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僕はおまえが、すきゾ!(21)

僕達は、腹いっぱいに食べて飲んで、店を出た。
優作は古賀さんを家まで送ると言って、僕と別れた。古賀さんは、じゃあ今度、ハリーポッター一緒に観ましょうね、と言って別れていった。
さっきの古賀バカアホ子の言った言葉が、まるで無かったかのような言い草だ。彼女は何を目論んでいるんだ?優作はどうしてこんな女に惹かれるんだ?沸々と彼女に対しての不信が頂点に達するところだった。優作―、道を早まるな!その心の声は優作に届く事も無く、優作と古賀バカ子は歩いて行った。優作と古賀さんの歩いて行く後ろ姿を見ながら、僕はイラっと来ていた。あの女は一体何なんだ。それとも世の中の全女性がそうだって言うのか?
そんな事を思いながら、一人、夜道を歩いていた。
途中、酔いを醒まそうと、コンビニに入って、ウイルキンソンを買った。店を出てすぐにペットボトルの蓋を開けて、僕はウィルキンソンの芳醇な液体を喉に流し込んだ。強い炭酸が、喉を刺激した。
俺、このまま一人ボッチなのかな、僕はまた一口、炭酸水を呑み込んだ。
今まで優作と二人でいれば、それでた楽しかった。
だけど、今は優作には古賀さんがいる。急に襲って来る孤独感。あいつら、別れないかな、そうすればまた優作と前のように遊び倒せるのに。
コンビニ前に立つ僕は喉を潤したが、まだ心は潤っていなかった。
煙草が吸いたい、不意に煙草を吸いたい欲求に駆られた。僕の病気には、煙草を吸う事は医師から禁止されていた。
煙草を吸うと、薬の効き目が無くなるらしいのだ。だけど僕は煙草を買った。
僕は再びコンビニへ入って、ラッキーストライクのメンソールの一ミリを買った。
久しぶりに買った煙草は、値上がりをしていた。
僕は封を開けると、いっしょに買った100円ライターで煙草に火を点けた。久しぶりに吸った煙草は、脳の血管を委縮させ、頭の中がボーっとなった。それから、煙草を三本連続で吸った。頭がクラクラとしてきて、気持ちがわるくなった。
優作たちは今、どうしてるんだろう。夜道で手でも繋いでいるのだろうか。そんな事を考えると、また自分は一人ボッチなのだと実感した。
 
 
 

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