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小旅行で脳みそをシェイクする

硬直していた思考をほぐすのに旅行がよく効いた。

旅行は選択の連続になる。

いきあたりばったりになると、だいたい上手くいかない。とりあえず行ってみれば何とかなるんじゃね、でだいたい何とかならない。

計画を立てるのが苦手だった。現場力という魔法の言葉で誤魔化していた。

何時の電車に乗って、ここからはどう乗り換えて、どこに行って、どこで食事して、どこに泊まるか。当たり前といえば当たり前だけど、ちゃんと考えないとせっかく休日が全財産ぶち込んだFXのロスカットみたいに溶けてしまう。

これは笑えない。

はるばる日光に行って、東照宮→なんか迷う→やべ、何もない→日光ほかに何あるの?→タイムアウト!で泣きながら宇都宮で餃子食べて帰ったあたりからちゃんと考えるようにした。

最近はそういうのエスカレートしすぎて、電車に乗り遅れるとか、終点の駅じゃないから寝すごしそうとか、旅館の食前酒で完璧にキマって温泉にも入らずに眠って次の日は二日酔いで機嫌悪くなるとか、あらゆるイレギュラーを想定して予定を立てるようになってしまった。

何も邪魔が入らずに進むとたまに駅で何時間も待つ事になるんだけど。

旅行の究極の相方でもある読書とのペアリングがある。その効能が侮れない。

そこそこのまとまった時間を電車、新幹線、飛行機で過ごす事になる。単調な車輪の音、エンジン音、丁度良い空調、立ち歩くのがめんどくさい適度な狭さ。

絶好の移動式書斎になって異様に読書が捗る。飽きたら景色でも見れば良い。

アイディアは移動距離に比例する。

机に向かってウンウン唸っていてるよりも、肌で多くを感じ、環境のダイナミクスを感じて書に触れる。確かに遠出の度に思考がほぐれていく。

さいごに。旅行の一番の贅沢は何か。

観光して絵葉書の風景を確認する事じゃない。
ちょっと早起きして見知らぬ街の見知らぬ日常を体験する事じゃないか。

はじめて訪れる街の、まだ混み始める前の早朝のスタバでゆっくりと本を読むのが良い。季節の限定ブレンドをまずは一杯、ひととおり愉しんだらワンモアコーヒーはデカフェにしておく。そろそろ9時になって混み始めてたあたりに、よっこらしょと思い腰を上げる。

少し寂しさを残しつつ支度をしていつもの日常に戻る。

そんな二日目の朝が楽しいんだな。

経費で落ちないかしら、などと汚い大人になりつつも、今年はどこに行こうかしらとごにょごにょと夢想する。

#コラム #エッセイ #旅行

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