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余白について思い出す

年度末です。

この時期は、多くの人が振り返りや次年度の準備に追われる季節です。

事業者は決算作業や新年度の事業計画策定に忙しく、行政機関では部署の異動で慌ただしく引継ぎが行われます。学校では進級・進学など新しい環境へステップアップする時期です。

年度末には、様々な業務が山積みになります。納品ラッシュ、報告書や請求書の作成、人事評価、新年度の予算編成など、終わりと始まりの両方の業務に忙殺されます。

3月最後の平日を終え、ようやく年度末の喧騒から抜け出して、ホッと一息ついている週末です。

今回は小休止ということで、余白について書いてみようと思います。

人生を豊かにする3つの余白

現代社会は、効率性生産性が過度に重視される傾向にあります。人々は常に多くのことを同時に行い、時間を無駄にしないように心がけています。

しかし、このような詰め込み型のスタイルでは、かえって充実を妨げてしまう可能性があります。なぜなら、人生を豊かにするためには余白が不可欠だからです。

余白とは、時間的・空間的・心理的な余裕のことを指します。

時間的余白

時間に余裕がないと、毎日の生活が隙間のない単なる詰め合わせになりがちです。ある程度の余白があれば、趣味に時間を費やしたり、家族や友人と過ごしたりと、自分のために使うことができます。

余裕の時間があると、新しい刺激を受け入れる余地が生まれます。そこから画期的なアイディアを思いつき、新たなクリエイティブを生み出すことができる可能性があります。

空間的余白

家や職場が物で過密状態になっていては落ち着きません。物が少なく、スペースに余裕があれば、開放的になり創造性が刺激されます。

また、人との距離感を保つ余白も必要です。常に人と密着していては、ストレスがたまる一方です。自分自身を大切にし、内面と向き合う時間を確保する必要があります。

心理的余白

最も重要なことです。私たちの心は日々さまざまな情報や刺激に曝されており、心の中が雑然としがちです。

心に余白がないと、新しいアイディアや他者の感情を受け入れる余裕がありません。心を落ち着かせる機会を設けることで、内面に余白が生まれ、外的刺激に対して寛容になることができます。

余白のつくりかた

余白を作ることは、決して無為なことではありません。むしろ、大切なことに時間とエネルギーを注ぐための前提条件なのです。

効率を美徳とする風潮に流されず、適度な余白を確保することで、わたしたちの生活はより充実したものになります。

具体的には、以下のような方法が考えられます。

時間的余白をつくる

仕事では、一日の20%ほどをゆとりある時間に充てましょう。休憩を十分に取り、ときにメールやミーティングの時間を制限します。そうすることで、集中力が高まり、創造性とパフォーマンスが向上します。

この時間はメールを見ない、Slackに返信しないなど、スケジュールに入れ込んでしまうのも良いアイディアです。ただし、社内にはそのことを共有しておいてください。

空間的余白をつくる

部屋を片付けて趣味の空間を確保することで、フィジカル面で余裕が生まれます。また、視界に入るモノが少なければ、脳が処理すべき情報が減るので、おのずと集中力が高まるでしょう。空間にゆとりが存在すれば、制作に没頭しやすくなり、思考の整理もつきやすくなります。

ただし、必ずしも洗練された空間である必要はありません。むしろ未完成の場のほうが手を入れる余白があり、クリエイションを促進する効果があるとも言われています。

心理的余白をつくる

逆説的ですが、仕事のパフォーマンスを上げるのに重要なことは、適度に仕事をしない時間を設けることです。常にスケジュールに追われている状況では、心に余白はつくれません。

デジタル機器を使用しない時間を設けて、目と心に休息を与えることも大切です。音楽を聴いたり、散歩をしたり、瞑想をしたりして、心の余白を確保しましょう。

余白を手にすることができた転機

独立して以来、ずっと余白がない問題に悩まされていました。

仕事が少ないときは資金繰りに追われ、仕事が増えたら納期に追われ、なかなか思うように余白を確保することができずにいました。

転機が訪れたのは2020年。少しずつ積み上げてきたレギュラー案件で、毎月ある程度の売上が確保できるようになってきたタイミングで、新型コロナウィルス感染症拡大による緊急事態宣言が発出されました。

2020年4月16日、社内のSlackに下記のような投稿をしました。

@channel
お疲れ様です。全国に緊急事態宣言が出ました。
山口県はすでにチーンという感じなので、現状とあまり変わらなそうな気はしますが、明日には知事から何かしら発表があると思います。
弊社は明日までは現状のスケジュールにして、土曜日以降は全員在宅に切り替えましょう。

当時は自覚がなかったのですが、今思えば弊社は緊急事態宣言を受け入れる準備ができていました。既にリモートで案件が回せる体制が整っていたので、何の混乱もなく在宅勤務にシフトすることができました。

コロナ禍で世界中の人々は立ち止まり、自分の仕事や人生について考える機会を得ました。そのタイミングを良いコンディションで迎えることができたことで、わたしたちはようやく余白を手にすることができたのです。

コロナ騒ぎが落ち着き、世界は平静を取り戻しつつあります。再び慌ただしい日常に追い立てられる日常のなか、うかうかしているとせっかく手にした余白をまた失ってしまいかねません。

余白は、意図せずにできるものではありません。また、他者から与えられるものでもありません。価値ある余白を確保するためには、意識的に余白を作ろうとし続ける必要があるのです。

余白の道も一歩から

ちょうど一年前の投稿でも余白について触れています。

年度が切り替わる節目は、少し立ち止まって余白について考え直す良いタイミングなのでしょう。

かくいう私も、ここ数ヶ月はスケジュールを詰め込みすぎて、時間的余白を十分に確保できていませんでした。

年度末最後の休日は、久々にミルで豆を挽いてドリップコーヒーを楽しみながら、好きな音楽を聴いて過ごそうと思います。

では。

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