サウナ好きが集まると、一番好きなサウナはどこか、といった話になることがある。個人的にはこれを聞かれると困ってしまう。一番いいところってどこだろう、うーん、と考え込んでしまうからだ。

いや、そんな厳密に考えなくてもいいんだよ、パッと思いついたことを言えばいいんだよ、ということなんだろうけど、それでもやっぱり答えられないというのが本音である。

基本的に、サウナは好きだ。どのサウナに行ってもそこそこの満足は得られる。設備などの面で物足りないと感じることはあっても、それなりにいい体験ができることが多い。

ただ、逆に言うと、ここは特にすばらしい、と思えるようなサウナにはまだ出会えていない。都内の評判のいいサウナには一通り行っているし、日本一の呼び声が高いサウナに遠征したこともある。でも、個人的には、その中でベストだと言える場所は見つけられなかった。

たぶん、これはサウナだけの問題ではなく、自分の体質の問題なのだと思う。たとえば、読書好きの人はそれぞれが「理想の書店」を持っていたりするものだが、私にはそのような書店が思い浮かばない。書店にも古書店にも行くのはたまらなく好きだけれど、特に好きな書店というのはない。

「一番好きな芸人は?」というのも100回以上聞かれたことがある質問だが、これにも上手く答えられなくて困ってしまう。好きなものを聞かれて強く断言できる何かがある人がうらやましいと思うこともある。

自分がサウナを評価する基準は上の記事で書いた通りだ。自分が理想のサウナをプロデュースするなら、この条件を満たしたものを作るだろう。現実にはそこで挙げた条件をすべて満たしているサウナは今のところ見つけられていないので、一番好きなサウナというのも存在しないことになる。

端的に言うと、どこも一長一短あるなあ、と思う。割と好きなところというのはあるけど、そういう場所に限って、欠点は欠点で余計に気になったりするから難しいものだ。

ただし、「一番好きなサウナは?」というのが「おすすめのサウナは?」という意味なのだとしたら、それについては持論がある。それは「家から一番近いサウナ」である。サウナは日常的に気軽に通える場所であるべきだ。そのためには、家の近くにあるサウナが通いやすいから最適だ。サウナから出て、最短で家に帰って寝られる。この条件をまずは優先するといいのではないか。