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Artdirector 石黒篤史 × Motion Designer・Director 川島真美

OUWNのnoteではデザインワークスについて多数紹介していますが、GIVE UP PLASTICdot to dot todayRemsなど多くの仕事を共にするモーションデザイナー・ディレクターの川島真美さんがいます。
今回はそんな川島さんとの初対談!共に作ったデザインを振り返りつつ、お互いの印象も聞いていきましょう。

繋がる出会い。 ピンチの時は川島さん!?

ー まずは川島さんの自己紹介からお願いしてもいいですか?

川島 : モーションデザイナー・ディレクターをしていて、DRAWING AND MANUAL(以下:DRAWING)という会社に所属しています。聞き手である星さんとは専門学校の友人です。
専門学校ではグラフィックデザインを学んでいて、それが動くことに興味を持ち、独学でモーションデザインを始めました。学生の時に見た作品をたどり、EDP graphic worksに入社しました。 EDPには2年半ほど勤め、その頃はドラマのオープニングやタイトルバックの制作が多かったです。今はDRAWINGに入って5年目になり、企業のブランディング案件などを多くやらせてもらっています。

石黒 : 僕が川島さんを知るキッカケは聞き手の星さんがOUWNに入るって時だよね。「OUWNというデザイン事務所があるよ」と、川島さんが星さんに教えてくれたそうで。

川島 : グラフィックデザインが好きなので、OUWNのことは前から知ってました。私、石黒さんが作った絵本をオンラインで買っていて、あれがすごく好きだったんです。どのデザインを見てもかっこいいなと思ってて、できることがあればぜひご一緒したいなと。
OUWNがデザイナーの求人を出してるって時になるちゃん(星)に話して、絵本を見せました。特に言葉の部分で、なるちゃんとシンパシーが合うんじゃないかと思ったんだよね。

出会いのきっかけとなった絵本「Circulation」

ー 私も絵本を見て石黒さんの言葉に共感して、OUWNで働きたいなと思って応募したんですよね。

石黒 : そこからここまで繋がって、すごいよね。
2019年の秋頃、GIVE UP PLASTICのデザインを作っている時にモーションが必要で、星さんの知り合いでモーションできる人がいたなって思い出したのが川島さんでした。

川島 : 当時は自分のサイトも作ってない状態で、これといった実績がない中で任せてくれたことにびっくりしました。

石黒 : GIVE UPはクライアントワークじゃなく自分のプロジェクトだったこともあるけど、「こういう雰囲気で」というざっくりした依頼だったにも関わらず、すごく良いものを作ってくれて。モーションがメリハリ効いてて上手だなって思いました。

川島 : 最初に出来上がったものを送った時、めちゃくちゃ褒めてくれたのを覚えてます。

石黒 : グラフィックのコンセプトに合った演出が上手だなぁと思って、その後すぐルミネ有楽町 10th Anniversaryの案件を一緒にやってもらいました。OUWNでは商業施設のビジュアルデザインをやらせてもらうことが多く、サイネージは大事です。仰々しく頼むというよりも温度感を受け取って自分でも解釈してやってくれる人がいたら良いなと思ってたので、自分としてもやりやすくてありがたいです。
OUWNは映像会社ではないから映像のみの受注は少ないんですが、Remsというプロジェクトのように、ブランディング・色々な施策の中でプラスアルファで映像があったら良いよねって時が多々あります。
Remsの時は予算も限られていたので、スチール写真は僕が自ら撮影して、ムービーを川島さんにお願いしました。コンパクトにでも最大限に良いものを…という気持ちで、ピンチの時は川島さんだ!と思って動画の撮影から頼りました(笑)。

川島 : 自分は普段から実写案件を多くやってるわけじゃなかったので撮影周りに不安もあって、Remsは以前一緒に働いてた軍司さんって方と一緒に撮影させてもらいました。

石黒 : Remsは実写と説明的なページもあるのですが、実写とアニメーションとで、しっかりとポイントを抑えてくれました。結果として映像がRemsのブランドディングの軸になったかと思います。
また、その同時期に阿武の鶴酒造 日本酒 三好のブランディングムービーも一緒に作っていたんだよね。その時は川島さん自らが撮影していて、クオリティもしっかりして安定感のある動きを見ていたのでRemsも頼んだという流れですね。

川島 : 三好のブランディングムービーの時は酒蔵に一緒に撮影に行かせてもらったんですが、その場に行けるってやっぱり全然違くて。普段実写を託してもらえることはあまり多くないからこそ、ありがたいなって思います。杜氏の三好さんの優しい人柄を感じて、和やかな撮影でした。

石黒 : 三好ではその前に三好 HANAという映像も作ってもらってたから、三好さんもぜひまた一緒にって言ってくれてたんだよね。三好のHANAは日本酒作りの全工程1つ1つをグラフィックで表現したムービーです。
HANAのムービーを三好さんに見せた一言目に、「この作品を一生大切に使っていきたい」って言ってくれて嬉しかったな。OUWNの中でも三好はいつもキーになってるから、HANAもブランディングムービーも制作は大変だったけど、とても起点になるものでした。

川島 : HANAという映像は、お米の種を蒔くところから出来上がったお酒を飲むまでを1つにまとめたので、グラフィックもすごい量でした。頭からどんどん作っていって、最初の5工程分くらい作ってOKもらったあとは、最後まで完成させてから石黒さんに送りました。三好さんの一言はとても嬉しかったです!

ー 川島さんはOUWN以外の仕事の時は、グラフィックから自分で作ることのほうが多いんですか?

川島 : 普段はグラフィックから自分で作ることの方が多いです。でも最近はOUWNの仕事のおかげもあり、デザイン会社の方から依頼を受けることが増えました。自分で作る時と相手にデザインをもらう時とでどっちが難しいとかはないのですが、考え方や動かし方が変わります。
自分がグラフィックを作る時は動きも自分で想像できるので、良くも悪くも動かすことを前提に考えることが多いんです。グラフィックをもらって動かす時は、自分が想像していないものなので「さて、これをどう動かそうか」ってところから始まる。できるだけグラフィックの世界観を崩したくないので、その世界観を崩さずに構成を考えて、どこを切り取っても絵になるようにと考えて動かしています。

石黒 : 色々なグラフィック素材を渡しつつ場面イメージなどを共有して、あとはどう動いてくるか?という2人の協働でいえば、dot to dot todayが良い例です。365パターンあるロゴを動かしてもらいました。数がすごいから、これも大変だったと思います…。でも世界観はそのままに本当に良いものになったので、この映像ももっとたくさんの方に発信して、知ってもらいたいですね。

石黒 : 川島さんがやってくれたものは、クライアントさんがみんな喜んでくれてるのを実感します。予算があれば制約もありますが、予算がない時は良い意味である程度自由にできたりもするから、先方の申し訳なさを払拭してあげられるくらい期待値よりもバーンとクオリティの高いものを出したり、想像以上のものを出せると、受け手も喜びの振り幅が大きくなるのかなって。自分が常に心がけていることでもあります。

ー そのGIVE精神、石黒さんから常に感じることですよね。

川島 : 本当、石黒さんは任されたこと以上のことを自分からやっているところがすごいなって。GIVE精神がすごくある人で、エネルギッシュです。

石黒 : 川島さんにはGIVE精神に乗っかってもらってるから、本当は川島さんに返さないといけないんだけどね(笑)。GIVE精神って改まって言われると「そんな立派な考えでは…」と思いますが、そのGIVEというキーワードで言えば【TSURUMIこどもホスピス✖️MIYOSHI KŌ】限定 日本酒をデザインするという職業体験のプロジェクトですかね。

仲間の協力で成り立つ、ベストな形

石黒 : これこそ案件というより、自主的な気持ちでやらせてもらったものです。詳しくはnoteの記事で読んでほしいのですが、前段にも出ていた 阿武の鶴酒造の三好さんと川島さんの協力なしでは成り立たなかった。

川島 : 石黒さんからは、体験授業のようなことをするから、それを撮ってもらいたいっていうお話をいただきました。「ただの記録映像にはしたくなくて、その映像が1つの作品となって、デザインをする人・日本酒を作る人・映像を作る人っていうプロの仕事を見せられるようにしたい」って伝えてもらいました。お話を聞いて、TSURUMIこどもホスピス(以下:鶴見ホスピス)という、お酒とは無縁な場所でお酒のラベルを作るっていう企画自体が面白いなと思いましたし、私で良ければぜひ!って気持ちでした。

ー ムービーは見終わった後に感動があって、余韻が残るというか。短い尺で伝わるのがすごいなって思いました。

石黒 : あのムービー、自分も感動しました。このプロジェクトは全部がしっかりパッケージされて、すごくベストだったなと思います。
鶴見ホスピスというお酒が飲めない場所でありながら、そこにいる子にお酒のラベルをデザインしてもらうという体験授業のようなもの。川島さん同様に快く協力してくれた杜氏の三好さんが来てお酒の話をし、背景をしっかりと知ること、ラベルのデザインをすること、デザインをしたものが流通されること、その一連の映像をしっかり作って、その映像が販促の1つの素材となること、最後に鶴見ホスピスの人も宣伝してくれる。もちろんお酒も実際に発売するため、デザインした日本酒のリアルなお客さんからの口コミも知れる、全てを体験できるものでした。企業のブランディングだったり、広告がどういうものなのかってことを子どもたちに伝えられて、すごく良い経験になったんじゃないかなと思います。

川島 : 生徒さんも、石黒さんとマンツーマンで一緒に制作させてもらえるの贅沢ですよね。生徒さん2人に対してプロ3人、私たちもそれぞれ最小人数でした。鶴見ホスピスは元々取材なども多いみたいで生徒さんは緊張してる感じはなく、自然な表情を撮れたかなと思います。むしろロケハンとかもしてないので、私の方がちゃんと撮れるのか焦ってました(笑)。

石黒 : 本当、こっちも必死だったよね。2時間ほどでデザインを作り上げないといけなかったから、自分は生徒さん2人用にノートPCと、大きいiMacを担いで持って行きました(笑)。そのためのバッグとかも買って、普通にスタイリストさんみたいになってたもんね。
でも、映像に関しては川島さんパートなので最初から安心してました。絶対大丈夫だなって。川島さん自身の宣伝になるように、NGはゼロだから好きなように!と。それがプレッシャーにさせてたかもだけど(笑)。

川島 : プレッシャーはだいぶありましたね(笑)。
このプロジェクトの良さをしっかり伝えるものになっていなきゃいけないし、撮影の後もどう編集するかで必死でした。でもそのプレッシャーは今までの信頼があるからというのも伝わっていたので、応えたいという気持ちで頑張れたかなと思います。もっとたくさんの人に知ってもらいたい、関われて良かった作品になりました。

「自然にいられること」は才能

ー 最後に、お互いに様々な仕事を見てきたと思いますが、尊敬する部分をあげるとしたら?

石黒 : 映像の技術はもちろんなんですが、川島さんのすごいなって思うところは、その場に溶け込む能力です。鶴見ホスピスの時も思いましたが、その場にいつのまにか馴染んでて、撮影する時の威圧感が全くない。みんなが心地良いままで事が進むんですよね。そこはもう才能の1つなんだろうなって思います。案件が終わってからクライアントさんと話すと、「川島さんっていいですよね」って言われることばかりです。

川島 : そう言ってくれるのは本当ありがたいですね…!嬉しいです。
石黒さんの尊敬する部分は、デザインや考え方はいつも大尊敬なのですが、直接でもメールベースで話しても言葉がすごくやわらかいところです。褒めてくれる時もすごく熱量が伝わるし、良いなって思ってくれた時に言葉にして伝えてくれるのが嬉しくて安心します。

石黒 : それは単純に、川島さんが作ってくれるものが良いからだと思うよ。

川島 : いやいや…!あとは、OUWNは映像の概念を元々持ってるのがすごいと思います。グラフィックデザインの会社で映像まで考えてることってあまり多くないんじゃないかなって。

石黒 : 多面的に見るのが好きなので、これを動画にしたらもっとこうなるかも、誰かの役に立つかも、っていろんな方向に考えることが癖というか、思考としてあるんだと思います。本当は毎回1つのグラフィックに対して1つの動画を作りたいくらいです(笑)。

ー 今後一緒にやりたいことはありますか?

石黒 : 鶴見ホスピスや日本酒三好のように、グラフィックを動かすっていうこと以上の多面的なものを引き続きやりたいですね。
自分が今携わっているプロジェクトがあって、長野県・松原湖の近くに新たにできるホテルやカフェのロゴデザインをしてるんです。そういうのをモーションで動かしてもらったり、色んなことに繋がっていくようなものを一緒にやりたいなと思ってます。

川島 : 楽しそうです!今年掲げてた目標の中で、施設とか空間の映像をやりたいなと思ってました。施設内で見れる環境映像みたいなものをやってみたいなと思ってたので、ぜひ一緒にできたら嬉しいです!

石黒 : 今、他にも空間を創るもので携わってることがいくつかあるので、一緒にできることはたくさんありそう。これからも、よろしくお願いします。

川島 : ぜひぜひ!これからも楽しみです!よろしくお願いいたします!


MAMI KAWASHIMA / @mmkw_design
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ATSUSHI ISHIGURO / @ai_ouwn
Creative Studio OUWN

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聞き手・執筆
NARUMI HOSHI / @narumihoshi_castlru


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