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楽しいって大事

作▶無糖(@non_sugar_33)
好きな芸人▶キュウ、トンツカタン、ひつじねいりなど
「ちゃんとエッセイを書くのが初めてなので、何卒お手柔らかに……」

私がお笑いを好きになった、いや、沼に落ちたのはラジオがきっかけだった。

元々二次元のオタクだった私は、中三の頃に声優さんのラジオを聞くようになった。ラジオは勉強するときのお供にしていたのだが、30分程度のラジオ番組一つでは勉強のお供にはこと足りない。そこで、「この芸人、気になるから聞いてみよう。」と聴くようになったのが三四郎のann0だ。ここから若手ベテランと幅広くラジオを聴くようになった。アルコ&ピースD.C.GARAGE、うしろシティ星のギガボディ、ハライチのターン、爆笑問題カーボーイ、エレ片、キュウの実りのある放送、カナメストーンのカナメちゃん村etc.……、高校受験、大学受験の際に支えになったラジオ番組は多い。私が芸人の深みだとか、考えていることを知りたいと思うようになったきっかけはラジオだと思う。最近は時間が取れずラジオをほとんど聴いていないが、また時間ができたら聴きたい。

 

お笑いを好きになってから、SNSを始めた。Twitterを主な活動場所とし、情報収集や自身の考えを発信するために利用した。そのSNSを見ていて出会った二組の芸人について述べたい。この二組の芸人はお笑いを見ていて転機になった二組だ。

 

トンツカタンはフォロワーさんのおすすめからYouTubeでネタを見始めたトリオだ。フォロワーさんのおすすめから、私は約一週間でYouTubeに上がっているネタを全部見切ったほど、面白くテンポの良いコントが好きだ。三人のバラバラな個性が本当にバラバラで見たことない化学反応が生み出せるのではないかと思っている。また、トンツカタンを介してTwitterで仲の良い友達もできた。SNSでの繋がりも広がるきっかけになったトリオだ。何より、こんな面白い人たちがテレビに出てないなんて、面白いけれどメディアに出ていない若手芸人が山のようにいることを知った。

 

キュウはTwitterで単独のフライヤーが流れてきたのがきっかけで好きになったコンビだ。濃紺の無地の地味な衣装、格好良いフライヤーからどのような単独をやるのだろうか、どのようなネタをやるのだろうか。と気になりYouTubeでネタを見始めた。ネタ自体はビックリするぐらい内容が無い。馬鹿馬鹿しい。葬儀屋のようなシリアスな見た目から反するような漫才だ。ラジオはずっとSMの話ばかりで、単独の構成は凝り凝り尽くしている。インタビューを読む限り、恐らく強いこだわりと堅いスタンスを持ち続け、簡単に観客側に歩み寄らないキュウに惹かれた。キュウの漫才は舞台と観客の間に壁を一つ隔てた感覚がある。知らない世界に連れてってくれるこの人たちはずっと“変”だな!と思うようになってから実際にライブで見てみたいと強く思うようになった。その結果、私が初めて行ったお笑いライブが「第七回キュウ単独公演『最下位』」だった。M-1でもあれよあれよと準決勝、決勝と進み、追っていて一番楽しい。常に“変“を更新しているキュウはこれから何してくれちゃうんだろう。楽しみだ。

 

ここ2年でM-1やKOC、R-1など賞レースを見るようになった私に衝撃が走ったものが一つある。THE SECONDだ。若手の新しい発想や観点を採掘したいがためにお笑いを見るようになった私を熟練の技術でぶん殴ってきた。6分あるからこその語り中心で一点勝負のネタだとか、芸歴を重ねたからこその満身創痍のアドリブだとか。綺麗な構成のネタだけでなく、メタも集団もありだ。熟練の芸人たちが楽しそうに漫才をする姿が焼きついて離れない。私はグランプリファイナルしか見ていないが、ノックアウトステージから見ていたらなお面白かったのだろうと後悔している。

 

 

 お笑い好きが高じて、私は現在落語研究会に所属している。今まで見る専門だったが、落語を演ることになり、お笑いの難しさを日々実感している。話のテンポ感や間の置き方の些細な違いで、台本が面白くても演者の技量で面白さが半減することもしょっちゅうある。

 観客の面白い!楽しい!という感情を引き出さなければならない芸人という職業はとても難しい。芸人や賞レースの厳しさを食らうと芸人になりたくないと心底思う。それでも芸人という職業が魅力的に見えるのは、芸人が好きなように自由に、楽しそうに舞台に立っているからだと思う。売れてなくても、お金がなくても、楽しそうなのが心底羨ましい!