一緒に落ちてしまってイラッとした経験はありませんか?

今回はそんな不満を見事に解消した、株式会社テラモトが展開する日用品ブランド「tidy」「S Hook」をご紹介します。

株式会社テラモトと言えば、ペット用品ブランド「OPPO」なども展開しているメーカーです。
その中でも「quackシリーズ」という口輪が有名ですので、ご存じの方も多いのではないでしょ うか?

1. 意匠

パッと見はS字の片側がくるっと伸びたプラスチック製のフックです。
気をてらわず非常にシンプルで、清潔感を感じる意匠です。

くるっと伸びた部分をよく見ると若干色味が異なっていて、2トーンデザインになっています。
このちょっとした色味の差によって、清潔感と同時に一般的なプラスチック製S字フックには無い高級感も感じます。

2. 機能

「S Hook」の最大の特徴が前述の ”くるっと伸びた部分” にあります。
TPE(熱可塑性エラストマー)というゴムとプラスチックの間のような性質を持つ軟質素材を使用しており、”くるっと伸びた部分” が "ぐにっと曲がる" 仕様になっています。

素材の性質を上手く利用したことで簡単に引っ掛けることができると同時に、フックごと落ちてしまう問題を解決するという素材への深い造詣と発想力の賜物と言える製品です。

先端がフレキシブルに曲がります

また、この製品は「インサート成形」という特殊な製造方法を採っています。
前述したTPEの硬度を調整し、モノを掛ける部分は硬めに、ぐにっと曲がる部分は柔らかめに設定されています。
二つのパーツを接着するのではなく、金型で成形する際に硬いパーツと柔らかいパーツを組み合わせる成形方法によってシームレスかつ強度も確保されています。

シームレスな接合部

3. 使い勝手

日常の何気ない不満を見事なアイデアで解消した本製品。
この一点だけでS字フックの完成形と言っても過言ではないと思います。

ですが、”ぐにっと曲がる” 進化によって今までのS字フックとは違った使い方もできるようになりました。

実際に僕が普段使用している例をいくつかご紹介します。

ランドリーで洗濯ネットを引っ掛けて洗濯物の仕分けをしたり
清掃用品など、引っ掛け収納を前提とした道具には直接取り付けています
ズボラな僕はドライヤーにも取り付けてサッと引っ掛けられるようにしています

このように今までの使い方での欠点を克服しただけでなく「引っ掛け収納」する道具に取り付けておく事で「引っ掛ける」という行為そのものが格段にスムーズになりました。

こうして見ると、S字フックにはまだ他にも便利に使える可能性が秘められているのかもしれません。

4. コスパ

3個セットで¥500とS字フックとしては少々高めではありますが、S字フックに新たな可能性を創り出した製品として、相応の価値があると思います。

2個セットで¥600のラージサイズも展開されています。

また、最近100円ショップでコピー品が出てきているとの情報をキャッチしたので、オリジナル製品とコピー品を比較してみました。

コピー品はコストダウンの為にフック部分にPP(ポリプロピレン)が使われているので、強い力が加わるとプラスチックが白化してしまい破損や紫外線などによる経年劣化の恐れがあります。

一方、オリジナルは全て高品質のTPE素材を使用しているので、強い力が加わっても元の形に戻せるだけの柔軟性と耐候性があります。

長く使えると言う視点で見ればどちらを選べば良いかは一目瞭然ですね。

コピー品はフック部に劣化が見られます

5. oun view

何かと便利なS字フック、これ以上でもこれ以下でもない完成された製品だと思い込んでしまっていた製品ですが、よくよく観察するとフックごと一緒に落ちてしまう問題など、まだ改善の余地が残されていました。

そういうモノだと無意識の内にスルーしてしまっていた問題に真摯に向き合い、素材の特性と発想力によって潜在的なニーズを掘り起こし、新たな可能性を示した素晴らしい製品だと思います。

6. まとめ

日常生活の中での何気ない不満や問題。
それに対して真摯に向き合い、解決するのがデザインの本懐であると言えます。

「S Hook」とは4年ほど前に出会ったのですが、S字フックという非常にシンプルなプロダクトにおいてもデザイナーの発想力とエンジニアの技術力によってここまで進化の余地が残されていた事に感動した記憶が鮮明に残っています。

プロダクトデザインの奥深さを改めて感じさせられたと同時に、パーマネントコレクションに加わってもおかしくない完成度は「S字フックの到達点」と言えるのではないでしょうか。

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