視力回復

視力を回復する4つの方法。9割が近視の時代を生き抜くために。

トピックス
・予防のベストプラクティスは屋外スポーツ
・最も効果のありそうな治療はアトロピン点眼?でも保険外!


小中学生の”9割”が近視の時代

昨日、衝撃的なニュースを目撃しました。東京都の小中学生1400人を調査したところ、全体の”9割”近くが近視で、中学生の1割程度は将来失明につながる強度近視である。ということを示す慶応大学のデータが発表されたのです。

近視は通常、6~8歳で発症し、年々悪化していきます。長時間の読書や近距離で目を使いすぎることで近視は増えていきます。

残念なことに、アジア人は白人よりも近視が速く進行することが明らかになっており、日本や中国、台湾、シンガポールなどアジア各地で重要な社会問題としてとらえられています。

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近視になったらメガネやコンタクトをすればいいと思っているヒトも多いとは思いますが、それ以外の予防や治療法については全く知らないというヒトも多いはず。

でも、あまりにも近視が進めばメガネの見栄えも悪くなりますし、失明してしまったら、現代の医学ではリカバリすることはできません。

今回は、身近な病気:近視をどのように予防・治療していくべきなのかを見ていきましょう!


■屋外で遊ぶ時間は増やすべき?減らすべき?

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遺伝と屋外で遊ぶ時間が近眼にどのように影響を及ぼすか?ということを調べた研究が2010年に行われました。

ご存じの通り、近眼は遺伝により大きく左右されてしまう問題です。しかし、屋外で遊ぶ時間が多くなると、近眼にならずに済むかもしれません。

屋外時間

2010年の研究では、確かに”親の両方が近眼の場合、子供が近眼になる確率は非常に高い”ということが示されました。

しかし、驚くべきはそのあとです。

・週に14時間以上外で遊んでいる子どもは、近視になる確率が低い
外で遊ぶ子は両親が近視でも、近視になりにくい
・親が近視でない子よりも、親が近視+屋外時間が長い子の方が近視になりにくい

という結果が示されました。

つまり、親が近視だったとしても、外でスポーツをする時間が長ければ、近視になる確率をずっと低く抑えられるかもしれないということが示されたのです。

外で遊ぶ時間をちゃんと作ってあげることは、目の健康にとても有効な可能性があります。


■近眼の進行を抑えるための、最も証明された方法。

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近視に最も効果のあるとされる方法は、点眼液による治療です。

シンガポールでは、6~12歳の中等度の近視をもつ子ども400人に協力してもらった大規模研究が行われています。

・アトロピン点眼液を夜に1回使う
・2年間観察
何もしないヒトに比べて、近視の進行を60%抑制することができた。
・低濃度のアトロピンではアレルギー性結膜炎と皮膚炎のような副作用が見られなかった。

この研究では、2年にわたって近視の進行抑制効果が示されました。さらに、低濃度では副作用の症例もなく、高い安全性が示されています。

この研究以前は、高濃度のアトロピンを使うことが普通でした。その際、まぶしさを感じたり、読書中のぼやけが出るなどの副作用で子どもの約15%が治療を終了してしまう為、使い勝手の良い治療法ではありませんでした。

しかし、低濃度のアトロピン点眼液はそのような副作用の発生リスクを防ぎ、視力低下を防ぐという結果が示されたことで、現在では低濃度アトロピン点眼液(マイオピンと呼ばれることも)として使用されています。

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ただし、保険外治療となるため

・自分の行く眼科は低濃度アトロピン点眼液治療を行えるか?
・保険外診療費 ¥3,000/回程度かかるため比較的高額

これらを確認したうえで、治療を受けるべきか決めましょう。

日本での承認を行う為の臨床試験が現在進行中ですが、いつ終わるかもわからない状況(数年の試験が必要)なため、医療保険を使った国内製造品の流通にはまだ時間がかかりそうです。

*保険外診療はできるので、お近くの眼科で確認を!


■眼鏡やコンタクトで矯正しないと悪化していく

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視力が悪いヒトは眼鏡やコンタクトで矯正をします。でも、しっかり矯正しなかったり、過去何年も調整していないような場合で、”矯正不足”となってしまっていると、近視を悪化させてしまうかもしれません。

119人の子供を追跡した調査によると、”矯正不足”の場合

・1年でー0.15D
・2年でー0.23D
 *Dは度数の単位です。この場合どんどん悪くなっているということ。

徐々に視力が悪くなっていくことがわかります。

したがって、視力矯正を行っていない子どもや、何年もレンズを作り変えていないヒトの場合、視力がどんどん落ちていくことが予想されます。

しっかりと調整することが大切です。


■見慣れない言葉、オルソケラトロジー

 特殊なデザインの高酸素透過性コンタクトレンズを夜中につけることで、角膜の形状を矯正する方法です。これがうまくいくと日中は裸眼で過ごせると言われています。

2012年に香港で78人を対象にした臨床試験が行われました。

この試験では、近視の原因となる目の変化を2年にわたって観察されました。その結果、普通のコンタクトに比べて、オルソケラトロジーにて目の変化を43%も抑制することができました。

近視の原因となる目の変化は特に子供で起こりやすい為、オルソケラトロジーは子供にとって特に有効な治療法として考えられています。


まとめ

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近視の進行を防ぐ基本的な戦略は2つです。

・屋外で遊ぶ時間を増やす
・眼鏡やコンタクトレンズによる矯正をしっかり行う。

その上で、今後の近視悪化が気になる場合は、アトロピン点眼液など眼科治療をしっかり受けることが良い選択肢となります。

目は人間の体の中でも最も重要なセンサーです。しっかり守って、人生を豊かに過ごしていきたいですね!

ちなみに、

・43%のヒトは、眼鏡をかけると知的に見えると思う。
・36%のヒトは、眼鏡をかけるとプロフェッショナルに見える。

という調査もあり、眼鏡はインテリジェンスを示す格好のファッションアイテムでもあります。

コンタクトの眼病リスクを防げるアイテムでもあるので、近視なら私は断然、眼鏡推しです!(笑)


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ーーーーー おしまい -----

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引用

Jones, Lisa A., et al. "Parental history of myopia, sports and outdoor activities, and future myopia." Investigative ophthalmology & visual science 48.8 (2007): 3524-3532.

Chia, Audrey, et al. "Atropine for the treatment of childhood myopia: safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% doses (Atropine for the Treatment of Myopia 2)." Ophthalmology 119.2 (2012): 347-354.

https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000020896

Cho, Pauline, and Sin-Wan Cheung. "Retardation of myopia in Orthokeratology (ROMIO) study: a 2-year randomized clinical trial." Investigative ophthalmology & visual science 53.11 (2012): 7077-7085.

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