シギノシキ

わかんないことがわかんない。

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最近の記事

#06 praying hands

暑い夏だ。 実家に帰り、弟に読誦した。 終わったあとの両親の沈黙が、脳裏に焼き付いている。 祖母の家に行き、祖父に読誦した。 終わったあとの雰囲気は、こっちの方が穏やかだった気がする。 百日紅の花が咲いていた。 百合の花は匂いで葬儀の日を思い出すから嫌いになった。 まだ、弟の件を受け入れられていない。

    • #05 A Poem Review

      *** わたしはこの一首を詠んで次のようなイメージを持った。 海深く、地上の光が届かないほど深い底に、無人艦となった航空母艦がしずかに身を横たえている。 重い鉄の扉は開かれ、静かに魚が出入りする。光が届かない海底は、常に夜の様に暗い。 航空母艦の館内には船員のものと思われる軍帽が沈んでいる。持ち主の姿は見当たらない。 魚が泳いで戦艦の室内に進む。藻に覆われながら、航空母艦は沈んだ日を漂流している。 魚が死んだ。ゆっくりと死骸が海底に沈む。 無人艦は沈んだ日のまま

      • #04 Sandwiches in Australia

        2019年夏、わたしはオーストラリアに居た。 定職に就き数年が経ち、業務にも慣れつつあった。海千山千の先輩・後輩と業務に取り組むなかで、国民の義務・労働に飽きはじめていた。このままじゃまずい、と思った。 その折、高校時代の同級生が転職した。出席番号が1つ後ろの子だった。わたしも転職をしようと思った。失敗した。わずか1回の失敗で自己肯定感が大きく下がった。相手が求める人材ではなかった、ということをうまく消化できなかった。わたしは失敗や挫折に弱い。 欠けた自己肯定感を埋めた

        • #03 Watch

          わたしは3つの腕時計をつかっている。 EXCEED, CITIZEN 就職祝いに、父方の祖父から贈られたもの。秒針が正確。母が祖父のお金を預かり、二人で買いに行った。カラーはシルバー。電池交換は1回だけ。7年間、お仕事中は右腕についていた。 シンガポール、台湾、韓国、オーストラリア、ヨーロッパでも一緒だった。ちゃんとタイムラインに合わせて動いてくれる優秀ちゃん。8年目になって、カードホルダーにかけるようになった。いまも、業務中は一緒。この時計をつかっているとき、わたしは

        #06 praying hands

          #02 Bookshelf

          もともと本を読むのは好きだった。 物語からはじまり、形而上の内容も読めるようになった。 ・名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズ ・わかったさん、こまったさんシリーズ ・パソコン通信探偵団事件ノートシリーズ ・ダレン・シャンシリーズ ・ハリーポッターシリーズ ・「神の子たちはみな踊る」村上春樹 ・「Deep Love」Yoshi ・「晩夏のプレイボール」あさのあつこ ・「あかね色の風」あさのあつこ ・「鹿男あをによし」万城目学 ・「『世間』とは何か」阿部謹也 ・「『名づ

          #01 Once upon a time,

          15年前の初夏、ブログを始めた。中3からはじめて3代目だった。知り合いや家族に言えないことを吐き出したかった。きっと、あそこで自分を見つめ直していた。 人生の夏休みを謳歌したのち、国民の義務を果たすようになった。自分の時間が他人のために溶けるようになり、自己対話の時間が減った。ケータイのメールでブログを更新していた頃と比べると、自分のことを考える余裕がなくなっていた。いっぱいいっぱいだった。わたしの中身は、からっぽだった。 あれから、いろいろなことがあった。 あのときの

          #01 Once upon a time,