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『おもしろ荘』リンダカラー∞とリズム芸のトレンド

『おもしろ荘』は毎回毎回「おもしろ荘っぽい」としか言えないような絶妙なラインの芸人を選出してくる印象があり、目が離せません。今回もそんな感じでした。

個人的には、リンダカラー∞のネタが心に残りました。これを見ながら、リズム芸の進化の歴史ということについて考えました。

リズム芸(リズムネタ、歌ネタ、音ネタ、音楽ネタ)と言われるジャンルのネタは、そこで使われる音楽の質がどんどん上がっていて、本格志向になっている感じがします。

音楽の専門的なことはわかりませんが、お笑い界では明らかに「音楽としてよくできているほど面白い」という風潮がありました。少し前で言うとラブレターズの「西岡中学校」、オリエンタルラジオ(RADIO FISH)の「Perfect Human」などです。単純に音としていい、ということがネタとして見たときにも魅力的だということにつながっています。

今の時代は、その風潮が行き過ぎて飽和状態になっている感じがします。そんな中で出てきたのがリンダカラー∞です。彼らのネタにも独特のリズム感のようなものはあるけど、それが音楽的に気持ち良いところからは少しズレている感じがする。でも、そのズレが独特の味を生み出している。

昨年のM-1セミファイナリストのフースーヤのネタにもそれを感じました。ネタの終盤で彼らが狂ったように繰り返す「Perfumeじゃないでーす」というくだりは、少し字余りで、リズム的には気持ち良くない。ピタッと来るところから少しズレている。でも、そのズレこそが心地よいという領域に入っている気がするのです。

ついでに言うと、同じくM-1セミファイナリストのスタミナパンの「ほーんとにウンチしてまーす」も、言葉のリズムの悪さが心地よい感じがします。

お笑い界におけるリズムのトレンドは、ちょうど気持ち良いところから少しだけズラす気持ち良さを追求する時代に入っているのかな、と思いました。