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心が砕け散った。

私には大好きなひいおばあちゃんがいた。
亡くなってもうすぐ1年。
今年の1月1日に亡くなった。

お目目がまんまるで、くりくりしてて、
視力は1.5。
親族みんなもれなく目が悪いのに。


おばあちゃんが介護という形で
ひいおばあちゃんと暮らしていた。

腰と足が悪いだけで、
あとは元気いっぱいだった。

テレビで情報を仕入れては
みんなに教えてくれた。

陽向みたいにあたたかい人だった。
和室で椅子に座りながら、
陽の光を浴びているひいおばあちゃんは、
涙が出るほど綺麗だとおもった。
世界で1番かわいくて、綺麗で、
あたたかい人だと思った。

ひいおばあちゃんは
いつも私を褒めてくれた。
すごいねえ、優しいねえ、賢いねえ、
可愛いねぇ、、

嬉しい気持ちと反面、苦しくもあった。
自分はそんなに綺麗じゃないんだよ、って。


祖母も年をとって、毎日ひいおばあちゃんの
介護をするのは体力的にも限界があった。

だから週に何回かは施設に入ることになった。

たくさんお友達ができたんだぁ、
お誕生日ケーキをたべたんだぁ、
職業体験で来てくれてる女の子が
○○(本名)ちゃんに似てて優しいんだぁ。
って会う度に、楽しいお話をしてくれた。


でも私は卑屈だから、優しいのは
その女の子の方だよ。だなんて思って
落ち込んで。
でも嬉しかった。
純粋に自分を見てくれてるのは
ひいおばあちゃんだけだと思ってた。
だって、あんなに綺麗なひいおばあちゃん
だったんだもん。


怖かった。
そんなひいおばあちゃんが
会う度に髪の毛薄くなっちゃったんだぁ、
白髪になっちまったぁ、
って言うものだから。

会う度に細くなっていく。
それでも元気だった。

でもとてつもなく怖かった。
とても元気で頭もしっかりしてて
若い衆もびっくりな回転の速さ。

だからひいおばあちゃんは
100歳なんて余裕で生きて、
みんなでお祝いをするんだって思ってた。


毎年1月1日には祖母の家にいく。
その日も朝起きて準備をしていると
実はおとついくらいから意識がはっきり
しないと。もうだめかもしれないと。
祖母から電話がかかってきた。

断片的に聞こえる母と祖母の電話をきいて
泣き出さずには居られなかった。


涙を堪えながら祖母の家へ向かう。

ひいおばあちゃんは、
起きているのにどこかに
行っちゃったみたいな感じで、

こわくて、悲しくて泣いちゃった。

呼吸も苦しそうだった。


それなのに、私と父が話しかけると
来てくれたんだなぁ、って
もう起き上がれないって言われた体を
起こして、いつもの椅子に座らせてくれって
父と祖母に頼んだ。

無理しないで。って泣きながら言った。
でもおばあちゃんは、直接渡したいんだ。
って、お年玉を私たち家族をしっかり見て
渡してくれた。

これじゃまるで最期みたいじゃないかって
こわくて悲しくて、溢れる涙を堪えながら
お礼を言った。

そのあとベッドに戻ったおばあちゃんは
また起きてるのに意識がとんでっちゃった
みたいだった。
そのまま息がとまっちゃうじゃないかって
怖くて、何度か話しかけた。


そうするとまんまるな目が戻ってきて
○○ちゃん、って言ってくれた。


帰る時も、声をかけると戻ってきてくれた。
私は、またね。って言って抱きしめた。
細くて今にも壊れそうだった。

祖母が、今日でダメかもしれないから
せっかく帰ってもすぐまた呼んじゃうかもと
父に言った。


家に着いたらすぐ連絡がきた。
呼吸が止まったと。


泣いた。それはもう息ができなかった。
2時間くらい滝のように
涙と鼻水と声を漏らして。
葬式でもそうだった。
思い出した夜もそう。


今も大号泣しながら書いてる。


ひいおばあちゃんだけが、絶対に
揺るがない純粋な繋がりだと思ってた。

だからひいおばあちゃんが死んだら
しんでやるって思ってた。

もう未練は無い。
でも1月1日に死んじゃうなんて
思わないじゃんか。

今死んだら、みんな大変だ。
って先延ばしにした。

それは今でも続いてる。


死ねないのはひいおばあちゃんに
会えないってわかってるから。
っていうのもあったと思う。



自分はひいおばあちゃんとの
繋がりを信じてたけど
ひいおばあちゃんが信じてた自分は
本当は綺麗じゃない。

なんて思って苦しくなった。

いまでもそう。
ひいおばあちゃんを騙してたようで
申し訳なくて、自分が汚くて
大嫌い。


老衰だったひいおばあちゃんは
あんなに苦しそうだった。
この世に神様はやっぱ居ないんだなって。
絶望した。

命をぜんぶ渡したかった。

ひいおばあちゃんのおかげで
耐えていた心が砕け散った気がした。


未練は無い。いつでも死ねる。
なんで死ねないんだろう。
ひいおばあちゃんへの思いはそんな
ものだったのか?と
自責の念と、終わらない自問自答が
まだ続いている。


死にたい。存在していたくない。
自分は騙していたんだって
いつも思う。


きっと変えられない考え。

死ぬとき死ねばいい。
死ねそうな条件が目の前にあれば
すぐに掴む。


死ねない自分はほんとうにクズ。
生きてる限り、苦しい。

気分が沈むとどうもこうなる。


私が綺麗だったら、死にたいなんて
思わずに、前を向けてただろうに。



綺麗なみんなが羨ましい。

ごめんね、ひいおばあちゃん。



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