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『水曜日のダウンタウン』の強い企画を見るために生きている

ふと、自分が生きている理由は何なのかと誠実に考えてみると、『水曜日のダウンタウン』の強い企画を見るために生きているのではないかと思います。

先日放送された「怪しい自称プロデューサーから「100万円払ったら『水曜日のダウンタウン』に出してあげるよ」と持ち掛けられ、ホントに払ったヤツがホントに出演できるホントドッキリ」は、まさにそんな感じの神企画でした。

一言で言ってしまえば「面白い」ということに尽きるわけですが、その面白さを成り立たせているのは、企画や演出のきめ細かさと、放送倫理や人間の倫理観のギリギリのラインを攻めている(ように見える)ことです。

「業界人の怪しい飲み会にアントニーと皇治とアレクがいる」というキャスティングの解像度の高さがすごいし、怪しいプロデューサーの演技も見事でした。

「お金を払えば番組に出られると言われたら払ってしまうのか」というドッキリ企画自体は、ほかの番組でやっていてもそこまでおかしくはないのですが、普通は払うかどうかだけを聞いたら、そこでネタバラシをして終わらせてしまうでしょう。

でも、この番組では、実際に払った上で、実際に番組に出られてしまうという「ホントドッキリ」をさらに仕掛けています。ホントドッキリでバカバカしさを加えることで、この企画自体に漂う危険な香りを和らげている。しかも、ダウンタウン含むスタジオ出演者たちが台本通りにしゃべらないといけなくなるというオマケ付き。こういうところが憎らしいほど緻密で用意周到なのです。

そして、最も重要なのは、この企画でドッキリの被害者となったあおぽんさんが損をしないようにしているということです。あおぽんさんは自分の意志でお金を払って番組に出ることを選んで、実際にそれをやってしまった人なので、ドッキリの被害者でありながら、批判されても仕方がない立場に置かれています。

でも、スタジオで台本通りの展開に必死で食らいつき、浜田さんに頭をはたかれて喜ぶ姿が健気で愛らしく見えてくるので、そこまで嫌な感じがしません。

ドッキリは被害者が得をして終わらないといけない。このリスクしかない大がかりなドッキリでそれを成し遂げたのはすばらしい。お見事でした。