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白紙の本を買って読む

つれづれわぶる人(第75段)

つれづれわぶる人は、いかなる心ならむ。紛るる方なく、ただ独りあるのみこそよけれ。
世に従へば、心、ほかの塵に奪はれて惑ひやすく、人に交はれば、言葉よその危機に従ひて、さながら心にあらず、人に戯れ、ものに争ひ、一度は恨み、一度は喜ぶ。そのこと定まれることなし。分別みだりに起こりて、得失やむ時なし。惑ひの上に酔へり。酔ひのうちに夢をなす。走りては忙はしく、ほれて忘れたること、人皆かくのごとし。
いまだ誠の道を知らずとも、縁を離れて身を閑かにし、事にあづからずして心を安くせむこそ、しばらく楽しぶともいひつべけれ。「生活・人事・技能・学問等の諸縁を止めよ」とこそ、摩訶止観にも侍れ。

徒然草(吉田兼好)


時間をもてあます人の気が知れない。何の用事もなくて、独りでいるのが、人間にとっては最高なのだ。煩わしい関係を整理して静かに暮らし、ゆったりした気持ちでほんらいの自分をとりもどす。これこそが、ほんの短い間でも、真理に近づく喜びを味わうといってよいのである。

ビギナーズクラシックス・徒然草(角川ソフィア文庫)をもとに要約


最近の自分を思い出した。試験があるため、スマホを切り、教科書を抱いて過ごした。試験が終わると、スマホのTODOリストをこなした。すきま時間についついSNSを見てしまうため、SNSをアンインストールした。何もしない時間をつくるために、スケジューラに「何もしない」時間を登録したり、ぼーっとするためのアプリを入れた。本来の自分を取り戻すためにデジタルツールを使うことを、兼好ならどのように考えるだろうか。

コジミ200字作文


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