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事務所別 2015年以降のM-1グランプリ予選通過具合一覧

 これまで、さまざまな大型賞レースでどの事務所の芸人がどれだけ勝ち抜いているか一覧にしてきました。そこで気になったんです。時系列で見ると、どの事務所がどんな感じなのかと。

 しかし、これをやり始めると、必要なデータが膨大になりますし、データを整理する作業も甚大です。時間がいくらあっても足りない。そんなわけで、データベースがちゃんとしている、2015年以降のM-1グランプリに焦点を絞り、事務所ごとの一覧を絞ってみました。

 では、早速、ご覧になるにあたっての注意点を書いて参ります。

 調査対象にしたのはM-1グランプリに比較的多く芸人を参加させた事務所としました。具体的には2023年のM-1グランプリで20組以上参加させた18の事務所です。ちなみに、以下の事務所となっています。設立時期が最近のものからご紹介します。

TWIN PLANET、ライジング・アップ、ラフィーネプロモーション、K-PRO、グレープカンパニー、ビクターミュージックアーツ、SMA、ケイダッシュステージ、ホリプロコム、タイタン、サンミュージックプロダクション、プロダクション人力舎、浅井企画、太田プロダクション、ワタナベエンターテインメント、マセキ芸能社、松竹芸能、吉本興業

 全部の事務所を調べると調査が大変な上に、参加組数が少ないとデータをまとめても傾向が分かりにくいため、調査対象を限定しました。

 今回まとめたデータは各事務所が決勝戦までのどの予選段階に何組進出したかを示す「進出組数一覧」と、1回戦参加組数を100%としてどの予選段階で何パーセントの組が進出したかを示す「進出率一覧」です。調査はM-1グランプリ公式サイトで行いました。ちなみに、2020年は感染症蔓延につき、3回戦がなくなっています。そのためか、データを見る限り、2020年の2回戦進出具合は、例年の2回戦と3回戦の間くらいになっているなど、変則的な大会になっています。

 M-1グランプリは準決勝進出者が翌年の1回戦を免除されるシード制を設定してします。そのため、1回戦参加組数が正確にはその事務所の全参加組数ではない場合がございます。

 ちなみに、他事務所の芸人と組んだユニットの場合は、それぞれの事務所に所属していると見なしました。つまり、吉本興業の芸人と松竹芸能の芸人が組んだユニットは、吉本興業と松竹芸能にそれぞれ1組としてカウントしてあります。

 そして、これが今回最大の懸念材料でございますけれども、M-1グランプリのデータベースはしっかりしすぎて、それぞれの芸人が最新の情報で登録されており、所属事務所も2023年に参加した時点のものになっています。つまり、2019年に事務所を移籍した芸人は、2018年以前の記録でも移籍後の事務所に置き換わっているわけですね。これは全てを調べ切れるものではございませんので、そのままの状態でまとめました。そのため、事務所によっては設立前にもかかわらず所属芸人としてカウントされているなど、過去であればあるほど正確性に欠けています。

 参考までに、多くの芸人が一気に移籍した出来事をご紹介いたします。

 まずは、2018年に起きた旧・オフィス北野の事務所縮小および芸人流出騒動です。この時に移籍した主な芸人は以下の通りです。カッコ内は移籍先の事務所です。

ランジャタイ(グレープカンパニー)、キュウ(タイタン)、馬鹿よ貴方は(サンミュージックプロダクション)、マッハスピード豪速球(ライジング・アップ)、元祖いちごちゃん(浅井企画)、太陽の小町(ラフィーネプロモーション)など

 もうひとつは2019年に起きたオスカープロモーションのお笑い事業撤退です。この時に移籍した主な芸人は以下の通りです。

ぺこぱ(サンミュージックプロダクション)、シロハタ(ビクターミュージックアーツ)、プーケットマーケット(ビクターミュージックアーツ)など

 もちろん、それ以外にも移籍した組が多数存在しています。そのため、参考程度の一覧となっておりますが、ご了承くださいませ。

 また、こちらも参考程度ではございますが、各数値に今回調査した事務所内での順位も併記しております。1~9位が赤文字、10~18位が青文字となっています。

 それでは早速参ります。設立年が最近の事務所から順にご紹介いたします。


1.TWIN PLANET

 2006年にマーケティング会社として設立し、芸能プロダクション事業も手掛けるようになります。2021年に芸人部門を新設し、本格的にお笑い業界へ参入。お笑い業界における新興勢力のひとつとなっています。

参加組数一覧と最高成績者

 芸人部門を設立した2021年以前にも参加者がいますが、これは現事務所に所属している芸人の、所属以前における戦績が反映していると考えられます。ただし、お笑い部門設立と同時に新規の芸人も所属させたのか、2021年以降は参加組数が激増しています。

 とは言え、最も歴史が浅いこともあってか、今回調査した事務所では平均参加組数が最も少なく、各進出組数もまた最も少ない状態です。

進出率一覧(単位は%)

 進出率も現在のところは低い状態となっています。事務所としてはまだまだ「これから」の状況であり、今後によっては参加組数や進出率が上昇する可能性は充分に考えられます。

2.ライジング・アップ

 1985年に設立されたライジングプロダクションがもととなっており、2019年にお笑い部門のプロダクション「ライジング・アップ」が設立されます。こちらもまた、最近になってお笑い業界に参入してきた新興勢力のひとつです。

参加組数一覧と最高成績者

 2019年の設立以降、30組少々の芸人が参加しています。これはお笑い芸人の事務所としては決して少ない数ではございませんが、今回調査した事務所の中ではやや少ないほうです。

 現状は3回戦以降まで勝ち抜ける芸人が非常に限定的であり、移籍前から準々決勝進出経験のあるマッハスピード豪速球が長らくエース格として活躍してきました。ただ、2023年は別の芸人が3回戦まで勝ち抜けており、少しずつメンバーが育ってきている兆しが見えます。

進出率一覧(単位は%)

 進出率はTWIN PLANETよりはやや高いですが、今回の18事務所の中ではまだまだ低い状態です。特に目立った増加や現象の傾向も見られません。

3.ラフィーネプロモーション

 2018年に旧・オフィス北野のマネージャーが中心となって設立したこともあってか、旧・オフィス北野の芸人が比較的多いという特徴があります。こちらもお笑いの新興勢力となっています。

参加組数一覧と最高成績者

 参加組数は順調に数を伸ばしており、2023年にはついに50組に達しています。ただ、今のところは組数の増加が2回戦以降に進出する組数にあまり影響を及ぼしていないように見えます。現状は1~2組が3回戦に進出しているのが最高成績となっています。

 最高成績者はバベコンブが中心となっておりましたが、昨年に解散してしまったため、新たな組の成長が待たれます。

進出率一覧(単位は%)

 参加組数が増えている一方、進出組数がそこまで変化していないため、近年は相対的に進出率が横ばいか低下の傾向にあります。今回の18事務所の中ではまだまだ低い水準に留まっています。

4.K-PRO

 もともとは2003年に創設者が開催した自主お笑いライブがきっかけとなり、2004年にお笑いライブを中心としたイベント会社として設立されます。2018年にマネジメント業務へ本格的に乗り出し、現在では劇場を運営するまでになっています。こちらも、お笑いの事務所としては新興勢力になります。

参加組数一覧と最高成績者

 2018年以降、40を超える組をM-1に送り込んでいます。お笑い事務所としてはやや多めな印象です。今のところは3回戦が最高ではありますが、2回戦や3回戦に進出した組がじわじわ増加傾向にあります。

 最高成績者が年によって変わっており、安定した成績を残せる組がまだ出ていないようです。

進出率一覧(単位は%)

 進出率は2020年をきっかけに一旦は落ち込みますが、そこからは再び増加傾向となっています。ただ、今のところ進出率は高くありません。

5.ビクターミュージックアーツ

 もともとは楽曲提供や音楽著作権管理をする会社として1961年に設立され、2009年より現社名へ変更、アーティストのマネジメント事業も担当することに。お笑い業界への参入時期は明確に記されたものが見つけられていないため不明です。ただし、現在のお笑いプロジェクト名になっている「Wonderwave」の発足が2017年であるため、この辺りに本格参入した可能性がございます。

参加組数一覧と最高成績者

 参加組数は少しずつ増えており、それに応じて上の段階に進出する組も微増傾向にあります。ひとつの事務所が送り込む組数としては少ないほうですが、2023年には初めて準々決勝進出者を出しています。

 近年ではその準々決勝に進出したきつね日和が中心となっているようです。

進出率一覧(単位は%)

 進出率に関しては特に増えている傾向はなく、参加組数の増加の割にはそこまで上に食い込んでいないようです。ただし、先ほども触れたように、昨年は準々決勝進出者が現れており、エース格の芸人が育ってきているように見えます。

6.グレープカンパニー

 芸能事務所「フラットファイヴ」からサンドウィッチマンと担当マネージャーが独立、イベント会社経営者を社長に招いて2010年に設立されました。

参加組数一覧と最高成績者

 2015年は2回戦進出が最高でしたけれども、翌2016年には一気に決勝進出者が誕生、以降は数年おきに決勝進出者を輩出しており、準々決勝以降にも安定して数組が進出しています。参加組数は20組前後と少ない数で安定していますが、各予選の進出組数は徐々に増加しているように見えます。

 最高成績者を確認すると、カミナリ、東京ホテイソン、ランジャタイと代わる代わる決勝進出者を生み出しています。近年もTCクラクションやフランスピアノが準々決勝に駒を進めるなど、次世代エースの育成も順調に進んでいる印象です。

進出率一覧(単位は%)

 新興勢力ながら極めて少数精鋭という特徴があり、2015年と2020年を除けば2回戦進出率は常に55%を超え、3回戦も2017年以降は25%以上を保っています。何より、準々決勝以降の進出率が非常に高く、上位を狙える組を常に用意している状態にも見えます。設立から15年経たずしてこのスコアは驚異的です。

7.SMA

 1974年に設立した当初は歌手のマネジメントが中心でしたが、徐々に役者やタレント、文化人などマネジメントの幅を広げ、2004年にお笑い部門を設立、お笑い界へ本格参入しました。

参加組数一覧と最高成績者

 お笑い事務所としては参加組数が多く、現在も増加傾向にあります。近年は2020年を除けばコンスタントに100組以上M-1に送り込んでいます。

 その中でごく一部の芸人が準々決勝以上のところまで食い込んでおり、優勝するまでは錦鯉が常に先頭をひた走っておりました。錦鯉優勝の翌年は準々決勝進出者がいなくなるも、2023年にはスタミナパンが準決勝に進出しています。

進出率一覧(単位は%)

 参加組数の多い事務所の傾向ではありますけれども、SMAは特に2回戦以降の進出率が低くなっています。ただし、準決勝以降になりますと、進出率で上位に食い込んできます。参加組数が増えているためか、進出率はどの段階もやや減少傾向にあるようです。

8.ケイダッシュステージ

 田辺エージェンシーから独立して1993年にケイダッシュが設立、1995年に関連会社としてお笑いなど特定の分野に特化した事務所としてケイダッシュステージが設立されました。

参加組数一覧と最高成績者

 参加組数は20組から30組程度と少な目で、2019年を境に微減傾向にあります。ただ、準々決勝までは進出組数が割と安定しており、しばしば準決勝や決勝に進出する組が出てきています。

 最高成績者を確認すると、主にヤーレンズとトム・ブラウンがエース格として長らく活躍してきたように見受けられます。

進出率一覧(単位は%)

 参加組数は少ないものの進出率が高い、典型的な少数精鋭パターンです。2回戦や3回戦の進出率も高く、準々決勝以降でもそれは変わりません。参加組数の割に、安定して勝ち抜ける組を多く抱えていることを示してします。

9.ホリプロコム

 お笑いタレント事務所として1994年に設立された「M2カンパニー」がもとになっています。そんなM2カンパニーを2003年にホリプロが完全子会社化し、ホリプロコムが設立されました。

参加組数一覧と最高成績者

 毎年、30組前後と控えめな組数が参加していますが、2021年以降は増加に転じており、2回戦以降に勝ち抜く組も増えています。

 磁石がいなくなったあとは3回戦止まりが続いていましたが、パンプキンポテトフライのように安定して準々決勝に進出する組が出てきています。

進出率一覧(単位は%)

 進出率に関しても2021年以降はやや改善傾向にあるようです。特に2023年は3回戦と準々決勝で進出率が最も高くなっており、今後が楽しみなデータとなっています。

10.タイタン

 独立した爆笑問題が1993年のNHK新人演芸大賞受賞をきっかけに設立された事務所です。当初は個人事務所としてやっていくつもりでしたが、後に方針転換し、所属タレントを増やしていきました。

参加組数一覧と最高成績者

 少ないながらも、じわじわと参加組数を増やしてゆき、それに伴って上に進出する組もじわじわ増やしていることがうかがえます。

 ウエストランドが長らく最高成績を叩き出しており、オフィス北野時代からキュウがそれに続いている形になっていました。ウエストランド優勝後は今のところキュウが屋台骨を支える形となっています。

進出率一覧(単位は%)

 進出率は高いほうで、ウエストランドとキュウのお陰もあって、準決勝と決勝の進出率が最高順位となっています。特に2組の決勝進出者を出した2022年が大きく、決勝進出率が約7%という驚異的な数値を叩き出しています。ただし、予選は上の段階になればなるほど、事務所に強い漫才師が1組いるかいないかで簡単に順位がひっくり返ってしまうため、今後の大会で大きく変わってしまう可能性が充分に考えられます。

11.サンミュージックプロダクション

 事務所の設立自体は1968年で、人気歌手やタレントの事務所として活動していました。1993年、吉本興業の関東進出に対抗する目的でお笑い部門を設立、やがて多くの芸人を抱えるようになりました。

参加組数一覧と最高成績者

 毎年40~70組程度参加させており、毎年のように準々決勝以上へ進出させています。

 メイプル超合金、かもめんたる、ママタルトと、常にエース格を育てている他、馬鹿よ貴方はやぺこぱと言った移籍組も活躍しているという特徴があります。

進出率一覧(単位は%)

 比較的多い芸人を抱えている割には進出率も高めで、安定して勝ち上がっている様子が見て取れます。ただし、2015~2016年頃と比べると準々決勝以降の進出率が低くなっています。

12.プロダクション人力舎

 1977年にお笑いタレントのマネージャーが設立、1992年には東京初のお笑い専門学校を立ち上げるなど、関東では歴史あるお笑い事務所のひとつとなっています。

参加組数一覧と最高成績者

 長らくお笑いの学校を経営していることもあってか、参加組数はもともと多かったですが、近年では100組を超えることも珍しくなくなりました。これはお笑い芸人の事務所としては多いほうです。

 成績面では真空ジェシカの活躍が目立ちますが、2回戦から準々決勝の進出組数も2023年は最高記録を出しており、コントが得意な事務所と称されていた人力舎が今度は漫才に影響力を広めているかのようです。

進出率一覧(単位は%)

 進出率としては、今回調査した18事務所の中では真ん中あたりの成績です。参加組数を増やすと、相対的に進出率が減る場合が往々にしてございますが、人力舎はあまりそのような傾向が見られず、特に2023年は準々決勝で最高の進出率を出しています。

13.浅井企画

 1968年、当時無名だった萩本欽一さんと坂上二郎さんをマネジメントするために設立。以降は、萩本さん坂上さんを始め、多くの人気芸人を輩出しています。

参加組数一覧と最高成績者

 参加組数は毎年40組前後と、お笑い事務所としてはやや多めの数を維持しています。

 成績面では準々決勝、もしくは3回戦が最高となっています。最高成績者者を見て分かるように、3回戦までは安定して進出する組が存在しているようです。

進出率一覧(単位は%)

 何気に準々決勝までの進出率は悪くありません。特に2回戦は半分以上の組が進出している年も多く、比較的高い水準で安定しています。

14.太田プロダクション

 1963年に松竹演芸場の支配人によって設立し、以来、多くのお笑いタレントを輩出しております。

参加組数一覧と最高成績者

 もともと多かった参加組数は更に増加し、近年は100組越えが当然となっています。それに伴い、3回戦までは勝ち上がる組もやや増加傾向にあるようです。物量で攻めつつも、一人ひとりのクオリティもそれなりに保ち、毎年のように一部の組を準々決勝以上に食い込ませる、大型事務所の典型例のような形をしています。

 最高成績者の顔ぶれはある程度決まっているものの、年によって常に変化しているのは大手ならではの現象だと思われます。

進出率一覧(単位は%)

 参加組数の多い事務所の宿命と言えばそうなんですが、進出率は全体的にやや低めです。年を経るごとに参加組数が増えているため、進出率はじわじわと減少傾向にありましたが、2023年には増加に転じているところもあります。

15.ワタナベエンターテインメント

 1959年に芸能人の待遇改善と地位向上を目的に渡部プロダクションを設立。それまでの徒弟制度的なマネージメントから脱却し、芸能事務所の組織化や人材育成を実現するなど、現代日本の芸能ビジネスを形作ったとされています。その後、2000年に組織改編され、芸能プロダクション部門を分社化して設立されたのがワタナベエンターテインメントでございます。

参加組数一覧と最高成績者

 参加組数はもともと多めですが、どういうわけか2023年にグッと増えています。いずれにしろ、どの段階でも進出者は多く、キチンと育成されていることがうかがえます。

 最高成績者はハライチが出ている年はハライチがトップになり、それ以外はAマッソや四千頭身などが顔を出す形になっています。ただし、ハライチを除く最高成績者はやや流動的で、成績面では絶対的なエースと呼べる存在がいないようです。

進出率一覧(単位は%)

 参加組数の割にかなり高い数値を出しています。ただし、予選が上の段階になるにつれてじわじわと順位を下げています。大手事務所でも決勝進出は容易ではないことが分かります。

16.マセキ芸能社

 前身は戦前の浅草で設立された「講談演芸社」で、1950年に現社名へ。この1950年がマセキ芸能社の設立年とされています。

参加組数一覧と最高成績者

 参加組数は20~30程度と今回取り上げた事務所の中では少ないほうですが、予選のステージが上がっていくにつれて順位を上げていくという、少数精鋭の典型みたいな形になっています。2回戦から決勝に至るまで、増加傾向が見られる非常に珍しい状態です。

 最高成績者はナイツから三四郎、モグライダーと移り変わっており、絶対的エースの世代交代もスムーズにおこなわれています。エース候補も常に充填されている状態で、育成の強さが際立っています。

進出率一覧(単位は%)

 グレープカンパニーと双璧を成す、圧倒的な進出率です。特に2回戦進出率は平均60%超え、3回戦も25%超えと驚異的な数値を誇ります。特に2023年は2回戦82%、3回戦47%、準々決勝30%とよく分からない数値を叩き出しています。所属するどの芸人も育成を非常にしっかりされているのではと推測するに充分な値です。

17.松竹芸能

 創業起源は1895年との説もございますが、大元となっている松竹は1920年設立となっています。直接の前身となる会社は松竹の資本参加を得て1958年に設立されたもののようです。現在は吉本興業と並ぶ大阪の代表的芸能事務所として知られます。

参加組数一覧と最高成績者

 参加組数は毎年多く、近年に至るまで増加傾向にあります。2回戦から準々決勝まで進出組数も多めで、最高成績は2015年以降、綺麗に準々決勝となっています。

 最高成績者が安定しておらず、毎年のように入れ替わるような状態です。強いて安定している人を上げるとすれば、みなみかわさんが「ピーマンズスタンダード」と「ヒコロヒーとみなみかわ」で最高成績を何度も叩き出しています。

進出率一覧(単位は%)

 参加組数が多い事務所の宿命か、進出率は低めで安定しています。むしろ、少しずつ減少しているようにも見えます。

18.吉本興業

 創業は1912年でございまして、2007年に持ち株会社制に移行して事業部門が分社化されたとは言え、芸能プロダクションとしては最も長い歴史を持っている点に変わりはないかと存じます。古くは横山エンタツ・花菱アチャコから現在に至るまで、お笑い界では圧倒的な存在感を維持し続けています。

参加組数一覧と最高成績者

 文字通り圧倒的です。参加組数は大体1000超えでございまして、決勝進出者も大半が吉本芸人という年も珍しくありません。更に、参加組数および準々決勝以下の進出組数は現在に至るまで増加傾向が見られています。

 最高成績者については、優勝者がズラッと並んでいる状態です。この桁違いの物量ではむしろ優勝しないことがニュースになるレベルなのかもしれません。

進出率一覧(単位は%)

 組数と比べるとどうしても見劣りはしますが、それでも充分に高い進出率を誇っていることからも、育成の強さがうかがえます。懸念材料としては全ての予選段階において年々減少傾向にある点がございます。理由はいろいろ考えられるでしょうが、参加組数の増加に対して、進出できる枠が増えていない点が大きいでしょう。特に決勝は、いくら参加組数が増えたからと言って迂闊に進出組数を増やせない事情がございます。そのため、進出率が結果的に低下していると考えられます。もちろん、他の事務所のお笑い芸人が増え、育成環境が整ってきたことも無関係ではないと思われます。

19.まとめとおまけ

 いかがでしたでしょうか。単純な数字の羅列ではございますが、よく見ると事務所ごとに特徴が出ていたかと存じます。

 ちなみに、各予選段階の進出組数と進出率のランキングも作ってみました。以下の通りです。

各予選段階における参加組数平均ランキング
(太字は他に同じ数値の事務所が存在する場合)
各予選段階における進出率ランキング

 これまでも見てきた通り、数では吉本興業が他を圧倒していますが、進出率という別の基準から見ると決して圧倒的ではなくなっている点が興味深いです。進出率ではむしろ参加組数があまり多くない事務所のほうが上位に食い込んでおり、事務所ごとの戦略が見て取れるかのようです。

 今回は以上となります。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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