痩せ菌

【買うな!】痩せ菌サプリは買っても失敗するだけ。

ハイライト
・マウス研究で衝撃を与えた痩せ菌(Christensenella minuta)
・痩せ菌(Christensenella minuta)が入ったサプリは存在しない
・とるべき乳酸菌は限られている
・痩せ菌サプリはほぼ証拠なし。買う意味ない。

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腸内細菌が健康に重要なファクターなのは間違いない

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現代医学の父、ヒポクラテスは「すべての病は腸から始まる」という言葉を残しています。彼は、病気とは迷信や呪術・神々のチカラによって起こるものではなく、病気の原因を環境・食事・生活習慣によるものだと主張した人です。つまり、現代医療の始祖なのです。

現代医療に通じる立場を、今から2000年以上前から主張した彼が「すべての病は腸から始まる」と残した通り、腸内細菌が私たちの体に様々な病気を引き起こしたり、病気を防ぐ効果があることが続々と発見されています。

コチラのnoteで書いたこともありますが、腸内細菌が短鎖脂肪酸を介して、私たちの脳にたくさんの影響を与えるという、腸-脳軸理論は既に腸内環境について詳しい方には常識となっています。

腸内細菌を全て集めると1~2kgもいることや、腸内細菌の遺伝子はヒトの遺伝子の100倍以上存在する事から考えても、私たちと腸内細菌はとてもかかわりが深い関係なのは間違いありません。

そして、腸内細菌は体重・体形にも大きな影響を及ぼします。


痩せ菌って結局なんなの・・・??

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痩せ菌を語るためには欠かせない、2015年のnature誌に発表された衝撃の研究があるのでご紹介します。

無菌で育てたマウスに、肥満の人の腸内細菌を移植する実験が行われました。無菌マウスに肥満のヒトの菌を移植すると、たったの1~2日で体重が増え、太ったのです。
研究の面白いところは追加実験のところにあります。無菌マウスに肥満のヒトの菌だけでなく、痩せ菌(Christensenella minuta)を一緒に移植すると、そのマウスは太らなかったのです。

つまり、痩せ菌が腸内にいる場合、そのマウスは太りにくい体質になるということです。

さらにヒトを対象にした実験でも、太った人よりも、痩せた人の腸内には痩せ菌(Christensenella minuta)が多いことも明らかになっています。したがって、痩せ菌をとれば痩せる!というのはあながち間違いとは言えません。


なら、痩せ菌を摂ればいいだけじゃん!

先ほど紹介した実験の中で出てきた痩せ菌(Christensenella minuta)は残念ながら”レア菌”です。

乳酸菌や酪酸菌など、古くから研究が盛んになされていた菌ではないので、痩せ菌はまだまだヒトでの研究が進んでいません。

ホントにヒトが摂取したら痩せるのか?大量摂取しても安全か?など追加研究がまだまだ必要な菌なので、現段階で痩せ菌を含むサプリや食品はありません。

現段階で痩せ菌を含むサプリや食品はありません。

大事なことなので、2度言いました(笑)

つまり、痩せ菌(Christensenella minuta)を直接とる方法は今のところないということです。

しかし、痩せ菌以外にも、腸内細菌を使って体重を改善させる研究は世界各地で行われており、ある種の乳酸菌に体重を下げる高い可能性があることが明らかになっています。


痩せ菌以外にもいる。痩せる”かも”菌!

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痩せ菌(Christensenella minuta)以外にも、痩せるのに有効っぽいことがわかっている”かも菌”はいくつかあります。

今のところ、最新の系統的レビュー研究は2018年に行われ、Obesity Review誌に掲載されたものです。この研究では1946年~2016年までに公開された腸内細菌と体重に関する研究を洗い出して、その効果が検証されました。
その結果、腸内細菌のカイゼンによって3~12週間で-0.6kgくらいの体重減少が示されています。成績の良いものでは、-1.4kgも体重が減る菌もいました。

大切なのはここから。”菌の種類によっては逆に太ってしまう"ものもあったのです。したがって、菌の種類をちゃんと選ばないと、体重減少に効果がないどころか、逆に太ってしまう可能性すらあるということです。


体重をカイゼンするための”かも菌”の選び方

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まず、乳酸菌にはいろいろな種類があるので気を付けましょう。乳酸菌をとっておけばいいというのはかなりアブナイです。

乳酸菌の中でも-1.4kgをたたき出したガセリ菌。

そして、-0.6kgのロイテリ菌。

この2つの菌にはかなり効果が見込めそうな研究データがあります。

まぁ選ぶとしたらこの2つの菌種になるのかなぁ・・・?というところ。

よくヨーグルトに入ってるビフィズス菌や、痩せ菌サプリといわれるラクビに入っている酪酸菌は、ほとんど痩せるという根拠はありません。

もちろん、腸内環境自体を整える効果がないワケではないので、摂ってもいいのですが、”痩せる”のはかなり難しそうな感じです。



結局、痩せ菌サプリってどうなのよ・・・??

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腸内フローラ(腸内環境)を整えるサプリとして挙がってくるもの5つを確認しましたが、どれも痩せるというハッキリとした研究データがどこにも見つかりません。

・Lakubi(ラクビ):酪酸菌、ビフィズス菌
・善玉元気:乳酸菌発酵エキス
・Be Qtto:ラクリス-S菌、その他乳酸菌(菌種不明)
・ビセラ:ラクリス菌、EC菌、その他
・乳酸菌(EC-12):フェカリス菌

一応、すぐに出てくるこの5つに痩せる効果はなさそうです。

他を探すとガセリ菌、ロイテリ菌を含むサプリもあるようですが、だいたい他の菌種と混合になっているので、効くのか効かないのか全く分かりません。

結論として、痩せ菌サプリを摂る必要はありません。


”痩せる”こと以外を考えると・・・

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”痩せる”という点以外を考えると、腸内環境を整えるサプリを使うのは断然アリなんですが、痩せようと思ってサプリを摂ってもほとんど意味がありません。


私たちの体に痩せ菌がいるかどうかは、検査をしてみないとわかりません。

今はAmazonで診断キットを入手することもカンタンにできるので、気になる方は1回試してみるのはオススメです。


そのうえで、痩せ菌がいないなら、ガセリ菌とロイテリ菌を摂るようにしてみると良いかもしれません。この2つはヨーグルトなどで結構簡単に摂れるので、サプリで摂る必要は特にありません。

腸内環境を整えるためには、食物繊維やオリゴ糖が良いですが、他にも意外な食べ物でカイゼンすることができますよ・・・!


----- おしまい -----

このnoteは、世界中の論文を読み漁ることが趣味の私が、普段の生活や健康、美容などについて、根拠に基づいた意思決定をするための知識を提供していくnoteです。


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引用

Ley, Ruth E. "The gene-microbe link: evidence that genes shape the microbiome may point to new treatments for common diseases." Nature 518.7540 SI (2015): S7-S7.

Borgeraas, H., et al. "Effects of probiotics on body weight, body mass index, fat mass and fat percentage in subjects with overweight or obesity: a systematic review and meta‐analysis of randomized controlled trials." Obesity reviews 19.2 (2018): 219-232.

Torres-Fuentes, Cristina, et al. "The microbiota–gut–brain axis in obesity." The lancet Gastroenterology & hepatology 2.10 (2017): 747-756.

Park, Sunmin, and Ji-Hyun Bae. "Probiotics for weight loss: a systematic review and meta-analysis." Nutrition research 35.7 (2015): 566-575.

Crovesy, L., et al. "Effect of Lactobacillus on body weight and body fat in overweight subjects: a systematic review of randomized controlled clinical trials." International journal of obesity 41.11 (2017): 1607.

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