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Time well spent:時間を有意義に使い、幸せになるための方法。

ハイライト
・「シリコンバレーで最も良心に近い者」が引き起こしたTime well spentというムーブメント
・スクリーンタイムでは幸せになれない
・幸せに時間を使うためのヒント
・お金について考えると、愛情を深めるための行動が50%も減少する
・給料を払って音楽を聴いてもらうと、幸福に有害な効果が発生する


「Time well spent」というムーブメントを知っていますか?

Time well spentは、Googleのデザイン倫理学者として3年過ごしたのち、自分の倫理感を貫くために退社したトリスタン・ハリス氏が中心となって引き起こしたものです。

彼はAtlantic誌に「シリコンバレーで最も良心に近い男」とまで称され、ローリングストーン誌では「世界を作る25人」の一人にも選出されました。

彼は2016年にGoogleを退社し、Center for Humane Technologyという非営利団体を立ち上げます。その目的は、「人道的な」テクノロジーを推進することです。

私たちの脳は常にハックされています。

Youtubeの推奨動画を惰性で見続けてしまったり、Amazonで買い物をしたら、ついプライム会員になってしまっていたり。みなくても良いけど、見逃したら怖いTwitterやInstagramの投稿に多くの時間を費やしています。

トリスタンハリスは、もともと脳ハックのプロフェッショナルです。人間の思考と行動を乗っ取る影響力や説得術を研究するスタンフォード研究所で10年以上の時間を過ごした彼は、その危険性に強く気付いてしまったのです

彼が薦めるTime spent wellは、スマホやデジタルデバイスによって脳をハックされる無駄な時間を否定します。有意義に時間を使い、幸せに生きるために賢明な選択ができる世界を作ろうとしているのです。

私たちは中毒者のようにスマホに喜ばされる人生を生きなければいけないのでしょうか?

いえ、違います。

私たちは人生を、自ら選び取らなくてはいけないのです。


■AppleやGoogleが行うデジタルウェルビーイング

AppleはiPhoneやiPadなどのiOSデバイスにスクリーンタイム。GoogleはAndroidデバイスにデジタルウェルビーイングを搭載しています。

どちらもデジタルデバイスを使った時間が分かるように計測してくれるアプリです。どのアプリを何時間使っているか、ロックを何回解除しているかが一目で分かります。ユーザーはこの機能を使って使用制限をかけることもできます。

これらの機能はとても素敵な機能です。

でも、全然効果ありません。

子どもがいるヒトは、ロックをかけることもあるかもしれませんが、自分で使っているスマホにアプリの使用制限をかけているヒトが何割いると思いますか?そんな人ほぼいないでしょう。

スクリーンタイムやデジタルウェルビーイングに強力な機能がないのは当たり前です。AppleやGoogleはデバイスを使う時間が長ければ長いほど”儲かる”んですから。全スマホの利用時間を1時間にしま~す。なんて制限、かけられるわけがないんです。

現に私は「スクリーンタイムが導入されたから、スマホ使う時間減った。」なんてヒト、1人も知りません。

そしてさらに最悪なことに、「デジタルデトックス」という言葉はマーケティング材料として使われるようになってきています。

・スマホを手放してキャンプに行こう!
・インターネットから離れて、世界を旅しよう!
・スマホ断ちして友達と遊ぼう!

どれも効果がないとは言いませんし、好きでやっていることにケチをつける気はありません。どれも素敵な趣味です。

しかし、「デジタルデトックスをしなくてはならない」という強迫信念や思い込みによって、旅行会社や週刊誌に脳がハックされていては元も子もないですよね。

今回は、時間の有意義な使い方(Time well spent)とはいったいなにか。

幸せになるために、どう行動するべきか。
学術論文を使って正しく具体的に理解していきましょう。


■時間について考えることは、幸せを掴む第一歩

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ラッキーなことに、私たちは時間について考えるだけで幸せに近づくことができます。

お金について考えると、どうやって稼がなければいけないか。働くことを考えなくてはいけません。せっかくの休日にお金のことばかり考えていて、幸せになれるのでしょうか?

科学的な結論は、NOです。

2010年にペンシルバニア大学で行われた研究では、それが実証されています。

・研究チームは318人の参加者を集めました。
・時間に関連する単語、お金に関係する単語、どちらにも関係ない単語リストを用意します。
・参加者に「時間・お金・無関係」の単語を見て文章を作ってもらいます。
 *要するに「時間・お金・無関係」なことを考えてもらったのです。
・その後、24時間の間にどんなアクティビティを行うかを測定しました。

その結果、

お金について考えていたヒトは、時間について考えていたヒトと比べて幸せになる行動をとる可能性が極端に低くなってしまったのです。

・愛情を深める行動 → 50%低下
・友情を深める行動 → 30%低下
・仕事の時間    → 38%増加

愛情や友情は幸せに生きるための要素です。仕事の時間が長すぎれば幸せに離れません。

お金について考えたヒトはその行動を選び取れず、むしろどんどん不幸になる選択をしてしまうことが分かります。

この傾向は、貧乏なヒトが行っても全く同じでした。つまり、貧富の差に関係なく、お金について考えることは不幸への一歩なのです。

逆に、時間について考えた人は幸せになるための行動をとることができます。

将来のためにお金について考えることは大切ですが、それをライフワークにする必要はありません。それよりも時間について考えて、自分の大切な家族や仲間とどう時間を過ごすのか。考えるだけで幸せに近づくことができるでしょう。


■休みに時給を考えるのは不幸のタネ

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時間に値段をつけると不幸になります。

せっかくの休日。「この時間があれば〇万くらい稼げるよな~」なんて妄想してしまったらもったいないですよ。

友達と最高に楽しんだ時間。最高の音楽を聴いた時間。ただただリラックスして疲れを吹き飛ばした時間。これらの時間は最高です。

いちいち、「この時間があれば〇万くらい稼げるよな~」なんて考えて、本当に楽しめると思いますか?その時間が最高だったと言えますか?それは野暮ってもんでしょ。


トロント大学で行われた2011年の研究では

・時給を考えさせると、休暇時間のネットから得られる幸せが減少する
・時給を考えさせると、休暇時間の音楽から得られる幸せが減少する
・給料を払って音楽を聴いてもらうと、幸福に有害な効果が発生する

ことが判明しています。

時給は「焦り」の感覚をブーストし、休暇中に幸せを感じる邪魔をします。休みの日は、ただただ休みましょう。


お金で得られる幸せには、明確な上限があります。

過去記事でもお金の上限額を紹介しているのでご参考に!


休みの日くらい、おかねのこと考えるのやめよう。

お金のこと考えても、幸せにはなれません。

あえて言いますが、お金のことを考えて実際に儲けられるヒトなんて僅か。しかもお金を大量に手に入れても幸せになることはできません。お金で得られる幸せなんて年収1000万円程度で頭打ちなんですから、そんなことに投資してもしょうがないでしょう。


お金より、「時間」が大切なんです。

ありふれた言葉ですが、どんなお金持ちでも1日は24時間。

時間をどう使うかは私たちの完全な自由なのです。仕事やお金に縛られてそれをムダにするのは本当にもったいない。

熱中できることがあるならそれに費やすべきです。
ダラダラした時間が好きなら、本気でダラダラして回復すればいい。
なにも見つからないなら、探しに行けばいい。

スマホやインターネットに脳をがんじがらめにされて、ハックされて、操り人形にされて時間を無駄にするのがお望みですか?


好きなことをして、いきていきましょ。



引用

https://humanetech.com/

Mogilner, Cassie. "The pursuit of happiness: Time, money, and social connection." Psychological Science 21.9 (2010): 1348-1354.

DeVoe, Sanford E., and Julian House. "Time, money, and happiness: How does putting a price on time affect our ability to smell the roses?." Journal of Experimental Social Psychology 48.2 (2012): 466-474.

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