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ブログを始めようと思ったのは

そうだ、私、ブログ書こう!

雨が降る銭湯からの帰り道、冷えたつま先とは裏腹に気分は高揚していた。

くどうれいんさんの「うたうおばけ」を読んだ。正確には、行きつけの銭湯のブックコーナーで立ち読みして、この本は買わねばなるまい、自分の肥やしにする本だ、という直感に突き動かされて買い、帰ってきてそのままこの記事を書いているわけだから「読んでいる」になる。

まだ読んでいる段階ではあるが、私は顔も知らないこの本を書いた人のことがとても好きになっていた。この人と知り合ったら何が起こるかはわからないけれど、ふっと笑うようなことにたくさん気づけるに違いない。そう感じている。といっても破天荒な経験談を武勇伝のように書き連ねている本ではないのである。

こういうことをしていたから、こんな自己紹介があったから、ではない。実際に、彼女による「自分語り」はほとんどと言って良いほどない。文章と文章のはざまに、彼女が受け取ってきた言葉の中に、エッセイに書き起こそうと思った事象の中に、彼女自身が皮肉なくらいに現れているのである。

そのことに気づいた途端、私は早く帰って何でもいいから書いてみよう、と思った。学生時代はアメーバブログを毎日のように更新し、「面白かったよ」と言われるのを心待ちにしていた私だったが、社会に出てからはめっきり自分の気持ちや考えを表現することはなくなってしまった。

自分について、よく分からない。自分を表す言葉はいくらでもある。好きなものを並べることもできる。自分ではあまり思わないが言われる言葉もある。けれどそのどれをとっても、なんだかしっくりこないのだ。何が違うのかも言い切れない。そんなもやもやがある。

自分について悩むなんてなんだか思春期みたいだけれど、書くことで少しでもその行間が埋まったら良いな、そう思うので今日から少しずつ気が向いたときに文章を書くことにした。

残りのぶんをあとで読む、という選択ができるのがエッセイの良いところだなと最近思う。読み切って寝るのも良いな、面白いからこそ明日にとっておくのもいいな、という楽しい悩み方をして初めての投稿を終えようと思う。

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