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いけ好かない奴①

※この話はフィクションです。所々ガチっぽい箇所もありますが、大部分はフィクションです。多分。

突然だが皆んなにとって、どうしてもいけ好かない奴っているだろう?居ない?う〜ん、じゃあウザい奴は居るだろう?居ない?う〜ん、じゃあちょっとムカつく奴は?居ない?う〜ん、きっと君はマザーテレサの生まれ変わりなんだろう。今日は俺にとっていけ好かない奴の話をすることにする。俺は非常に自己中で卑屈なムスカ並みのクソヤローだから、君たちの気分を害する恐れがある。ど底辺クソヤロー芸人の掃き溜めみたいな文章読んでやっても良いよ、って言う慈悲深いお方は注意して読んでくれ。

その「いけ好かない奴」とはバイトに出勤すると必ず会っちまう。何故かって?同じバイト先のスタッフ?違うね。バイト先の社員?店長?全然違う。

正解はバイト先がテナントとして入ってる商業施設内の病院の医者!!!


正解した君には26リョウタポイント、プレゼント!!そんなことより、こいつはとんだ曲者だ。医者と聞くとどんな風体を思い浮かべる?白髪混じりの眼鏡をかけた中年男性?あるいは西川◯子先生?まあそんな所だろう。 じゃあ、

色黒マッチョ白ピチT刈り上げヘアの医者がどこに居るか知ってるかい?


俺は嫌と言うほど知っている。奴はまさに渋谷・スタンダードの若者といった感じ。俺がこんなこと言うと皆んな思うだろ?年がら年中グレーのスウェットでバイトに出勤しやがるダサ坊の俺が、服や髪型にちゃんと気を使えてる奴のこと悪く言えるのか?って。そんなこと百も承知だし、大した関心もなかった。が、アポロとの対戦が決まったロッキーみたく俺の闘争本能を掻き立てる出来事がある日起こってしまう。数ヶ月前—

俺は奴とエレベーターで鉢合わせた。俺が先に乗って居たら奴が後から乗ってきたという状況で、狭いエレベーターは二人きりだった。タバコ臭いな、喫煙所帰りか。奴はエレベーター内のボタンを押さない。奇しくも俺と同じ階で降りるようだ。近くで見るとやはり筋肉が発達している。上背は182cmの俺より低いものの、胸板、肩周り、背中、腕など上半身は明らかに俺より分厚い。おそらく日サロで焼いたであろう黒い肌、髪型と相まって秋山成勲選手を彷彿とさせる。そんなことを思っていると降りる階に着いた。俺はボタン付近に居たので、◀︎▶︎のボタンを押しながら、「どうぞ」と言った。奴はため息をつきながら無言で降りた。「は?、おいっ!」と言う言葉を俺は飲み込んだ。バイトの制服姿で揉め事を起こすわけにもいかない。ここは奴の勤め先のクリニックの近くだ。口論の現場を第三者が目撃した場合、医者と飲食店の制服を着たバイトどちらが悪者に見られるかなんて容易に想像出来る。それに奴を言い負かし詫びを入れさせることに成功したところで、原因がショボすぎて虚しくなるだけだろう?一瞬で色んな考えが頭をよぎり俺はトイレを済ませ、勤務に戻った。この日を境に俺にとって奴の存在はそれまでの「風景」ではなくなり、エレベーターで先に降りる時、道を譲って貰った時はいつも以上に丁寧に礼を言うようになっていった。

続く



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